AUDIO REVIEW
「スキニーな筐体から生み出される力強い音楽再生力」
Aura linear classics LCI2(ステレオプリメインアンプ)
¥660,000(税込) 2026年12月発売予定

問い合わせ先= 株式会社ユキム https://www.yukimu-officialsite.com/
鮮度高く生気に富む音質を名匠ケネス・グランジの手になる美しい鏡面仕上げのパッケージに包み、1990年代に熱狂的な支持を得たイギリスのオーディオブランドがAura(以後オーラ)。当時輸入販売業務を担当した日本のユキムが商標権を得て、製品思想、基本的な回路設計、そしてデザインポリシーを継承発展させ、21世紀の今、新世代のオーラを送り出している。
2023年に登場のインテグレーテッド(プリメイン)アンプVA40 rebirthが生産終了、置き換わる存在がリニアクラシックシリーズ第三作の本機、linear classics LCI2である。デジタル隆盛の現代にあって名前の通り、スウィッチング電源を使わずリニア電源を使用した純粋なアナログプリメインアンプ。トロイダルトランスは薄型扁平のカスタムメードで、オーラらしい薄型筐体(高さ55mm)を実現するための特注パーツである。
増幅回路はオーラの定式通り、MOS FETデバイスによるシングルプッシュプル構成。昨年発売のパワーアンプLCP1で使用実績のあるEXICON製EXW20N20/ECW20P20を使用。前世代VA40rebirthで使用した素子に比べ定格電流の余裕を得ている。他に、仏ビシェーの金属皮膜抵抗、ニチコンのオーディオ専用MUSEシリーズのコンデンサー等々、好評を得たVA40rebirthを超えていくことを目的に高品位パーツが随所に奢られている。
注目すべきは、増幅段とヒートシンクを筐体の上部に置き、その下に電子基板を吊り下げる常識の逆をいく構成法である。これはVA40rebirthを継承発展させたもの。天板に相当する部分の面積の大半がヒートシンクとして機能。薄型コンパクトながら低能率スピーカーシステムを余裕でハンドリングするドライブ能力を担保しつつ、増幅部からの放熱に最大限留意した結果、このユニークな構成が生まれた。
オーラの数々の名作を手がけた名デザイナー、ケネス・グランジ(英国の鉄道車両から日本の男性化粧品のボトルまで手がけ、B&W Matrix801もグランジのデザイン)はすでに故人だが、ユキムはグランジの哲学とデザイン言語を本機のすみずみにまで通わせた。グランジが存命ならこんなアンプを造型したに違いないという説得力に満ちている。外装の金属加工は世界的に定評ある新潟県燕三条で行われる。
そのLCI2の音質はシンプル・イズ・ビューティフルを体現したものである。B&W802D4とのコンビネーションで試聴したが、薄型一体型アンプが大型フロア型システムを悠然とハンドリング、鮮度が高く素直でけれん味がなくはつらつと生気に富んだ音楽を聴かせる。気になる発熱だが、巧妙な設計と造型の甲斐あってヒートシンクを兼ねた天板に手を当ててもごく普通のレベルである。
VA40rebirthが2023年の発売時に¥250,000〜だったので価格はかなり上昇したが、LCI2はドライブ能力が二回りスケールアップ。たたずまいの美しさを良い意味で裏切る逞しい力を具え、もはや英国起源のライフスタイルオーディオの域にはない。音楽ファン、オーディオファンは何を措いても注目すべき今期最注目のインテグレーテッドアンプである。(大橋伸太郎)
