ミュージック・ペンクラブ・ジャパン
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Audio Review

- 最新号 -

AUDIO REVIEW

「百周年記念の真打ち。待望の純A級インテグレーテッドアンプ」

ラックスマン L-100 CENTENNIAL
価格¥780,000(税抜き)
https://www.luxman.co.jp/product/l-100-centennial

 1925年に錦水堂ラジオ部として発足し昨年で百周年を迎えたラックスマンからプリメインアンプL-100CENTENNIALが発売された。記念製品としてネットワークオーディオが先行して発売されたが、同社の本分はアンプそれもインテグレーテッドアンプである。しかも、本機は純A級である。2020年のL-595ALは国内海外300台ずつの限定モデルで特別な位置づけだったので、L-590AXⅡ以来10年ぶりのラックスマン・プリメインのレギュラーライン最上位の更新となる。
 パワーアンプの増幅回路が従来のLIFES Ver.1.0から1.1に変わった。回路規模が大きくなり過ぎたラックスマンのNFB回路ODNFの進化形で、歪成分だけをフィードバックする考え方は継承し、メイン回路と歪み検出回路を一体化しシンプルコンパクト化し、安定供給が見込める素子の組み合わせに変更したのがLIFESである。Ver.1.1では、純A 級に対応し入力段、差動を動かす定電流回路、終段まですべてパラレル×2構成になり、歪みをさらに減少させた。具体的には、THDが1KHZの歪みがVer.1.0では0.003%だったのが0.002%に、20KHzでは0.007%が0.006%に下がった。100HZではさらに効果が大きく、0.002%が0.001%になった。
 LIFESと並ぶラックスマンの技術上のCIがボリューム回路のLECUAである。ボリューム調整ノブに位置検出用の電流を流し変化量をマイコンが検出しリレーを介してLECUA基板のボリュームが示す抵抗値へ接続する一種のフライバイワイヤーだが、本機は最新バージョンの新LECUA1000を搭載する。プリアンプ基板と表裏一体化してひじょうに短い経路でプリアンプ回路に減衰させた信号を送ることが特徴。L590AXで初採用され回路設計は変っていないが、構成部品は抵抗やリレー始め最新のパーツに変わり音質の向上を図っている。
 電源部はコンデンサーに10000μFを LCH4発、R4発が8発使用。本機で初採用に、入力の切り替えにいままでアナログスウィッチを使っていたが、今回2024に年USB DACのDA-07Xで採用実績のあるEMデバイス製の高精度低動作音のリレーをプリメインアンプとして初めて使っている。
 ラックスマンが創業以来の長い年月の大半を費やして心血を注いだプリメインアンプという分野の集大成がL-100CENTENNIALである。その音調を言葉で表現すると月並みだが、みずみずしい、なめらか、自然という形容がやはりいちばん合う。百年の間にオーディオにはアナログからデジタルへの大きな変化があり、ラックスマンもその変化を先導した一社だったわけだが、アナログ、管球式の時代から一貫して断絶を感じさせない音のたたずまい、質感がここにはある。本機にSACDを入力して再生すると、デジタルで生まれた音の情報量をL-100は瑞々しさ、有機的な濃度に変える。決してハイエンドが傾斜しがちな怜悧な音ではない。そこにラックスマンという唯一無二の音の作り手の技術と感性の確かな調和をみる。(大橋伸太郎)