AUDIO REVIEW
「大出力と清澄な音質を両立したプリメインアンプの最上位」
アキュフェーズE-6000(ステレオプリメインアンプ)
¥1,150,000(税別)10月発売
E-5000から5年を経て発売されるアキュフェーズAB級ステレオプリメインアンプの最上位である。アキュフェーズの一体型として最大の260W/8Ω、350W/4Ωの最大出力を達成した。ちなみにE-5000は240W、320W。質量はじつに5kg増加した。増加の大半が27%も大型化したトロイダルトランスと大型フィルターコンデンサの採用によってである。電源部基幹部品の大型化と出力ワッテージ増(発熱量も増加)に対応して全高が10mm高くなった。ちなみに純A級プリメイン最上位E-800S(発熱量がより大きい)と比較すると全高が28mm低く、質量で2.9kg重い。開発の狙いが従来から一回りも二回りも大きな余裕であることがこれだけで伝わってくる。
コロナ期を経てアキュフェーズの国内/輸出比率はそれまでの6:4から4:6に逆転した。海外のハイエンドマーケットでは国内需要に比べ大パワーが要求され、世界の名だたるスピーカーシステムとあいまみえ、ローインピーダンスのスピーカーまですべてを安定してハンドリングしなければならない。そうした新たなフェーズに対応してE-5000→6000へ発展したのである。
パワー部の出力増に対応しプリアンプ部も同時に進化を遂げた。IV(電流→電圧)変換アンプ部にANCC(Accuphase Noise and distortion Cancel Circuit)回路を新たに導入、定格S/Nを1dB改善、E-5000比で実使用ボリュームレベルでのノイズ発生を約14%削減した。プリアンプからパワー部、まで完全バランス伝送を実現した。
ボリューム部に音楽信号が流れずノブの位置を検出してゲイン調整の指令を出すリモートセンシング方式だが、アルミブロックから精密加工で削り出した無垢の金属素材を使い、ノブ回転時の静かでなめらか、きめ細かい操作を実現している。
オプションのフォノイコライジングボードAD-60のサブソニックフィルター/MC負荷インピーダンスの切り替えスウィッチを本体シーリングポケット内のサブパネル上に追加した。E-5000では背面パネルのAD-60本体上で操作したから、フォノアンプまで含めた一体型を望むアナログファンには朗報だろう。細かい変更点に天板の開口のパターンが直線から点(孔)に変わったがこれは音質と関係なく、安全性実証テストの実際に対応しての変更である。
そうして誕生したE-6000は悠揚迫らざる、という表現が似つかわしく、E-5000との比較ではANCCの採用で楽音にまとわりつく微細な雑味が一掃され、見通しのよい透明感のある音場としなやかな音質が得られている。筆者はこれまでアキュフェーズのアンプなら純A級を支持してきた。しかし、今回のE-6000で純A級との音質差は以前のようには感じられなかった。逆に出力ワッテージでは本機が頂点をなすAB級が圧倒的に有利である。価格はE-5000の¥950,000から¥1,150,000(いずれも税別)に上昇したが、たいていのスピーカーシステムをハンドリングする実力があること、アキュフェーズに止まらず一体型ステレオアンプのカテゴリーナンバーワンの製品であることを考えれば、むしろリーズナブルといっていい。(大橋伸太郎)
