ミュージック・ペンクラブ・ジャパン
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エッセイ

最新号

「QUEEN+ADAM LAMBERT」大阪公演を拝見して

久道りょう

写真2月7日に大阪京セラドームで行われた「QUEEN+ADAM LAMBERT」のライブを拝見した。
私は、クイーン全盛の頃は、音大目指して猛レッスンの最中。
クラシック音楽にどっぷりと浸かって練習に明け暮れていた為、クイーン世代なのにリアル体験がなく、6年前に上映された映画「ボヘミアン・ラプソディ」で見事にハマった。 ちょうどその頃、音楽評論を本格的に書いていこうと決意し、今のブログを書き始めた頃だった。

フレディの歌声とクイーンの音楽、そして、フレディの苦悩。
特に最後のライブエイドの臨場感にやられて、なんと6回も観に行ったものだ。
それほど見返しても、全く飽きのこない映画だった。
クイーン音楽は、クラシックの勉強をして来た私から見ても実に理に適った音楽の作りをしている。特にハーモニーに関するアレンジの部分の音の重なりは見事だ。
当時、『Bohemian Rhapsody』のハーモニーだけは耳にした覚えがあるのも、そのハーモニーの作りが余りに斬新だったからかもしれない。
とにかく、私は映画『ボヘミアン・ラプソディー』で見事にクイーンの音楽にハマったのだった。
クイーンが来日すると知って、チケットを検索したら、ちょうど発売中。
友人3人を誘って、鑑賞してきた。

当日は、京セラドームの最寄駅から、既に長蛇の人の波。
何せ、ドーム公演だから、5万人近くは入る。
客席に着くとほぼ満席。
20代から70代、80代と思しき人、杖をついてる人の姿もチラホラ…
男女の比率もほぼ同数。
若者から高齢者まで、同じ音楽で楽しめるのは、紛れもなく映画のおかげだろう。


ライブは満杯の観客の歓声で幕を開けた。
次から次へと休みなく繰り広げられるアダム・ランバートの歌声。
ブライアン・メイのギターテクニックに力強いロジャー・テイラーのドラムパフォーマンス。
映画で聴き馴染んだ曲が次から次へと出て来ては、客席との大合唱になる。
映画でしか知らない世界が、今、リアルに現実の世界となって目の前に浮かび上がる。

フレディーの力強さの中にも甘い響きの歌声に比べると、ランバートの歌声は鋼のような力強さと透明感のある歌声だ。
フレディーの代わりというよりは、ランバートのオリジナリティーとして、メロディーラインに乗った彼の歌声がレーザービームのように、会場の隅々まで突き刺さってくる。
ブライアンの可愛らしくも明瞭な日本語の愛嬌と、ロジャー・テイラーの相変わらずのカッコよさに、当時の彼らを知らない私でもやられるのだから、往年の彼らのファンにとっては堪らない一夜になったはずだ。

ライブ本編のラスト曲『Bohemian Rhapsody』で会場のボルテージは最高になり、そこからアンコール曲の『We Will Rock You』『We Are the Champions』では、会場全体が靴音と人の波で揺れた。
映画のライブエイドのシーンを思い出し、映像によるフレディーとのパフォーマンスもあったりで、やっぱり「Queenは最高!」と思わざるを得ない体験だ。

映画を観た若者達が間違いなく新しいファンになって育っている。
彼らの音楽の虜になって、会場に詰めかけている姿は、当時、彼らの音楽が、一歩も二歩も時代を先取りしていたことの証明のようにも見える。

ボヘミアンのハーモニーの美しさと歌声が、いつまでも耳の中に残り、久しぶりに眠れない一夜だった。

◆物故者(音楽関連)敬称略

まとめ:上柴とおる

【2024年1月26日~2024年2月22日までの判明分】

・1/19:メアリー・ワイス(シャングリラス)75歳・1/23:江戸京子(ピアニスト。アリオン音楽財団理事長)86歳・1/26:ディーン・ブラウン(米セッション・ギタリスト。ジャズ~フュージョン系)68歳・1/30:チタ・リベラ(米俳優。ブロードウェイの舞台で活躍。「ウエスト・サイド物語」「シカゴ」「ガイズ&ドールズ」など)91歳・1/30:メリンダ・レッドベター・ウィルソン(ブライアン・ウィルソン夫人=1995年に結婚)77歳・2/01:カール・ウェザース(米俳優。「ロッキー」「プレデター」など)76歳・2/02:ウェイン・クレイマー(元MC5のギタリスト)75歳・2/05:トビー・キース(米カントリー・シンガー)62歳・2/05:上原正吉(沖縄民謡歌手。2021年、沖縄県文化功労者)82歳・2/06:山北由希夫(作詞家。バーブ佐竹「女心の唄」など)92歳・2/06:小澤征爾(指揮者)88歳 ・2/09:ダモ鈴木(ドイツのバンド、CANのヴォーカリスト)74歳・2/13:黒木彰一(フジテレビのプロデューサー。「笑っていいとも!」「SMAP×SMAP」などを担当。2011年公開の映画「忌野清志郎 ナニワ・サリバン・ショー~感度サイコー!!!~」の企画・プロデュースも)54歳・2/13:鈴木詢(室内楽専門ホールの先駆けとなった「スタジオ・ルンデ」を名古屋に創設)88歳・2/15:小林正樹(内山田洋とクール・ファイブのベース)81歳 ・2/16:倉田尚彦(日本を代表するピアノ調律師)62歳・2/16:吉田彰(チューリップの元ベーシスト)75歳・2/18:山瀬洋一郎(「歌追い人たちのアメリカ~知られざるアーティスト・ディスクガイド300選」企画)66歳・2/20:パン・シリ(韓国の歌手。元女性トリオ、ソウル・シスターズのメンバー)60歳・2/20:ヴィタリ・クープリ(キーボーディスト。アーテンション、リング・オブ・ファイア、トランス・シベリアン・オーケストラなど)49歳

■2024年2月2日付ブログ『シャングリラスの素敵で私的な思い出。』
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