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「Unlikely Valentine / Ron Boustead」(ART-ROCK MUSIC)
ロン・ボウステッドは、マーク・マーフィーの影響を受けたシンガー。1983年に初LP「First Light」を発表して、その中でチェット・ベイカー、チック・コリアやウエス・モンゴメリー等のソロをヴォ—カライズして歌って一部で注目を集めた。その後、作詞の方に力を注ぎジョージ・ベンソン、ポウリン・ウイルソン等に歌詞を提供したり、レコーディング・ミキサーとして活躍したりしていた。その間に3枚のポップなCDも作っていたが、今回、久しぶりにジャズに回帰してアルバムを発表した。ビル・カンリフとマイケル・フォアマンのテナー、フルート、ギター、トロンボーン等を使ったアレンジで彼が作詞した歌の他、チェット・ベイカーのソロをベースにした「枯葉」、ジョン・ヘンドリックスの「Along Came Betty」,64年のサーチャーズのポップ・ヒット「Love Potion Number Nine」、サイ・コールマンの「I Love My Wife」、ボブ・ドロウの「Love Came On Stealthy Fingers」等でマーク・マーフィーばりのジャジーでヒップな歌を聞かせる。カンリフが「My Funny Valentine」をベースに書いた曲に彼が詞を付けたタイトル曲が面白い。(高田敬三)
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