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「OUT OF THE BLUE / Alyssa Allgood」(JeruJazz JJR 5 CD)
アリサ・オールグッドは、ハード・バップが大好きで12歳の頃からジャズを歌い始めたというシカゴで活躍のまだ20代の若手シンガー。2015年に「Lady Bird」というEPを作り好評を得て、満を持して発表の本作品は、彼女の本格デビュー・アルバム。「思いがけない」という慣用句の「Out Of the Blue」とBlue Noteレーベルをひっかけたタイトルで、ハンク・モブレーの「Soul Station」の中の「Dig Dis」に彼女が詞をつけた「Watch Me Walk Away」からコルトレーンの「Moment's Notice」、ウエイン・ショーターの「Speak No Evil」、サム・リヴァースの「Beatrice」、ジョー・ヘンダーソンの「If」,ホレス・シルヴァーの「Peace」等などBlue Noteのアルバムからの名曲をスキャットも交えて達者に歌ってしまう。伴奏は、オルガンのダン・チェースを中心にクリス・マドセン(ts)ティム・フィッツジェラルド(g),マット・プラスコタ(ds)とファンキーな地元で活躍のミュージッシャンが受け持っている。デクスター・ゴードンのソロをスキャットで歌う「It's You or No One」がなかなか素晴らしい。ハード・バップの名演を「思いがけなく出現」のクールな女性の声で現代的味付けで聞かせる面白い企画の作品だ。彼女は、4曲で大先輩のアニー・ロスのように作詞の才能も見せる。(高田敬三)
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