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「ヘイル,シーザー!」(NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)
コーエン兄弟監督の近作で1950年代ハリウッドメジャースタジオを舞台に、撮影現場から突然失踪したスターをめぐる陰謀と周辺の人間模様を数本の劇中劇を交えオールスターキャストでコミカルかつシニカルに描く「映画愛」映画。米映画は舞台が設定された時代の映画のルックをしばしば再現(引用)するが、ミュージカルシーン(CH11)、西部劇シーン(CH02)は俳優のなり切り演技の甲斐もあって50年代のジャンルの佇まいを完璧に再現。ノイズ感と柔らかいディテール表現(35mmフィルム撮影)で名作映画のワンシーンさながらの完成度だ。
整音とサラウンド(サウンドデザイン)も非常に優れている。セリフはセンターチャンネルから動かさないのが往年のハリウッド映画の鉄則だったが、ミュージカルシーンのセリフのセンターからの左右パンが効果的で楽しい。ミュージカルシーンのタップダンスの靴音や小道具のSEの移動感、質感を伝える解像感と濃やかさは秀逸の一言。サラウンド再生システムの試金石。
(大橋伸太郎) |