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「アローン・トゥゲザー / キャロル・ウエルスマン」(Muzak MZCF-1324 fab.)
カナダ出身、ロス在住のピアノ弾き語りシンガー、キャロル・ウエルスマンは、祖父がトロント・シンフォニーの創設者と云う血筋の音楽一家の出身だ。彼女の通算11作目の本アルバムは、コーリー・アレンのプロデュースによる初のニューヨーク録音でウォーレス・ルーニー(tp)ルーファス・リード(b)ルイス・ナッシュ(ds)ジェイ・アッゾリーナ(g)スティーヴン・クルーン(per)という精鋭に囲まれての作品だ。アカペラで入る「Alone Together」をはじめ「It Might As Well Be Spring」,「Day By Day」,「My Ship」等のスタンダード・ナンバーを彼女らしいスタイリッシュなアレンジで歌い、チャーリー・パーカーの「Oh,Lady、Be Good」のサックスのソロにエディー・ジェファーソンが作詞した「Disappointed」はアニー・ロスを想わせる達者なヴォーカリーズで聞かせたりする。ジョー・デリーズの「The Blues Are Out Of Town」やマッコイ・タイナーの「You Taught My Heart To Sing」の選曲にも彼女のジャズ・ルートを探る意気込みが感じられる。彼女のピアノも冴えていて秀逸な作品だが、この素晴らしいメンバーに囲まれてもう少し冒険をしても良かったかなという思いも残る。日本盤のボーナス曲付。(高田敬三)
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