2015年4月 

  

Popular ALBUM Review


「Suddenly I Like It/ポール・ジョーンズ」(BSMF RECORDS:BSMF-2448)
 今も元気に現役バリバリ、73歳♪1960年代にマンフレッドマンの初代リード・ヴォーカリストとして世界中にその名を馳せたポール・ジョーンズが6年ぶりに放つ新作!前作に続いて女性ロック・ギタリストでもあるカーラ・オルソン(元テクストーンズ)がプロデュースを手がけているが、今回はオリジナル作品を中心にハーモニカの演奏もフィーチャーしながら'わかる人にはわかる'とばかりにブルース〜R&B、ジャズを自身も堪能するかのようにたっぷりと聴かせる。気になるカヴァー曲は1曲目の「Are You Lonesome For Me Baby」(R&B歌手フレディ・スコット1967年のヒット)、そして12曲目の「Straighten Up And Fly Right」(キング・コール・トリオ1944年のヒット。こんなに気持ち良く軽快にスウィングするポールが何とも新鮮!)、さらに13曲目「I'm On My Way To A Better Place」は一転、ポップなモータウン風のR&Bで人気を集めた米4人組チェアメン・オブ・ザ・ボードの全英ヒット曲(1972年30位)。この選曲も渋い♪(上柴とおる)


Popular ALBUM Review


「神秘なる大地/グルムル」(ソニー・ミュージック ジャパン インターナショナル:SICP-4315)
 私が感じたことはパンフレットやライナーノーツにすべて記載されている。世界中の誰しもが同じ思いを抱いたことだろう。エルトン・ジョン、スティング、ビョーク、そしてエリザベス女王やオバマ大統領も。オーストラリアの先住民族アボリジニに属するジェフリー・グルムル・ユヌピング(1970年生まれ)の本邦デビュー・アルバムは単にアコースティックというだけではなく、シンプルなメロディーと共に漂う香りには1960年代によく耳にしたフォーク・ソングのような懐かしさも覚える。「ほどよい高音の、落ち着いて、繊細で、しかも芯の強さを感じさせる」(北中正和氏のライナーより)歌声は男性歌手ながらまさしく'天使のような'。内面からにじみ出るような、かつて味わったことのない'歌唱力'だ。(上柴とおる)


Popular ALBUM Review


「バブル・ステーション/ジャニ・マルティネッリ」(プロダクション・デシネ:PDCD-161)
 まるで'春の陽光'のような♪まったりとして穏やかな♪このアルバムを聴いていると時間が世間よりもゆったりと進んで行くような♪乳幼児だった娘を乗せたベビーカーを昼日中、ゆるゆると押し進めながらドラッグ・ストアへオムツを買いに行ってた頃を思い出したりして。'サンシャイン・ポップ'といえどもいかにも狙い打ちしたようなキラキラとしたものではなく、ほのかで自然な輝き♪米西海岸出身かと思わされるがさにあらず。彼女の拠点はスペインのマドリッドでしかも生まれはヴェネズエラ。彼女が好きだというビーチ・ボーイズ(恐らくブライアン・ウィルソンに傾倒か)に感化されたような楽曲も聴かせるジャニがニルヴァーナやパール・ジャムを通過していたとは信じられないほど。ウクレレを奏でながらの3曲目「マンディーズ・パーティ」がとりわけキャッチーでお気に入り♪(上柴とおる)


Popular CONCERT Review




「KISS」3月3日 東京ドーム
 結成40周年を迎えたKISSのライヴは、「デトロイト・ロック・シティ」からノンストップ・ジェットコースターで、KISS・ARMYを絶叫の嵐に巻き込んだ。最新ヒット曲「ヘル・オア・ハレルヤ」等新しい曲も演奏したが、やはり1970年代のヒット曲「狂気の叫び」「ジュース」では、盛り上がり方が違う。また、恒例行事となるジーン・シモンズの血を吐く、火を吹く、「雷神」でのワイアー・アクションやポールスタレーの「ラヴ・ガン」でのステージ移動は、何度見てもファンには堪らないサービスなのだ。そして、唯単にド派手なアクッションだけでなく、KISSにしかないグルーヴとノリの良い楽曲は、唯一無二の存在である事を強烈に物語る。ももいろクローバーZとのコラボ「サムライ・サン」はご愛敬として、KISSは、20世紀最高のエンターテインメントと思っていたが、21世紀も最高のエンターテインメントだった。(上田和秀)
フォトクレジット:Masanori Doi


Popular CONCERT Review


「CS&N」3月6日 東京国際フォーラム ホールA
 クロスビー、スティルス&ナッシュ(CS&N)として20年振りとなるライヴは、名盤『デジャ・ヴ』より「キャリー・オン/クエッションズ」から、ファンを魅了し始まった。これ程時が過ぎたにも関わらず、思った以上にいや若い頃よりも声が出ている様な気がする。確かにスティーヴン・スティルスのハスキー・ヴォイスは、以前の様な力強さはないが、ギター小僧が本当に楽しそうにギターを弾いている様だ。何と言っても、驚いたのはデヴィッド・クロスビーの歌声が素晴らしく心に響いたことだ。C&Nとして活動を続けていたが、ここまで声が出るとは、凄いの一言に尽きる。グラハム・ナッシュは、フロントマンとしてまたマルチ・プレーヤーとして、バンドを上手くまとめている。素足で歌う彼の姿勢には、頭が下がる思いだ。そして、一番感動したのは、ラヴ・ソング、フォーク・ソング、プロテスト・ソング何を歌っても心に響く名曲ばかりなのだ。2部構成で、アンコール曲「ティーチ・ユア・チルドレン」まで、全く無駄が無く飽きさせない最高のライヴだった。まだまだ元気で、多くのファンに歌う事の素晴らしさを聴かせて欲しい。(上田和秀)
フォトクレジット:Masanori Doi


このページのトップへ