2015年4月 

  

Audio Blu-Ray Disc Review

「ブライアン・ウィルソン ソングライターPART.2 〜孤独な男の話をしよう〜(発売ジェットリンク 販売ポニーキャニオンPCXE-50497)
 前作「ザ・ビーチ・ボーイズの光と影」に続き、アルバム『スマイル』の製作に挫折した後のビーチボーイズとリーダーで長兄のブライアンの苦難の時代を追ったドキュメタリー映画。
 製作国はアメリカでなくイギリス。『ペット・サウンズ』で築かれた名声はイギリスではその後も持続したが、本国ではそうでなかった。

 本作が描き出すビーチボーイズの1970年代のクロニクルは正直無惨なものである。創作意欲を失ったブライアンを時に操り人形に仕立ててさえもグループは1970年代を生き延びなければならなかった。
 海の向こうのライバルのザ・ビートルズが活動に終止符を打ち二度と復活しなかったことで、不滅の神話を築き上げ封印したのと対照的。バンドという一個の生命体のそれぞれ一つだけの生き様がここにある。

 1960〜80年の記録映像と当時の証人たちのインタビューで構成され、画質はテレビレベル。音源も目新しいものがないためハイレゾでなく48kのステレオだが必要にして十分。(大橋伸太郎)