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「ムソルグスキー:組曲《展覧会の絵》、交響詩《はげ山の一夜》、他/ グスターボ・ドゥダメル指揮、ウィーン・フィルハーモニー・管弦楽団」 (ユニバーサル ミュージック、ドイツ・グラモフォン/UCCG-1756)
ドゥダメルの作り出すこの「展覧会の絵」には他の指揮者には決して真似のできない新鮮さが随所に溢れている。第1曲の「小人」の落ち着きのない速さ、第4曲の「ビドロ(牛車)」後半での打楽器の強奏による喧しさ、第8曲「カタコンベ」、続く「死せる言葉による死者への呼びかけ」の意外な暗さのない表情等、これは作曲したムソルグスキー、そして管弦楽にアレンジしたラヴェルのこの曲に対するイメージとは異なる演奏したドゥダメル本人がイメージした10枚の絵の印象としか言いようがない。それにしてもこの「展覧会の絵」の見事な演奏にはドゥダメルの持っている飛びぬけた音楽性への驚きを感じさせる。またウィーン・フィルも若いドゥダメルを完全に盛り立てており、彼ららしい素晴らしい演奏を披露した。
余白に入っている同じムソルグスキーの「はげ山の一夜」も快演、最後のチャイコフスキー「白鳥の湖」の組曲2曲目のワルツではチャイコフスキーの美しさを十分に出している。(廣兼正明) |