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「サン=サーンス:ピアノ協奏曲 第1番 ニ長調 作品17、第2番 ト短調 作品22、第3番 変ホ長調 作品29、第4番 ハ短調 作品44、第5番 ヘ長調 「エジプト風」 作品103、動物の謝肉祭 /アルド・チッコリーニ(ピアノ)、セルジュ・ボド指揮、パリ管弦楽団〈協奏曲〉、アルド・チッコリーニ&アレクシス・ワイセンベルク(ピアノ)、ジョルジュ・プレートル指揮、パリ音楽院管弦楽団〈動物の謝肉祭〉」(ワーナーミュージック・ジャパン、ワーナー・クラシックス/WPCS-23173〜4)
ワーナー・クラシックの再発シリーズ「クラシック・マスターズ」の7月下旬発売の中から今回は2つのアイテムを紹介したい。先ず最初はフランスのメンデルスゾーンとも言われるフランス近代音楽の巨匠サン=サーンスのピアノ協奏曲全曲と組曲「動物の謝肉祭」を、今年2月に89歳で惜しくも他界したイタリア・ミラノ生まれ、後にフランスに帰化して フランス音楽の発展に尽くしたピアニスト、アルド・チッコリーニは完成されたテクニックと卓越した表現力でサン=サーンスには打って付けともいえる理想的な演奏を披露してくれる。特に第4番第2楽章の後半第2部の最も美しい部分はオーケストラも含め心に沁みる。現在それ程多くないサン=サーンスのピアノ協奏曲全曲盤の中では最も推奨出来る演奏といえよう。そして最後に収められている「動物の謝肉祭」はもう一台のピアノを弾くのはアレクシス・ワイゼンベルクてあり、11曲目の「ピアニスト」のデュオでは二人とも実に楽しげに下手なピアニストを演じているのがおかしい。又、有名な「白鳥」のチェロ、ロベール・コルディエの控えめな演奏は実に美しい。(廣兼 正明) |