|
「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第16番 ト長調 Op.31,No.1、第17番 ニ短調 「テンペスト」 Op.31,No.2、第18番 変ホ長調 Op.31,No.3、第19番 ト短調 Op.49,No.1、第20番 ト長調 Op.49,No.2 / マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)」(ユニバーサル ミュージック、ドイツ・グラモフォン/UCCG-1691)
今回発売の第17番「テンペスト」を除く、第16,18、19、20番の4曲で39年かけてポリーニのベートーヴェンのソナタ全曲録音がようやく完結、この5曲と同時に待たれていた全集アルバム(UCCG-1681/8枚組)も発売された。ベートーヴェンが約30年をかけて作り上げたピアノ・ソナタという金字塔を、ポリーニはベートーヴェンより10年多い約40年の歳月をかけて制覇したのである。すべてがライヴ録音の全集ではベートーヴェンの30年間とポリーニの39年に亘る各々の貴重な歴史が刻み込まれていると言えよう。1942年生まれのポリーニは今年72歳を迎えたが、今回の新しい5曲を聴くに付け、これが正に枯淡の境地に入った演奏で精神面の深さを如実に感じさせてくれる。しかしまだ72歳、今の時代は年寄りと言うにはまだ若い年齢なので、今後も益々活躍して欲しい演奏家の一人として、出来る限り現役で頑張って欲しいと思うのは筆者だけではないであろう。(廣兼 正明)
|