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「ブラームス:交響曲全集(第1番〜第4番)、悲劇的序曲、ハイドンの主題による変奏曲、大学祝典序曲、間奏曲作品116-4(クレンゲル編)、同作品117-1(クレンゲル編)、ワルツ集《愛の歌》から(ブラームス編)、3つのハンガリー舞曲(ブラームス編)、交響曲第4番-改訂版冒頭、交響曲第1番-第2楽章初演版/リッカルド・シャイー指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団」 (ユニバーサル ミュージック、デッカUCCD-1388~90〈3枚組〉)
早いものでシャイーも60歳。当初オペラをメインに活躍してきたが、現在世界最古の伝統に則ったオーケストラ、ゲヴァントハウスの第19代カペルマイスターとして、新鮮な解釈でこの歴史を感じる渋いオーケストラを徐々に近代的に改革し始めている。バッハ、ベートーヴェン、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームス、マーラーを始め、近、現代曲まで数多くの名演奏、名録音を生みだし、ファンの輪を大きく広げつつある。今回の3枚組ブラームス特集を聴けば、あのコンビチュニー時代の伝統的ともいえるやや暗い音からの脱却を、現実的に取り組んでいる事が分かるであろう。そしてシャイーの考えによって、このアルバムには交響曲第1番の第2楽章初演版、後に削除された第4番の冒頭の4小節を始め、世界初録音のポール・クレンゲルがアレンジしたピアノのための間奏曲2曲などの珍しい曲が収録されている。ブラームス・ファンにとっては興味深いアルバムである。 (廣兼 正明)
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