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「ブラームス:弦楽六重奏曲 第1番 変ロ長調Op.18、弦楽六重奏曲 第2番 ト長調Op.36/プラジャーク四重奏団、ペトル・ホルマン(VaⅡ),ウラディミール・フォルティン(VcⅡ)」(キングインターナショナル、Praga Digitals、PRDDSD-250297)
チェコ楽壇の精鋭たちによるブラームスの弦楽六重奏曲の全集である。弦の国の奏者なので完全に安心して聴ける。昔ルイ・マル監督の「恋人たち」の主題曲として一躍有名になったこの美しいメロディは、いつ聴いても身につまされる魅力を湛えており、一度聴いたら決して忘れられない。さて今回のレコーディングは2013年6月にスタジオ録音された最新盤である。少し速めのテンポで始まるが、ブラームスの曲は何と言ってもいぶし銀の音色を持つチェコの弦がぴったりである。ブラームスの室内楽はそのどれもが美しいが、弦楽六重奏曲になるとその音の厚さに身も心も捕らわれてしまう。特に第1番は圧倒的な魅力を持っており、特に有名な第2楽章の恋人の主題でのむせび泣く第1ヴィオラの聴かせどころではヴィオラ冥利に尽きるとも言えよう。この第2楽章第4変奏のD-durで第1ヴィオラがG線で弾き始める箇所など、ブラームス・ファンならずとも泣けてくる。(廣兼 正明)
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