2014年1月 

  

Audio Blu-ray Disc Review

「25年目の弦楽四重奏」(角川書店DAXA-4531)
 ドキュメンタリー出身のヤーロ・ジルバーマンの製作・脚本・監督による劇映画。主演はフィリップ・シーモア・ホフマン、クリストファー・ウォーケン。結成以来25年に渡り素晴らしい演奏を聴かせてきたN.Y.の弦楽四重奏団。次の四半世紀に踏み出そうという矢先、年長リーダーのチェリストがパーキンソン氏病を宣告され引退を決意。その途端、第二バイオリンは俺を第一にしろ!とゴネて妻からあなたは第一に向かないと言われムクレて浮気、その娘は第一バイオリンと恋仲になり、それまで完璧なアンサンブルを誇ってきたカルテットが騒々しい不協和音を奏で始める…。

 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番(Op.131)モチーフになっているが音楽映画でなく、ニューヨーカーの人生の哀歓を描いた辛口の人間ドラマ。主演の4人は音楽の素人だが、リート歌手アンネ=ゾフィ・フォン・オッターがリーダーの亡き妻に扮してコルンゴルトの『死の都』のマリーのアリアを歌い、プロ音楽家が要所を締めている。

 クロマ濃度がやや高く設定されているが、重厚なコントラストの画面の隅々まで解像感の行き渡った高画質である。通常のドルビートゥルーHD5.1CH/2.0CH(48kHz/20bit)だが、弦楽を歪みなく美しく収録。(大橋伸太郎)

Audio Blu-ray Disc Review

「アイーダ」(オーパスアルテOA BD7122D 輸入盤)
 ヴェルディ生誕200年の掉尾を飾るのは、2012年ヴェローナの野外音楽祭での『アイーダ』の3Dライブ収録。『アイーダ』はスエズ運河開通の年エジプト国王の委嘱によって作曲された祝典のグランドオペラである。ヴェローナ野外音楽祭もヴェルディ生誕百年の1913年に始まった。アニバーサリーイヤーに相応しいキラーコンテンツ『アイーダ』をアリーナ(古代円形闘技場)の階段構造を活かした大掛かりな装置とコスチュームプレイで上演、さらにブルーレイディスクの本作は3Dを採用しスペクタクル効果を発揮しているが、歌手陣特に女声陣の<ビジュアル>がどうも感心しない。

 本作の場合、上演劇場の特性を考慮し声の威力を第一にキャスティングしたと推察されるが、強い声があって声楽的に安定していればそれでいいわけではない。アレーナの観客席から「遠目」に見る分にはよくても放送用に収録しさらにビデオグラム化されることも決まっているのだから、ビジュアルも舞台完成度の一部と考えてほしい。往年のアイーダ歌いのマリア・キアーラやカティア・リッチャレッリの艶姿が恋しくなった次第。

 日本語字幕入り。本作は3D/2D兼用ディスクである。3D第一作『カルメン』は舞台をカメラが大胆に忙しなく動いたが、本作はカメラの動きは控えめでヴェローナのステージの広大さと奥行きを実感させる撮影を狙っている。音声はDTS-HDマスターオーディオ5.1CH/リニアPCMステレオの二種が選べる。(大橋伸太郎)