2014年8月 

  

ロンドン・ミュージカル「天才執事ジーヴス」の日本初演
・・・・・・本田悦久(川上 博)
 アンドリュー・ロイド・ウェバー作曲、アラン・エイクボーン脚本・作詞のロンドン・ミュージカル「BY JEEVES」が、7月に東京の日生劇場で日本初演された。

 英国の作家P・G・ウッドハウスのユーモア小説「ジーヴス」シリーズをウェバーとエイクボーンがミュージカル化し、ロンドンのハー・マジェスティ劇場で、1975年に世界初演されたが、上演数38回で打ち切られた失敗作だった。 筆者はそれから20年以上経った1996年2月29日に、デューク・オブ・ヨークス劇場 (定員659席の小劇場) で観ている。初演時の音楽・脚本を大幅に書き直して、アラン・エイクボーンが演出、マルコム・シンクレア、スティーヴン・ペイシー、ロバート・オースティン、他の出演。脚本・音楽とも申し分なく、この作品は2001年にブロードウェイのヘレン・ヘイズ劇場で上演されている。

 教会のチャリティ・イベントでバンジョーを弾くはずだった貴族のバーティ・ウースター (ウエンツ瑛士) が取り出したのは、何故か メフライパンモ 。どうやらバンジョーは盗まれたらしい。それが一つ目の混乱! 困り果てたバーティに執事ジーヴス (里見浩太朗) は、新しいバンジョーが届くまでの二時間の時間稼ぎに、昔、友人たちの恋のもつれを解決すべくバーディが活躍した報復絶倒の武勇伝を披露することを勧める。こんな愉快な幕開けに始まり、舞台は劇中劇へと進んでいく。天才執事の今と昔(劇中劇)を行ったり来たりの、おかしな進行に助けられ、混乱極まる舞台は進んでいく。

 幼馴染のガッシー (つぶやきシロー) がロンドンのバーティの邸を訪ね、愛するマデリン (入来茉里) との仲を取り持つよう依頼。そこへマデリンの父 バセット (モト冬樹) が現れるが、彼はバーティが誤認逮捕された時の裁判官。その時バーティはガッシーになりすまし、ガッシーはバーティになりすまし、バセット邸へ出かけているという二つ目の混乱! 新聞にはバセットの姪スティッフィー (高橋愛) とバーティとの婚約記事が載ってしまう、三つ目の混乱! バーティは、スティッフィーに問いただそうとバセット邸へ向かう途中、幼馴染のビンゴ (エハラマサヒロ) 、元カノジョのオノリア (樹里咲穂) に出会う。ビンゴはオノリアに夢中だが、焼けぽっくりに何とやら、オノリアはバーティに熱く迫る。四つ目の混乱! 樹里の熱演に会場は笑いの渦。

 バセット邸には、マデリンにぞっこんのサイラスバッジ三世 (なだぎ武) が来ていて、混乱は増え続け、恋のもつれは限りなく広がっていく。里見ジーヴス執事のウィットに富む演技と、執事に支えられたお人よしのバーティは果たして友達を助けることができるのか、客席は恋のもつれに振り回されながら、舞台に釘付けになっていく。

 執事なる仕事は、日本では馴染みがないものの、ベテラン俳優・里見浩太朗の執事とウエンツ瑛士の能天気なバーティの絶妙なコンビが、歌良し、演技良しの役者陣に囲まれて大成功。「バンジョー・ボーイ」「夢を探しに」「ハロー・ソング」等のミュージカル・ナンバーは、佳曲揃い。ロイド・ウェバーとアラン・エイクボーンの本作品に、新たな1ページを加えた。観劇日は7月7日、七夕の夕刻の楽しいひとときだった。

写真提供: ホリプロ

日本のロックのエース、「シーナ&ロケッツ」のニューアルバム
"ROKKET RIDE"。・・・・・・池野 徹
 ロックは、発祥から60年を経てきたが、普遍化して音楽界では、当たり前の様になっているが、あのロックの、ビート、スピリットは、現在の日本には存在しないとさえ言える。アレンジされワイドになり、一見ロックと称されてるが、別物が多過ぎる。そんな中で35周年を迎えてるシーナ&ロケッツは、ギターの鮎川誠と女性ヴォーカルのシーナとの絶妙な夫婦デュオが中心となり、ベーシスト奈良敏博とドラマーの川嶋一秀のオリジナルメンバーでくまなく日本をバイブスしながら、ロックの存在を明快に表現してくれてきたロックバンドだ。他の追随を許さない、日本のレジェンド・オブ・ロックだ。

 18枚目のアルバム「ROKKET RIDE」が2014.7.23にリリースされた。12曲の楽曲は全て鮎川誠の作曲で、もちろんヴォーカルは、シーナのシャウトで構成されてるが、作詞家にマイケルやクラプトンの作詞を手がけたクリス・モステルが「ROKKET RIDE」等を作詞。また、サンハウス時代からの盟友、柴山俊之。そして、ロックフェスのDJ, 山名昇。さらに阿久悠の未発表作品「ロックンロールの夜」が入っている豪華版だ。

 セットリストのトップに「ROKKET RIDE」、そして「ROCK FOX」これはまさにこのアルバムのインパクトになっている。「I'm So Glad」はシーナが気持ち良く乗っている。そしてラストに鮎川誠のヴォーカルで阿久悠の「ロックンロールの夜」ロックに対する思いが表現されている。全体のコンセプトは、作詞の語りのオモシロさもあるが、リズムとビートは、80年代風からの彼等のベーシックサウンドが、小細工する事なく最後までストレートにスルーしている。S&Rビートのロックになっっていることだ。

 私が、シーナ&ロケッツが好きなのは、ロックを知っている事である。ブルージイさとビートとリズムが常にベースにあり、ロックが人間をハッピーにしてくれる事を表現してくれる。シーナと誠の素朴な人間性と、ロックをまんま継続して来たスピリット、一番は、誠のレスポールギターの卓越さ、シーナのハスキーヴォイスのセクシーさ、何よりも変わらぬスキニーな体型と、カッコヨサ。ローリング・ストーンズと同じだ。パーフェクトに脱帽する。ロックに惚れているパフォーマンスがヒシヒシと伝わって来る。

 S&Rのライブは、シーナの息吹が眼前にあり、誠のピッキングが心臓をえぐる。S&RテンションX69になる。
★ロックの聖地、「日比谷野外音楽堂」で、9月13日(土)単独ライブがある。

<Photo by Tohru IKENO>

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