2014年8月 

  

Popular ALBUM Review


「イエス!/ジェイソン・ムラーズ」(ワーナーミュージック・ジャパン:WPCR-15813)
 デビューしてすでに12年になるのかぁという思い。今や立ち位置もしっかり決まって新世代を代表するシンガー・ソング・ライターとして幅広い支持を集めるジェイソンの新作(5作目)はアコースティックな感覚をより打ち出し、そして類稀なメロディー作りのセンスがさらに輝きを増して実に心地好いタッチ。シングル曲になった「ラヴ・サムワン」よりも3曲目の「ハロー、ユー・ビューティフル・シング」の方が個人的には印象深い(なんかラヴィン・スプーンフルを思い出したりして)。10曲目「シングス」を聴いてたら昔のキャット・スティーヴンスが浮かんだりも(年寄りなので、つい。。。)。ジェイソンの楽曲と歌声は年輩者の耳にも優しい♪(上柴とおる)


Popular ALBUM Review


「The Atco Sessions 1969-72/ルル」(BSMF RECORDS:BSMF-7511)
 タイトル通り1969年〜1972年にかけて1960年代のガール・ポップを代表するルルがAtcoで吹き込んだ音源の集大成。一歩先んじてAtlanticからアルバムを出して大成功を収めた同じ英国のダスティ・スプリングフィールドに続く'英ブルー・アイド・ソウル・レディ'の実力を巧みに引き出したのはジェリー・ウェクスラー、トム・ダウド、そしてアリフ・マーディンの'Atlantic三羽烏'。録音もメンフィスのマスル・ショールズのスタジオとマイアミのクライテリア・スタジオ。スワンプ・ロック系〜R&B系で鳴らした名うてのミュージシャンたちのサポートを得て当時まだ20歳そこそこながら「いつも心に太陽を」とはまた異なる秘められた?黒っぽい魅力を全開♪ アルバム2枚分+シングル・オンリー曲+未発表曲で全39曲をCD2枚にパック。当時モーリス・ギブ(ビー・ジーズ)と結婚していたこともあって「メロディ・フェア」など関連作も取り上げられているが仕上がりは「グッド・デイ・サンシャイン」(ビートルズ曲)などのカヴァー同様'目からウロコ'かも♪いろいろな楽曲にチャレンジしており(詳細は曲目解説を参照)、ルルにとっては長いキャリアにおける一番の意欲作かと♪(上柴とおる)


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「ROKKET RIDE/シーナ&ロケッツ」(スピードスターレコード VIZL-697)
 35周年を迎えてるシーナ&ロケッツ18枚目のアルバム「ROKKET RIDE」が2014.7.23にリリースされた。ギターの鮎川誠と女性ヴォーカルのシーナとの絶妙な夫婦デュオが中心となり、ベーシスト奈良敏博とドラマーの川嶋一秀のオリジナルメンバー12曲の楽曲は全て鮎川誠の作曲で、ヴォーカルは、シーナ、作詞家にマイケルやクラプトンの作詞を手がけたクリス・モステルが「ROKKET RIDE」等を作詞。また盟友、柴山俊之。 山名昇。さらに阿久悠の未発表作品「ロックンロールの夜」が入っている豪華版だ。「ROCK FOX」は、このアルバムのインパクトだ。「I'm So Glad」はシーナが気持ち良く乗っている。何よりも変わらぬスキニーな体型と、カッコヨサ。ローリング・ストーンズと同じだ。ロックに惚れているパフォーマンスがヒシヒシと伝わって来る。(池野 徹)


Popular CONCERT Review






「グラジーナ・アウグスチク&ポリーニョ・ガルシア
6月24日(ファースト・ステージ) 丸の内コットン・クラブ
 グラジーナ・アウグスチクは、ポーランドを代表するヴァーサタイルなジャズ・シンガー、ポリーニョ・ガルシアは、ブラジル出身、シカゴ・トリビューン紙で「シカゴの至宝」と云われたブラジル音楽の権威。二人とも今は、シカゴをホームグラウンドにして活躍している。二人は、1998年に出会い、いままで5枚のアルバムで共演してきている息の合ったボサ・ノヴァ・コンビだ。コットン・クラブ初出演。舞台は、先ず、ポリーニョのソロによる「恋の行方」とポルトガル語の「あなたを愛してしまう」で始まる。最近の彼のアルバム「ひとり(Beautiful Love)」からのナンバーだ。彼の温かい人間味がにじみ出るような歌だ。そして、グラジ-ナが登場、「おいしい水」を見事なハーモニーでデュエットする。その後、最近日本盤の出たビートルズ集「ふたりのボサ・ノヴァ」から「ブラックバード」から「ビコーズ」まで6曲が中心のプログラムを彼等ならではの柔らかいボサ・ノヴァで歌った。さり気なく歌うが、高度の音楽的素養に裏打ちされた歌唱技術は、素晴らしいものがあった。アンコールの英語とポルトガル語で掛け合いの様に歌う「ウェ—ブ」も含め全15曲を歌ったが、中でも二人のスキャットで楽しそうに延々と歌うドゥルヴァルの「バチーダ・ジフェレンチ」が特に印象に残った。シンプルなステージだが、ライヴで聴いて良かったという満足感得て家路についた。(高田敬三)
写真提供/COTTON CLUB
撮影/米田泰久


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「リック・ウェイクマン」 7月1日 東京フォーラムCホール
  リック・ウェイクマン完全復活を宣言しよう!!!ここ十数年体調の悪さの為か、想う様なパフォーマンスを発揮出来なかった様に思えたウェックマンであるが、この日の彼はMCを始め演奏全てをピアノ1台(スタィンウェイ)だけで(2曲BGMを使用)どんなピアノ・リサイタルよりも素晴らしい演奏を聴かせてくれた。先ずはパッヘルベルの「カノン」から始まり、アルバム『ヘンリー8世と6人の妻』から「アラゴンのキャサリン」「キャサリン・ヘワード」と続き、美しい響きとメロディの名曲「雨にぬれた朝」、アルバム『地底探検』から聴く者のイマジネーションを掻き立てる「地球の中心への旅路」、そして何と言ってもキーボードの魔術師と異名を取るウェイクマンの本領が発揮されたのは、アルバム『危機』から想像を絶するアレンジが素晴らしい「同志」、そしてビートルズ・ナンバー「シャンソン風ヘルプ〜スクリーン・ミュージック風エリナ・リグビー」と全く飽きの来ない演奏を披露した事だ。これ程、ピアノを歌わせるロック・ミュージシャンはいないと断言できる。だからこそ、YESのメンバーとして、これからも世界中のファンに演奏を聴かせて欲しい。(上田 和秀)


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「Vince Jones」 丸の内コットン・クラブ
7月3日ファースト・ステージ
 ヴィンス・ジョーンズは、スコットランド生まれ、11歳でオーストラリアに渡ってマイルスの「スケッチス・オブ・スペン」を聞いてジャズ・トランぺッターを目指したという。80年代にチェット・ベイカーのようにトランペット、フリューゲル・ホーンを吹く歌手として注目され幾つかのアルバムを発表した。日本盤は、2000年に一枚出ただけだが、2012年に続いて2度目のコットン・クラブ出演だ。腕を後に組んで背筋を伸ばしてハミングしながら一曲一曲説明を入れながら進めるステージは、以前と変わらない。トランペットのようにフレーズを長くのばして歌う独特のスタイルで「Just In Time」から始め、自作曲や、ギル・スコット・へロンの社会問題をとりあつかった「Winter In America」などコンテンポラリー・ナンバー等、9曲を歌った。出身のスコットランドのケルト系フォーク・ソングの色合いの彼独特の歌だ。時々、ステージに置いたトランペットに手を伸ばすが、思いとどまるという仕草を繰り返し、トランペットを吹いた曲な結局2曲でソロは、殆ど吹かなかった。しゃがんで水を飲む場面が多く、体調も万全ではなかったのかもしれない。つられるようにバンドの演奏も精彩を欠いていた。それでもアンコールを「Love Comes Back」とホーギー・カーマイケルの「I Get Along Without You Very Well」の2曲を歌った。2曲目は、哀調を帯びた彼の歌にぴったりだったが、何か食い足りないといったステージだった。(高田敬三)
写真提供/COTTON CLUB
撮影/米田泰久


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「デュオ・エビータ」 7月4日 アート・カフェ・フレンズ
 この日、デビュー・ライヴとなったデュオ・エビータのチェリスト植草ひろみとピアニスト鈴木美奈子の二人は、日本を代表する演奏家である。アルゼンチンを代表するピアソラの作品、ピアソラの親友ホセ・ブラガードの作品、グアスタヴィーノの作品を演奏する事をライフワークとしているこの二人の出会いは、単なる運命ではなくアルゼンチンの音楽の神がもたらした啓示ではないだろうか。梅雨時の雨を吹き飛ばすような爽やかなアルゼンチンの風を吹き込んだ二人の演奏は、「オブリビオン」「リベルタンゴ」と言った誰もが良く知る名曲だけでなく、ホセ・ブラガードが植草ひろみの為にチェロとピアノの用にアレンジした「ナイトクラブ1960年」やスペシャル・ゲスト横井克裕の朗読も心に沁みた聴く者の想像を掻き立てる「鳩のあやまち」などここでしか聴けない情熱的でありながら繊細な名曲の数々だった。一日も早くデュオ・エビータによるアルバムを聴きたい事も含め、今後の活躍に大いに期待したい。(上田 和秀)


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「《うたかたれ》沖縄の至宝 大城美佐子『愛唄(かなうた)』コンサート」
 大城美佐子は沖縄民謡のレジェンドと呼ばれる女性歌手。今年で芸能活動57年を迎えるにあたり、彼女の足跡をたどったCD2枚組のベスト・アルバム『愛唄(かなうた)』が7月にリリースされたばかりだ。ここには1962年のデビュー・ヒット「片思い」を始め、今となっては入手困難な録音や未発表曲、伝説的な名録音の数々が収められており、沖縄民謡の系譜を知る上でも貴重な作品となっているが、今回のコンサートはこのベスト盤発売を記念したもの。普段、沖縄民謡に触れる機会がない人たちにも是非、うそ偽りのない真実の歌声に触れて頂きたい。(YT)

* 8月30日 門司赤煉瓦プレイス 赤煉瓦交流館
* 10月4日 東京・北沢タウンホール
お問い合せ:http://www.kanauta.com/


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「ベン・フォールズ」
 現代ポップシーン最高のピアノマンと称されるベン・フォールズの来日公演「THE BEN FOLDS ORCHESTRA EXPERIENCE」が、決定した。タイトル通り今回のライヴは、オーケストラとの共演である。ピアノマンと言うが、プロのキャリアとしては、ベースやドラムの方が早く、全ての楽器を担当しアルバムを作成した程のマニアックな人物なだけに、どんなアレンジで数々のヒットを演奏するのか楽しみである。(UK)

* 11月17,18日 Bunkamura オーチャードホール
* 11月20日 サンケイホールブリーゼ
お問い合せ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999
http://udo.jp/


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「サラ・ブライトマン」
 昨年の宇宙をテーマした感動のライヴの記憶も新しい、世界中で愛される歌姫サラ・ブライトマンの来日公演が決定した。「サラ・ブライトマン in Concert with Orchestra」と題されたライヴは、前回のバンドとは異なりオーケストラをバックに従えて、彼女のソプラノが響き渡り本当の実力を発揮できる物となる。「オペラ座の怪人」「クエスチョン・オブ・オナー」「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」と言ったジャンルを超えたヒット曲を全身で受け止めて欲しい。(UK)

* 11月29日 北海きたえーる
* 12月1,8,11,12日 東京国際フォーラム ホールA
* 12月2日 大阪城ホール
* 12月4日 広島サンプラザホール
* 12月5日 愛知県体育館
* 12月7日 セキスイハイムスーパーアリーナ
* 12月9日 パシフィコ横浜

お問い合せ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999
http://udo.jp/


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「アート・ガーファンクル」
 アメリカン・ポップ史上最も美しく、天使の歌声と称えられたシンガー・ソングライター アート・ガーファンクルの来日公演が決定した。この人の場合、ソロとしてのキャリアの中でのヒット曲とサイモン&ガーファンクルのメンバーとしてのヒット曲どちらも聴きたいと希望するファンの為にどんなセットリストになるのかが、一番の期待と不安になる。勿論、昔の様な美しい歌声を夢見るファンも多い事だろう。是非とも、万全のコンディションでライヴに挑んで欲しいものだ。(UK)

* 12月4日 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
* 12月5日 あましんアルカイックホール
* 12月7日 アステールプラザ
* 12月8日 金沢市文化ホール
* 12月10,11日 渋谷公会堂

お問い合せ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999
http://udo.jp/


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