「リンカーン・ブライニー/ホームワード・バウンド〜サウンド・オブ・S&G」 (MUZAK MZCF 1328)
リンカーン・ブライニーは、アメリカ西海岸で活躍するシンガー、チェット・ベイカーの歌に影響されていて、その語り口は、ベイカーそっくりの時もある。ボサ・ノヴァも彼のスタイルに合っていてお得意だ。彼の4年振りの新作は、60年代に活躍したサイモンとガーファンクルに捧げる作品。フェイスブックで出会ったというシカゴのプログラミング、キーボ—ズ、フェンダーローズなど担当のポール・ラングフォードとで作られた如何にも現代的作品。それにギター、パーカッション、フリューゲル・ホーン、そして 男女3人のバック・コーラスが大変効果的に加わる。サイモンとガーファンクルの作品集だが、表題曲や「So Long Frank Llyod Wright」そして、バーブラ・ストレイサンド、アン・バートン、フィービ・スノウ等のカヴァーも有る「Something So Right」以外は、耳馴染みのある曲は、あまり取り上げていない。「Bridge Over Troubled Water」や「Sound Of Silence」は、意識的に外したという。それが正解かどうかは、意見の分かれるところだろう。何れにしても肩の力の抜けたソフトで多少アンニュイな感じの漂う彼のスタイルには、ぴったりとはまった企画といえるだろう。(高田敬三)
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