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「ラロ:スペイン交響曲 ニ短調 作品21、サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン 作品20、ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26 / ルノー・カピュソン(ヴァイオリン)、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、パリ管弦楽団」(ワーナーミュージック・ジャパン、エラート/WPCS -13327)
今やフランスを代表するヴァイオリニストであるルノー・カピュソンが、昨年オープンしたばかりのホール、フィルハーモニー・ド・パリで5月と9月に録音した最新盤である。収録した曲はすべてルノーが12歳の時に初めて取り組んだフランス、スペイン、ドイツ3カ国の作曲家による3曲で、そしてそのすべてが誰もが知っている超有名曲と言われる曲ばかりである。このディスクを聴いて先ず感じるのは音が実に甘く美しい、と言うことだ。彼が今弾いている楽器は、戦後も大活躍したかのアイザック・スターンが愛用していた1737年製のグァルネリ・デル・ジェスだが、筆者はスターンよりもルノー・カピュソンの方がより相性が良いのではないかと思う。最初のスペイン交響曲では当然のことだろうが5楽章のフル・ヴァージョンである。最後のブルッフの協奏曲は叙情味に溢れ素晴らしいが、2つの協奏曲に挟まれているツィゴイネルワイゼンの哀愁に満ちた演奏は例えようもなく美しく、この3曲のなかでは、一頭地を抜く出来映えである。最後にパーヴォ・ヤルヴィとパリ管の制御されたバックアップの完璧さも一言加えておきたい。(廣兼正明) |