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「ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88 B163、交響曲第9番 ホ短調 作品95 B178 《新世界より》/ イルジー・ビエロフラーヴェク指揮、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団」 (ユニバーサル ミュージック、デッカ / UCCD-1422)
紆余曲折を経て2012年20年振りにチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に復帰を果たしたビエロフラーヴェクがそのチェコ・フィルとドヴォルザークの2大交響曲、第8番と第9番「新世界より」が2013年11月(第8番)、12月(第9番)のルドルフィヌムでの録音でようやくCD化された。指揮者のビエロフラーヴェクの音楽作りには決して華々しさはない。一言で言えば地味である。しかしドヴォルザークの音楽も地味であり、ボヘミアの土の香りに満ちた存在である。現在この演奏が最高のものと言えるかどうかは分からないが、自他共に認める正統的な演奏であることには間違えない。ドヴォルザークの曲、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団が1901年に今の形で出来上がってからの経過を辿ってみると、最も正統的と言わざるを得ないのではなかろうか。今後は指揮者とオーケストラの世代交代もあるだろうが、当分はこのままの状態で推移するだろう。それはさておきチェコ・フィルをルドルフィヌムでそして日本で聴くときにいつも思い出すのは、やはりチェコ・フィルは特に弦の質が素晴らしいオーケストラであると言うことだ。世界中で遍く有名なヴァイオリン教育の始祖、シェフチックが編み出した奏法による薫陶を受けているからで、チェコでは今もそれが子どもからプロの演奏家に至るまで、綿々と受け継がれていると言う。(廣兼 正明) |