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「モーツァルト:弦楽四重奏曲第1番 ト長調「ローディ」 K.80(弦楽合奏版)、カッサシオン ト長調 K.63、セレナード第6番 ニ長調「セレナータ・ノットゥルナ」 K.239 / 長岡京室内アンサンブル、音楽監督:森悠子」(N&F、NF60107)
長岡京室内アンサンブルが「スークとドヴォルザークの弦楽セレナード」のCDで2003年度第16回「ミュージック・ペンクラブ音楽賞」を獲得して早いもので既に11年が過ぎた。そして今回が7枚目のCDリリースとなる。このアンサンブルはパイヤール室内管弦楽団で活躍した森悠子をリーダーとして京都の長岡京市をフランチャイズとして1997年に創設されたから、今年で18年になる。メンバーは森の母校桐朋学園の出身者をはじめ、技術的にも音楽的にも秀でた逸材が多く、このところのこのアンサンブルの急激な進歩は目覚ましい。先日今回のCD発売記念演奏会が、東京文化会館小ホールで行われた。その演奏は前回に較べても遙かに流麗なものになっていた。さて収録では楽器の位置をパート単位でなく、弦楽四重奏単位として配置して録音する方式で行われたが、今までの方式より丸みを持った柔らかな音に聞こえる。この3曲はすべて耳あたりが良く、最初の弦楽四重奏曲第1番の「ローディ」は、原曲のクァルテットに較べ肉厚な弦楽合奏版であり、原曲よりも遙かに良い感じを受ける。またカッサシオンも普段余り聴く機会がない曲だが、7楽章構成の実に美しい曲で流石天才モーツァルトと言える曲。最後は古典楽器のティンパニを使ったセレナード第6番「セレナータ・ノットゥルナ」で楽しく締めくくられる。このCDを聴いてみると、地方で生まれたアンサンブルが日本を代表する室内アンサンブルになるまでに育て上げた、リーダー森悠子の飽くなき情熱がひしひしと感じられる。(廣兼 正明)
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