2015年2月 

  

Audio Blu-Ray Disc Review

「ジャージー・ボーイズ」(ワーナー・ホーム・ビデオ)
 チャーリー・パーカーの伝記映画(『バード』1988)を撮るほどのジャズファンのイーストウッドがフォー・シーズンスが主人公のヒットミュージカルを映画化したのに戸惑いを感じたが、映画を見て納得がいった。イーストウッドの出演映画のシーンが劇中に挿入される。米白人ポップスのメインストリーム・コーラスグループの栄光と挫折のほろ苦い物語に、自身の映画界での山あり谷ありのキャリアをオーバーラップさせたのである。

 クリストファー・ウォーケンを除き有名俳優は登場せず、舞台版で出演実績のあるミュージカル俳優ばかりを起用。ここでのイーストウッドは、細かい演技は彼らに任せ楽しんで撮っている印象。しかし、群衆処理やラストの群舞にヴェテラン映画監督ならではの躍動感が漲る。

 画質は『チェンジリング』を連想させる。枯れたアンバー調にカラーコレクトし、良い音楽は必ず売れた幸福な時代の雰囲気を再現。色彩感は抑えめだが個性的な色彩設定ゆえ解像感がややマスクされるが、コントラストは深く黒に艶がある。音声は48kに止まるのが残念。ミュージカル映画はハイレゾ音声を採用していただきたい。(大橋伸太郎)