|
「R.シュトラウス:4つの最後の歌、交響詩《英雄の生涯》 作品40 / アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)、ダニエル・バレンボイム指揮、シュターツカペレ・ベルリン、ヴォルフラム・ブランドル(ソロ・ヴァイオリン)」(ユニバーサル ミュージック、ドイツ・グラモフォン/UCCG-1690)
2014年8月に収録された今や人気絶大のスター歌手となったネトレプコと、指揮界の巨匠であるバレンボイムとのR.シュトラウス生誕150周年最後を飾るに相応しい最新ライヴである。「4つの最後の歌」を聴いているとネトレプコの音楽的な大きな成長が感じられる。 オペラで育ったネトレプコらしく、死をテーマにしたこの4曲に対する感情の移入が素晴らしい。彼女を伴奏するバレンボイムはオーケストラを見事に統率し、彼女の感情の吐露に最適な陰影をつけているのは流石である。
バレンボイムは次の「英雄の生涯」で作曲者の思いを十二分に表現し、その管弦楽法の素晴らしさを見事に、そして堂々と彼流に再現して見せる。手兵とも言えるシュターツカペレ・ベルリンを従え、彼自身の音楽に作り上げていく様は何とも言えない大きさを感じる。そして特筆したいのは第3曲「英雄の伴侶」のソロを弾くこのオーケストラのコンサートマスター、ヴォルフラム・ブランドルの上手さである。このブランドルには極限とも言える音楽性の高さを感じさせてくれた。(廣兼 正明)
|