2015年5月 

  

Audio Blu-Ray Disc Review

「ポール・マッカートニー トリビュート ミュージックケアーズ」(Ward RECORDS GQXS90005)
 4月に二年ぶりの日本ツアーを成功裏に終えたポール・マッカートニー。2012年にロサンゼルスのステイプルセンターで上演されたトリュビュート・コンサートのステージ映像が本作。
 ポール本人が歌い演奏するのは今回の日本ツアーのオープニング曲だった「マジカル・ミステリー・ツアー」とウイングス時代の全米No.1ヒット「ジュニアーズ・ファーム」、比較的最近の「マイ・ヴァレンタイン」他。
ポールというと英ロック界の〈顔役〉だが米西海岸音楽界の人脈が分かるのが本作の興味。ジェームズ・テイラーの出演はアップルでのデビューに関わったことで理解出来るが、ニール・ヤング(ウィズ・クレイジー・ホース)の出演は意外。孫の世代ではノラ・ジョーンズがノーシャウトでさらりと歌う「オー! ダーリン」が洒脱な味。
 58分という尺の短さから放送用映像と推察される。クローズアップでディテールが甘く解像度不足。まさかご高齢のポールに気兼ねした訳では…。音声はリニアPCMステレオとDTS HDマスターオーディオの二種だが米デジタルTV基準の48kのまま。これだけの面子の競演なのだから96kにアップサンプリングして出すべきだ。
(大橋伸太郎)