コンテンポラリー・ダンスの第一人者、ウィリアム・フォーサイスの振付作品を集めたバレエ公演「フォーサイスの夕べ」がミラノ・スカラ座で9月6日に初日をあけた。スカラ座バレエ団が初めてフォーサイスの振付作品に取り組んだのは1998年のこと。「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッドIn the middle, somewhat elevated」などの有名作品に加え、スカラ座委託作品「クワルテットQuartetto」を世界初演し、アレッサンドラ・フェリ、マキシミリアム・グエッラ、マッシモ・ムッル、デズモンド・リチャードソンの4人が主演した。今回の「フォーサイスの夕べ」はスカラ座のエトワール・ダンサー、スヴェトラーナ・ザハロワとロベルト・ボッレの出演が発表されていたが、ザハロワが個人的理由で降板し、その代わりに10回公演のうち7公演に出演する予定だったボッレが全公演に出演した。
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「アーティファクト・スイートArtifact Suite」
フォーサイスの一晩もののバレエ「アーティファクトArtifact」を元にしたスイート。バッハの無伴奏ヴァイオリン曲パルティータ2番を使う前半と、フランクフルト・バレエのピアニストだったエヴァ・クロスマン=ヘヒトのピアノ曲を使う後半の2部構成となっている。前半は二組のパ・ド・ドゥが中心となり、後半はどちらかというとマス・ゲーム的な勇壮な展開になる。筆者が観た14日はフランチェスカ・ポディーニとルイジ・サルッジャ、ベアトリーチェ・カルボーネとエリス・ネーザがパ・ド・ドゥで安定した踊りを見せ、また全体を導く役割を果たすシモーナ・キアラも機械仕掛けのような動きが上手かった。
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「ヘルマン・シュメルマンHerman Schmerman」
前半のクインテットと後半のパ・ド・ドゥからなる作品。クインテットの部分はニューヨーク・シティ・バレエで、パ・ド・ドゥはフランクフルト・バレエでそれぞれ1992年に作られたものである。フォーサイスとのコラボレーションが多いトム・ウィレムスの音楽で、シンセサイザーにエスニックな曲を混ぜ込んだ音に乗り、黒い衣裳の5人のダンサーが縦横無尽に踊る。特にルアナ・サウッロの鍛えられた肉体と踊りが際立った。後半のパ・ド・ドゥは世界の一流ダンサーがガラなどで好んで踊る部分である。前半の黒い衣裳から後半は鮮やかな黄色のミニ・スカート(ヴェルサーチェのデザイン)に履き替えて出てくるが、女性だけではなく男性も上半身裸でミニ・スカートを履いてユーモラスな雰囲気がある。踊りだけではなく演技力も要求される作品だ。15日に観た公演では、この作品にデビューしたマルタ・ロマーニャとロベルト・ボッレが息のあった演技を見せ、二人とも踊りの型をくっきり見せながらもチャーミングな表情も加味し自由自在の表現であった。
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「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッドIn the middle, somewhat elevated」
フォーサイスの一番有名な作品である。ガラで部分的に目にすることが多いが、完全版は女性6名、男性3名によって踊られる。ザハロワが出演するはずだった演目で、ボッレが「ヘルマン・シュメルマン」を踊らない3公演に出演した。初日キャストはマルタ・ロマーニャ、フランチェスカ・ポディーニ、ミック・ゼーニの三人が中心パートを踊った。ポディーニは古典やロマンティック・バレエに比べるとコンテンポラリーはリズム感などで未熟な点が見えたが、ベテランのロマーニャとゼーニは正確な踊り。また14日に観たボッレはこの作品が1998年にスカラ座で初めて上演された時から主演しガラ公演でも良く取り上げるだけあって、切れの良い踊りで貫録も十分、エトワールの存在感を見せつけた。
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