ジャズヴォーカルの地平線を大きく広げた人だった。1975年のデビュー・アルバム「 We Got By 」では、“ここまでこねくり回す歌い方があったのか”と従来のジャズ・ファンを驚かせ、早くも77年の三作目でライヴ盤を世に出し、自らの実力の高さを示してみせたのだった。そのライヴアルバム「Look To The Rainbow, Live」で初のグラミー賞最優秀ジャズヴォーカル・アルバム賞を受賞。80年からはポップ〜R&B〜AORの分野にも挑戦し、81年に発表したアルバム「Break Away」ではグラミーの最優秀男性ポップ・ヴォーカル賞を、同作収録の「Blue Rondo a la Turk」でグラミー最優秀ジャズヴォーカル賞を受賞。更に92年発表の「Heaven and Earth」でグラミー最優秀R&Mヴォーカル賞を受賞。これにより、グラミーのジャズ、ポップ、R&Bの3部門でグラミーを受賞した最初の個人シンガーとなった。グラミーは計6度の受賞を受けている。