フィル・スペクター関連の作品集が続々登場♪ by:上柴とおる
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ソニー・ミュージックが「フィル・スペクター再発プロジェクト」を立ち上げた。今も新鮮な輝きを放つ'ウォール・オブ・サウンド'を生み出した20世紀の大音楽プロデューサー、フィル・スペクターが自身のフィレス・レコードをスタートさせたのは1961年。以来今年で50周年を迎えるというわけで主力アーティストたちの新編集のベスト盤や企画編集盤、さらには豪華ボックスも用意されるなどまさに待ち焦がれた嬉しいプロジェクト。すでに様々な音源を収集しているマニアックなファンのみならず、スペクターといえば受けないダジャレをかますデイヴさんがまず頭に思い浮かぶような、またその名を多少なりとも耳にはしていても例の事件以上に特に詳しくはないといった人たちにもその楽しさ、魅力、感動を大いに味わってもらいたい。そしてまたスペクターがロック史に残した大きな功績の数々も認識してもらいたいなぁと切に願うところ。これを機にビートルズやストーンズ、ブライアン・ウィルソン、スプリングスティーン、ビリー・ジョエル、デイヴ・エドモンズ、ラモーンズ、大瀧詠一、山下達郎。。。といった多くの著名アーティストたちを虜にした'フィル・スペクター'の存在をファンの一人としても改めて広く世に知らしめたいと思う。スペクター関連の復刻企画はこれまでにも何度か敢行されていて個人的にはアナログ時代の1976年に日本でもビクターから出されたロネッツ、クリスタルズ、ボブ・B.ソックス&ブルー・ジーンズの各ベスト盤やオムニバス盤「スペクター・イエスタデイズ・ヒッツ」や「レア・マスターズ/幻のスペクター・サウンドVo.l.1」「同Vol.2」が衝撃的だったのがいまも記憶に残っている(LPも大切に残してます♪)。CD時代になって間もなくの1991年にはまた新たにabkcoからBOXが、翌1992年にはロネッツ、クリスタルズ、ダーレン・ラヴの各ベスト盤が世に出されたが今回はそれらとも内容がまた異なっているので要注目♪
◎まず10月26日にフィル・スペクターがプロデュースを手掛けた音源による新編集のベスト盤が4枚(最新リマスター/高品質Blu-spec CD:各税込\2,000)。
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◆ウォール・オブ・サウンド〜ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・フィル・スペクター1961-1966(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP-20310)
ロネッツやクリスタルズ、ライチャス・ブラザースなどスペクターProdで送り出された代表的なヒット曲を中心に組まれたオムニバス盤(全19曲)。1966年No.88ながらも'ロックン・ロールの殿堂入り'を果たしたアイク&ティナ・ターナーの「リヴァー・ディープ、マウンテン・ハイ」も収録
<英文ライナー訳、特別寄稿、解説付き>
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◆ダ・ドゥ・ロン・ロン〜ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ザ・クリスタルズ(SICP-20311)
フィレス初の全米No.1ヒットになった「ヒーズ・ア・レベル」(1962)や表題曲(1963:No.3)がロックン・ロールの殿堂入りとなった女性トリオの全18曲入りベスト盤。未発表テイク「ウーマン・イン・ラヴ」CD初収録
<英文ライナー訳、特別寄稿:亀渕昭信、解説:萩原健太> |
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◆ビー・マイ・ベイビー〜ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ザ・ロネッツ(SICP-20312)
2007年にグループとしてロックン・ロールの殿堂入りという栄誉を授与された女性トリオ。ロック系アーティストたちから熱い視線を送られるロニー・スペクター(フィルと一時結婚生活)の独特の歌唱と共に堪能出来る全18曲の中にはCD初収録の「アイ・キャン・ヒア・ミュージック」(ビーチ・ボーイズがカヴァー・ヒット)も
<レニー・ケイによる英文ライナー訳付、特別寄稿:木崎義二、解説:上柴とおる>
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◆ザ・サウンド・オブ・ラヴ〜ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ダーレン・ラヴ(SICP-20313)
ザ・クリスタルズやボブ・B.ソックス&ザ・ブルー・ジーンズのヴォーカリストとしても活躍したダーレン・ラヴのフィレス時代の音源を全17曲。ブロッサムズ名義での音源も収録。2011年にロックン・ロールの殿堂入り
<ジム・ベスマンによる英文ライナー訳付、特別寄稿:高浪慶太郎、解説:長門芳郎> |
*10月26日にはまた日本編集(監修・選曲:土橋一夫)のオムニバス盤「テイスト・オブ・ウォール・オブ・サウンド」(SICP-20314:税込\2520:高品質Blu-spec CD)の発売も予定されている。この音作りに影響された楽曲の数々を集めたものでロニー・スペクター&E.ストリート・バンドの「さよならハリウッド」(曲:ビリー・ジョエル)、トレイド・ウィンズ「ニューヨークは淋しい町」、ソインー&シェール「ジャスト・ユー」、プリファブ・スプラウト「ア・プリズナー・オブ・ザ・パスト」、ラヴィン・スプーンフル「ユー・ベイビー」などなどを収録予定。
◎11月2日には今やすっかり定番のクリスマス盤が紙ジャケットで新に登場♪(2009年最新リマスター/高品質Blu-spec CD:税込\2,200)。
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◆ア・クリスマス・ギフト・フォー・ユー・フロム・フィル・スペクター(SICP-20315)
スペクターの手によるウォール・オブ・サウンドに包まれたおなじみのスタンダードなクリスマス・ソングが13曲。今や20世紀のクリスマス名盤♪
<フィル・スペクターによるオリジナルLP掲載の英文ライナー&ジム・ベスマンによる英文ライナー訳付、解説:土橋一夫> |
*1962年〜1964年にかけて発売されたオリジナル・アルバム6枚(紙ジャケット盤:オリジナルの内容ではすべてが世界初CD化!)+ボーナス・ディスク1枚を収めた7枚組のボックスもついに12月21日にリリースの予定(オリジナル・モノラル音源からの最新リマスター/日本盤のみ高品質Blu-spec CD:価格未定/豪華コレクター・ボックスに収納)
◆「フィル・スペクター・プレゼンツ フィレス・レコード・アルバム・コレクション」(品番未定)
収録アルバムは「ザ・クリスタルズ・ツイスト・アップタウン」「ヒーズ・ア・レベル/クリスタルズ」「ジップ・ア・ディー・ドゥー・ダー/ボブ・B.ソックス&ザ・ブルー・ジーンズ」「ザ・クリスタルズ・シング・ザ・グレイテスト・ヒッツVol.1」「フィレス・レコーズ・プレゼンツ・トゥディズ・ヒッツ」「プレゼンティング・ザ・ファビュラス・ロネッツ・フィーチャリング・ヴェロニカ」「フィルズ・フリップサイズ・バイ・ザ・フィル・スペクター・ウォール・オブ・サウンド・オーケストラ(全17曲)」
<詳細な英文ライナー訳付>
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「エジプシャン・ダンサーREIKAは パンク・ロックシンガーだっ た 処女作「The NURSE 1983-1984」リリース・・・ 池野 徹
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1976年イギリスロンドンの「セックス・ピストルズ」から、パンク・ ロックが始まった。短期でそのムーヴメントは終わるが、80年代にハードコア・パンクが起きる。その背景は、社会的アナーキーと云うより、音楽的前衛性を目指していた。日本にも同期に入り「竹の子族」が登場したりした背景で波及して数々のパンク・バンドが 輩出する。
現在、日本のアラブ、エジプシャン・ダンサーの代表的存在であるREIKAから、Youtubeに若き日のパンク・ロック映像が掲載され、それがきっかけで、30年振りに再リリースされたと聞いた。 REIKA自身も驚いていた。「THE NURSE」という、女性4人組の ハードコア・パンク・バンドである。「ナース」というバンド名でセーラー服などをまとった、ややドキッとする怪しげな女学生バンドであったらしい。「THE NURSE 1983-1984」は、エクス キュート在籍時のBAKI[ガスタンク]プロデュースの83年発表の1stソノシートと、スターリンのTAMプロデュースの84年発表の2nd EPに、未発表ライヴ音源17曲を加えた全30曲を収録した集大成アルバムである。
84年スタジオ音源にはデッドコップス在籍時のTASTU(g)[ガスタンク]と、EURO(drs)[エクスキュート]が全面参加している。同年ライヴ音源には、PILLが(dr)[リップクリーム]で協力参加もしている。
そのパンク・ロック振りは、ヴォーカルにNEKO(REIKA)、ギターにTATSU、ベースにKEIKO、ドラムスにDR.EUROである。ライヴを含めてストレートなパンクが続く。「ナース」の曲は、”何時でも何処でもあなたのナース”と滑り出し、「またたび」の曲で、”踊り狂って猫の陶酔、みんなで仲よく手を取りあって、ニャアー”と歌っているのは可愛いい。シンプル・パンクに、中近東的オリエンタル・トーンがあるのは、現在のREIKAの世界が視えていたのかもしれない。このシンプル・パンクをバックにREIKAがダンシングするのも面白いかもしれない。
現在のロック・シーンに、アグレッシブなムーヴメントが生まれて来ないのは何故だろうか。環境か、社会か、生き方か、人間か。全てはつまらなく輝いてもいないのに。REIKAのナデシコ・パワーにでも期待しよう。
「THE NURSE 1983-1984」
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