ロックンロール誕生から55年
そのロックンロール史に必ず登場するのがチャック・ベリーだ
・・・越谷政義(Mike M. Koshitani)
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1955年をロックンロール誕生年と制定するなら、今年で55年。そして、その年にシーンに登場したのがチャック・ベリー。リズム&ブルースとカントリー&ウエスタンが融合して新たなムーヴメント、ロックンロールがポピュラー・ミュージックのメインストリームとして大きく発展していく中、エルヴィス・プレスリーやジェリー・リー・ルイス、バディ・ホリー、ジーン・ヴィンセントらともに黒人のリトル・リチャードやボ・ディドリー、ファッツ・ドミノらの貢献が実はよりニュー・ウェイヴのエクスプロージョンの原動力となった。そんな黒人ロックンローラーの中で最も注目されていいのがチャック・ベリーだ。彼が50年代後期に放った「メイベリーン」「ロール・オーヴァー・ベートーベン」「スクール・デイ」「スウィート・リトル・シックスティーン」「ジョニー・B.グッド」といった数多くのヒット・ナンバーはまさにロックンロールのスタンダードとして現在でも多くのロックを愛するミュージシャン、ファンに親しまれている。チャック・ベリーの音楽は60年代にイギリスから世界に飛び出したローリング・ストーンズやビートルズのルーツにもなっている。彼のステージはわが国でも何度か実現、多くの観客を熱狂させた。ブルースの発展にも大きな役割を果たしたシカゴのチェス・レコードは実はロックンロール誕生期にも重要な位置にいた、チャック・ベリーが所属していたのだった。
この秋、チャック・ベリーデビュー55周年を記念して彼の名作アルバム16枚がユニバーサルミュージックからSHM-CD/紙ジャケでリリースされた。これを機に、より若い音楽ファンにもチャック・ベリーの偉大さを楽しんでもらいたい。
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「アフター・スクール・セッション (エクスパンデッド)』(UICY-94624)
1957年リリースのファースト・アルバム。ミック・ジャガーやキース・リチャーズがリアル・タイムで(LPで)必死に聴いていた。もちろん1曲目は「スクール・デイ」。「トゥー・マッチ・モンキー・ビジネス」もゴキゲン、そしてマニアは「ウィー・ウィー・アワーズ」といったブルースにも大拍手なのだ。 |
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「ワン・ダズン・ベリーズ (エクスパンデッド)』(UICY-94625)
58年リリースのセカンド・アルバム。イチゴ・ジャケットで知られる。「スウィート・リトル・シックスティーン」はじめデイヴ・クラーク・ファイヴがカヴァーした「リーリン・アンド・ロッキン」、ビートルズがカヴァーした「ロックンロール・ミュージック」ほかが収録。 |
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「チャック・ベリー・イズ・オン・トップ (エクスパンデッド)』(UICY-94626)
1959年リリースのサード・アルバム。「キャロル」「メイベリーン」「スウィート・ロックンローラー」「ジョニー・B.グッド」「リトル・クイーニー」「ロール・オーヴァー・ベートーベン」「アラウンド・アンド・アラウンド」ほかが収録。ということで、無名時代のRSやB4が一番聴いたのがこのアルバムだろう。 |
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「ロッキン・アット・ザ・ホップス (エクスパンデッド)』(UICY-94627)
1960年リリース4作目。「バイ・バイ・ジョニー」「ダウン・ザ・ロード・アピース」(オリジナルはエイモス・ミルバーン)「コンフェシン・ザ・ブルース」(ウィルター・ブラウンのオリジナル)「レット・イット・ロック」ほかが収録と記せばお分かりのようにミック&キースがこれまた必死に聴いていたアルバムだ。 |
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「ニュー・ジュークボックス・ヒッツ (エクスパンデッド)」(UICY-94628) 61年リリースの5作目。これまたストーンズのルーツになったアルバム。彼らの
UKファースト・アルバムA面1曲目は「ルート66」、チャック・ベリーのこのア
ルバム・ヴァージョンからの選曲なのだ。
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「ツイスト (エクスパンデッド)』(UICY-94629)
1962年リリースのチャック・ベリー初のベスト・アルバム。
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「チャック・ベリー・オン・ステージ (エクスパンデッド)』(UICY-94630)
1963年3月リリースの擬似ライヴ・アルバム。当時はよくこの手法が登用された、ストーンズもやっていた。未発表スタジオ録音に歓声をオーヴァーダブ。このCDボーナス・トラックには63年の本物のデトロイト・ライヴが収録。
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「セント・ルイス・トゥ・リヴァプール (エクスパンデッド)』(UICY-94631)
1964年リリースの8作目。出所したチャックが放った同年ヒット「ネイディーン」「ノー・パティキュラー・プレイス・トゥー・ゴー」「ユー・ネヴァー・キャン・テル」ほか収録。個人的には、チャック・ベリーをリアル・タイムで聴くようになったのはこの頃からだった・・・。
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「チャック・ベリー・イン・ロンドン (エクスパンデッド)』(UICY-94632)
ビートルズやストーンズで再認識されたチャック・ベリーが、65年初頭にロンドンでレコーディングしたナンバーを中にして発表したアルバム。ボーナス・トラックのボ・ディドリーとのセッションも聴き逃せない。
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「フレッシュ・ベリーズ (エクスパンデッド)』(UICY-94633)
65年UK、66年USリリースされた10作目。チャック・ベリーはこのあと60年代後半はマーキュリー・レコードに所属していた。
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「バック・ホーム (エクスパンデッド)』(UICY-94634)
1970年リリース、アルバム・タイトルからも分かるようにチェス・レコード復帰1作。
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「サンフランシスコ・デューズ(エクスパンデッド)』(UICY-94635)
1971年にリリースされたチェス復帰第2弾。
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「ザ・ロンドン・チャック・ベリー・セッションズ (エクスパンデッド)』(UICY-94636)
1972年リリースの本作はタイトルからも分かるようにイギリスでのレコーディング&ライヴ・ナンバーを収録。ベリー・アルバム中、アメリカでは最高のセールスを記録、USアルバム・チャートで8位までランク・アップした。スタジオ・レコーディングではイアン・マクレガンやケニー・ジョーンズ、ライヴではその後アベレージ・ホワイト・バンドとして有名になる面々がそれぞれバックを務めた。11分のセクシー・ライヴ・ヴァージョン「マイ・ディンガリング」は最高に楽しい。このナンバーはシングル・カットもされチャック・ベリーにとって初のUSナンバー・ワン・ソングにも輝いたのだ。
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「バイオ (エクスパンデッド)』(UICY-94637)
1973年リリースのバイオ・アルバム。ジャケットのフロント・カヴァー・ショットもチャックの少年時代のものが使用されている。
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「チャック・ベリー(エクスパンデッド)』(UICY-94638)
1975年リリースのチェスのファイナル・アルバム。バック・カヴァー・ショットにも写っている娘のイングリッド・ベリー(ヴォーカル)の参加も当時ファンの注目を集めた。
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「ヘイル! ヘイル! ロックンロール (エクスパンデッド)』(UICY-94639)
1987年リリースのこのアルバムは1986年にキース・リチャーズが制作したチャック・ベリー還暦LIVE、映画にもなった≪ヘイル!ヘイル!ロックンロール≫のサウンド・トラック。キースのほかエリック・クラプトン、リンダ・ロンシュタット、ロバート・クレイ、ジュリアン・レノンらが参加。ストーンズ・ファミリーもバックを務めているということでRSファンのマスト・アイティムでもある。
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ジョン・レノン・リマスター2010・・・広田寛治
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今年はジョン・レノン生誕70年、没後30年。レノンの作品が新たにリマスターされ、さまざまな形態でファンの前に登場している。。
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「ジョン・レノンBOX』
まず注目は『ジョン・レノンBOX(LENNON Signature Box)』(EMIミュージック・ジャパン/TOCP70911〜9)だ。
00年代のリマスター&リミックス盤とは異なり、アナログ・レコードの感触に近いサウンドで、レコードで聴きなれた世代には納得できる仕上がりになっている。ボックスには、オリジナル・アルバムのリマスター盤全8作のほか、ボーナス・ディスク2枚を収録。1枚は『シングルス』(「平和を我等に」などシングル盤のみで発売された6曲収録)、もう1枚は「ホーム・テープス」(スタジオ・アウトテイクや自宅録音の13曲収録)。こちらには未発表の「ワン・オブ・ザ・ボーイズ」「インディア、インディア」も収められている
8枚のオリジナル・アルバムは単体でも発売。ただし、今回のリマスター盤は限定発売で、従来のリミックス&リマスター盤が通常版として販売されることになる。
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「ザ・ヒッツ〜パワー・トゥ・ザ・ピープル』(TOCP70909=通常盤 TOCP709010=デラックス・エディション)
リマスター盤発売にあたり新たに編集されたベスト盤。「パワー・トゥ・ザ・ピープル」「真実が欲しい」「夢の夢」など全15曲を収録。デラックス・エディションには同内容のCDのほか、全収録曲のビデオ・クリップを収めたDVD付。 |
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「ギミ・サム・トゥルース』(GIMME SOME TRUTH)』(TOCP70922?5)
4枚組の編集盤で、これは限定版。4枚はそれぞれテーマ別の選曲となっている。ポリティカル・ソングを集めた「ワーキング・クラス・ヒーロー」、ラヴ・ソングや家族に向けた歌を集めた「ウーマン」、人生についての曲を集めた「ボロウド・タイム」、ジョンが影響を受けたロックンロールのカヴァー等を集めた「ルーツ」。 |
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ポール・マッカートニー&ウイングスの『バンド・オブ・ザ・ラン』
2010年最新リマスターでリリース・・・越谷政義(Mike M. Koshitani)
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ポール・マッカートニー&ウイングスの「バンド・オブ・ザ・ラン」や「ジェット」、36年前だった、毎日のようにFENから流れてくるのを楽しんだ。ビートルズが解散してまだ間もない頃で、音楽ファンは各メンバーのソロ・アクティヴィティーに注目していた。
ポール・マッカートニーの作品集がヒア・ミュージック/コンコード(ユニバーサルミュージック)からファンの前に装いも新たに登場することになった。B4フリークはもちろん、20世紀のクラシックともいえるPM作品集を若いロック・ファンにもどんどん接して欲しい。もちろんポールは現役選手、ライヴ活動で忙しい。来日公演が諸事情でなかなか実現しないのがとっても残念だ。
そんな中でまずリリースされるのが1973年末リリースのベスト・セラー・アルバム『バンド・オン・ザ・ラン』。UK/USチャートでともにナンバー・ワンに輝いた、アメリカでのセールス300万枚という記録が残っている。USビルボード誌アルバム・チャートではなんと116週ランキングされたのである。第17回グラミー賞(75年3月1日発表)で、ポール・マッカートニー&ウイングスはこのアルバムで“Best Pop Vocal Performance by a Duo, Group or Chorus”を受賞している。
そして今回『バンド・オン・ザ・ラン』は様々なヴァージョンでリリースされる。ディスク・コレクターはもちろんすべてマスト(大変だけどこれはコレクターなら当然ですよネ・・・)。CDはすべてアビイ・ロード・スタジオで2010年にリマスターされた。
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「バンド・オン・ザ・ラン 通常盤』(UCCO-9879)
UK/LP収録ヴァージョンによる1CD。 「バンド・オン・ザ・ラン」「ジェット」「ブルーバード」など9曲収録。 |
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「バンド・オン・ザ・ラン デラックス・エディション』(UCCO-9952)
『通常盤』にCD&DVDを加えての2CD+DVD。《CD-2》にはUS/LPからの「愛しのヘレン」、同曲シングルのB面「カントリー・ドリーマー」、『ワン・ハンド・クラッピング』からの「ジェット」などマニアックな9ヴァージョン収録。そしてDVDにはビデオ・クリップ「バンド・オン・ザ・ラン」「マムーニア」「愛しのヘレン」ほか、1時間近いスタジオ・ライヴが収められている。デヴィッド・リッチフィールド監督の『ワン・ハンド・クラッピング』、TV放送用に74年にアビイ・ロード・スタジオで収録された映像。収録楽曲は「ワン・ハンド・クラッピングのテーマ」「ジェット」「ソイリー」「C・ムーン」「リトル・ウーマン・ラヴ」「恋することのもどかしさ」「マイ・ラヴ」「ブルーバード」「レッツ・ラヴ」「オール・オブ・ユー」「アイル・ギヴ・ユー・ア・リング」「バンド・オン・ザ・ラン」「死ぬのは奴らだ」「西暦1985年」「ベビー・フェイス」。曲間でミュージシャン同士がいろいろ論議していく生の収録模様がダイレクトに味わえるのもたまらない(もちろん字幕付)。 |
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「バンド・オン・ザ・ラン スーパー・デラックス・エディション』(UCCO-9951)
『デラックス・エディション』にCDを加えての3CD+DVD。まずこの“スーパー・デラックス・エディション”が11月3日発売。《CD-3》は99年のドキュメンタリー・ディスクの最新リマスター・ヴァージョン(21ヴァージョン)。リンダ・マッカートニーとクライヴ・アロウスミス撮影による未発表写真や、ポールの最新インタビュー掲載の120頁のブックレットも楽しみだ。 |
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