去る3月4日、JVCケンウッド・スクエア/丸の内ショールームで恒例の<JVCケンウッド・トワイライトイベント MPCJスペシャル>が開催された。
第10回を迎えた今回は、世界でも例をみないマンドリン・デュオ「プラネット・スピリタ」が登場し、イタリアに起源をもつリュート型の弦鳴楽器・マンドリンの輝きと深みにみちた多彩かつ可憐な音色と温かな響き、卓越したテクニックで、クラシックやクラシカル・クロスオーバーのナンバーからオリジナルまで披露し、魅力のほどを満喫させた。
「プラネット・スピリタ」は、わが国期待の若手マンドリン奏者/堀雅貴(マンドリン、マンドロン・チェロ、ギター)と、コンポーザー・プレイヤー丸本大悟(マンドラ、マンドリン)によって、2008年7月に結成され、2009年11月にメジャーCDデビューした可能性無限のマンドリン・デュオである。独奏やマンドリン・アンサンブルのようなグループでの演奏は頻繁に行われているが、デュオとしての活動は国内では初の試み。デュオ名は、英語とイタリア語風の造語で、“地球の魂”の意味だという。
当夜は、プラネット・スピリタのふたりが、それぞれ数種類の楽器を自在に弾きわけながら、映画「クレイマー・クレイマー」で使われた作品としても名高いヴィヴァルディの「マンドリン協奏曲ハ長調」より第1楽章、その甘美な旋律で多くの人に親しまれているマスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲、丸本大悟の哀愁をおびた作品「遠い日」、ご存知GreeeeNのヒット曲のカヴァー・ナンバー「キセキ」、丸本大悟の美しい作品「茜」、短い曲だが技巧的な丸本大悟の「エチュード」、透明感あふれる音の絵筆で描きあげた堀雅貴の「アクア」、スピリタアレンジによるドイツ民謡「かえるのうた」、そして丸本大悟がプラネット・スピリタの結成にあたり書き下ろした壮大な作品「Sprit of Planet」(ショート・ヴァージョン)などの作品を感性豊かに好演。
次いでスペシャル・ゲストの柴田智子(ソプラノ)を迎えて、松任谷由美の「春よ、来い」を披露し、聴き手のインナー・ワールドを揺り動かした後、アンコールに応えて、「杜の鼓動」を聴かせてくれた。
さまざまな年代の音楽ファンやマンドリン・ファンをはじめ、音楽療法や音楽教育に携わる人たちで埋めつくされた客席だったが、新たなマンドリンの世界を体現する「プラネット・スピリタ」による究極の癒しのサウンドがそれぞれの聴き手の心に響くとともに、曲間にはさまれた「プラネット・スピリタ」のトークは、ほのぼのとして、ほほえましく、ハッピーな気分になった人も多かったのではないだろうか。
Mike Koshitaniの軽妙な総合司会で進行した<JVCケンウッド・トワイライトイベント MPCJスペシャル Vol.10>。終了後のロビーでは、「しみじみとしたいいライヴでした」(会社員)「彼らの次回のイベントを楽しみにしています」(会社員)「柴田智子さんの歌唱も素敵でした」(会社員)「いろいろなマンドリンの種類と奏法が間近で見れて楽しかった」(学生)「マンドリンのデュオは初めて聴きました、素晴らしいですね」(会社員)「マンドリンの音色に癒されました」(主婦)「すごく良かった!ああいう風に弾けるようになりたい…」(学生)といった声が聴かれた。
*写真:轟 美津子
=MPCJ会員からの声=(アイウエオ順)
世界初のマンドリン・デュオ/プラネット・スピリタは、マンドリン演奏の素晴らしさと共に、ジャンルを超えて音楽の楽しさを伝えてくれ、マンドリンの未知なる可能性を期待させてくれるバンドである。アレンジと演奏は目を見張るものがあり、堀君と丸本君のキャラクターもルックスも良いので、オリジナル曲に力をつけてくると更に人気が出るだろう。見た目にも美しいマンドリンで美しい旋律を奏でる二人に、これから注目が集まることだろう、楽しみである。(上田 和秀)
食べ物も音楽も食わず嫌いは良くないと痛感。ネガティヴな印象しかなかったマンドリンへの認識が一気に変わりました。ヨーロッパの楽器らしい繊細な音色。それだけではない力強さも表現する彼らの多彩なテクニック。プラネット・スピリタが創り出す世界観はとても気持ちがよい。ジャンルにこだわらない演奏も楽しく、堀雅貴が弾くチョッパー・マンドリンも良かったですよ。マイナーなマンドリンの素晴らしさを広く伝えてください。私も伝えます。(鈴木 修一)
マンドリンといえば、合奏のマンドリン・オーケストラの音しか聴いたことがなかったので、プラネット・スピリタで認識を新たにした。デュオ、ソロによる演奏は繊細で美しく、反面モダンで力強い魅力もある。
優れたプレイヤーで、エンターテイナーでもある堀さんと、いい曲を作るシャイな丸本さんのコンビもよく、マンドリンの歴史や種類など具体的で明解なレクチャーもあり、ためになる楽しい一夕だった。(鈴木 道子)
クラブ&ディスコDJの私にとって普段、接する機会が少ないマンドリンの音色。しかも、目の前でライヴ体験! とても、新鮮で癒されました。その中でも、堀雅貴氏が披露したチョッパー・ベースを彷彿させるダイナミックな奏法は、とても親近感がわきました。この夜に遭遇した4種類のマンドリンの音色。繊細で且つ、大胆な奥深さにヤラれました!(松本 みつぐ)
クラシック・マンドリンときくと、マントヴァーニの「ヴェニスの夏の日」だとかチャップリンの「マンドリン・セレナーデ」なんかを連想して、華麗なサウンドに包まれながら地道な役割を担う楽器という印象を持っているけれど、デュオというある意味でとても過激で実験的な編成の生演奏にはじめて触れてみて、その可能性を認識させられた思いだ。堀雅貴さんがマンドロンチェロを、チョッパーを思わせる奏法で弾いて聴衆の関心を惹いていた。そういえば会場のお客さんの中に日本の代表的なベーシスト、“ナルッチョ”こと鳴瀬喜博さんの姿があったけど・・・何かやるのかな、楽しみだ。(三塚 博)