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「ロバート・グラスパー・エクスペリメント」 6月13日 ビルボードライブ東京
2月に発表した新作『ブラック・レディオ』が話題を呼ぶグラスパー(p,key)が、レギュラー・バンドを率いて来日。同作はエリカ・バドゥ、レイラ・ハザウェイ等々、全編でブラック/ヒップホップ系歌手を迎えた内容のため、4人編成のエクスペリメントで今回どのようにその世界観を表現するのか、が興味の焦点となった。1曲目はケイシー・ベンジャミン(as)がヴォコーダーで、ジョン・コルトレーンの「ア・ラヴ・シュプリーム」を呪文のように唱えながら、空間をたちまちエレクトリック・スピリチュアル・ジャズの雰囲気に染め上げる。その後もベンジャミンはウェイン・ショーターを想起させるソプラノサックスやショルダー・キーボードで大活躍。リーダーのグラスパーは敢えて目立たず、音楽監督のような佇まい。前回の来日公演に比べて、その役割が飛躍的に増したベンジャミンに、形を変えた新作のエッセンスを聴いた。(杉田宏樹)
撮影:Masanori Naruse
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