2012年5月 

 
Popular ALBUM Review

「ペトゥラ/ペトゥラ・クラーク」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP-3502)
 このところ高齢者シンガーの活躍が目立ち、いずれもいい作品を発表しているのは慶賀にたえないが、そこにイギリスのペトゥラ・クラークが参入した。彼女は1960年代に世界的な大ヒット「ダウンタウン」で人気スターとなった実力派だが、15年ぶりに、今年80歳を迎える記念盤を発表した。フランス制作ということもあり、ほとんどフランス語で歌っているが、作品はルグラン、アズナヴール、アダモ、ジョン・ウィリアムス等の大御所から、フランスの新世代のアーティストまでを幅広くカヴァーしている。息の合ったアズナヴール(87歳)との好デュオ「レ・ヴェルト・ザネ」はじめ、往年の艶こそないが、フランス語の響きはむしろ愛らしくさえあり、ポピュラーな作りには落ち着いた軽やかさと、独特のムードが快い。(鈴木 道子)

 15年ぶりの新作! 79歳! 驚きのニュー・アルバムはしかし歌唱も若々しくて何ともフレッシュな魅力に満ちて聴きどころもいっぱい♪ 全13曲の大半がフランス語で歌われているがシャンソン界の大ベテラン、シャルル・アズナブール(今年88歳!)や22歳の若き女性シンガー・ソング・ライター、ジョイス・ジョナサン、はたまた仏モータウンの人気男性R&B歌手ベン・ロンクル・ソウル(28歳)とデュエットしたりで老若男女のすべてを虜にしてしまいそう。サウンドも多彩。90年代の北欧かどこかのガール・ポップとかプリファブ・スプラウトを思い浮かべたりする楽曲も。1966年からのペット・ファンであるワタクシ、なんか久しぶりに彼女にわくわく、ときめきました♪(上柴 とおる

Popular ALBUM Review

「ピロウ・ブック/ジューサ」(ヤマハ・ミュージック&ビジュアルス/YMCP-10028)
 昨秋来日したキューバの自作自演歌手・ベーシストのジューサは、キューバの枠を超えてアルゼンチンやフラジルなどでも、同地の音楽をすくい上げて活躍しているが、『俳句』につづいて新作を発表した。4年ぶりという『ピロウ・ブック』は自作ではなく、長年彼女が歌いたかった曲ばかりのカヴァー集。冒頭の「あなたを許しましょう」には、悠然たるオマーラとのデュエットが聞かれる。マイケル・ジャクソンの「マリア」はエレキ・ギターやラップ風歌詞朗読なども入れて大胆なアレンジで面白く聞かせる。ベースをバックにした「遥かなる影」等々。豪華ゲストを迎え、好きな曲を自由に演出している。ただテスト盤だからか曲間の間が悪く、纏まりがなく散漫になってしまったのが残念。(鈴木 道子)


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「スリップストリーム/ボニー・レイット」(ビクターエンタテインメント/VICP-75054)
 「ソウルズ・アライク」(2005)以来約7年ぶりの新作がこちらではビクターから登場(日本のみ高音質盤&本人による楽曲解説付)。通算19作目。今作は数々の実績を誇るジョー・ヘンリー(シンガー・ソング・ライターとしても知られる)をプロデューサーに迎えてボニーお気に入りのマイア・シャープやランドール・ブラムレット、そしてマイク・フィニガン、リッキー・ファターやビル・フリゼールらとのセッションを自楽しんでいる。ジョー・ヘンリー&ラウドン・ウェインライト三世、ポール・ブレイディ&マイケル・オキーフ(前夫)、そして以前から大ファンだったというジェリー・ラファティの楽曲の他ボブ・ディランも2曲。気の合う仲間たちとのびのび、腰の据わったノリでたっぷり。何ともカッコいい62歳(現在)♪(上柴 とおる)


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「ステアウェルズ〜ジャパン・エディション/キナ・グラニス」(ビクターエンタテインメント/VICP-65056)
 アコースティック・ディーバ(?)の新星♪ YouTubeにアップしたプロモ・ビデオで大きな反響を巻き起こしてメジャー・デビューを飾るも会社側と対立。その後自らのレーベルを設立してリリースした2010年リリースの1stを日本独自仕様にしたのが今回の本邦デビュー盤。時にスザンヌ・ヴェガを思わせるようなニュアンスも。ピュアな魅力を感じさせる彼女は1985年生まれの日系アメリカ人(L.A.在住)で本名はKina Kasuya Grannis。日本盤には斉藤和義の「歩いて帰ろう」の英語版カヴァー等も収録。(上柴 とおる)

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「ロイヤル・サザン・ブラザーフッド/ロイヤル・サザン・ブラザーフッド」(BSMF:BSMF-2288)
 これって‘反則’ですぅ♪ シリル・ネヴィル(63歳:ミーターズ〜ネヴィル・ブラザーズ)にデヴォン・オールマン(39歳:グレッグ・オールマンの息子)、マイク・ジト(35歳:ブルージーなロック・ギタリスト)たちが立ち上げたグループ(プロジェクト!?)とはシャレにならん♪しかもその名称がこれまたロイヤルにサザンにブラザーフッドとは。。。おそれ入りやのクリヤキン(ふるっ)。‘ニューオリンズ+サザン・ロック’とはいえ骨太過ぎることもなくこれが結構ポップなあれだったりするので油断?がならない。ネヴィル・ブラザーズの十八番でもある「ファイアー・オン・ザ・マウンテン」(グレイトフル・デッド1978年)など12曲。(上柴 とおる)

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「A Postcard from California/AL JARDINE」(輸入盤:ROBO RECORDS/RRAJ-0001)
 元のサヤ?に収まったビーチ・ボーイズ。本体の新譜に先駆けてアル・ジャーディンのソロ・アルバムがついに登場♪ もう予想以上?に嬉しい仕上がりでビーチ・ボーイズの楽曲の趣をベースに多彩なゲスト陣と共に全13曲、もう全てが話題曲!? ブライアン&カール・ウィルソン、マイク・ラブ、ブルース・ジョンストンが顔をそろえた「Don’t Fight The Sea」とか「California Saga」ではニール・ヤング(何と!)、デヴィッド・クロスビー、スティヴン・スティルスが参加。セルフ・リメイクの「ヘルプ・ミー・ロンダ」ではスティーヴ・ミラーも。「San Simeon」と「Drivin'」にはアメリカのデューイ&ジェリー。ママ・パパの「夢のカリフォルニア」には所縁の深いグレン・キャンベル(表題曲にも参加)とクロスビーが。ボーナスには「スループ・ジョン・B」も。実に楽しい♪(上柴 とおる)

Popular ALBUM Review









「僕たちの洋楽ヒット デラックス Vol.1 1955-63」
(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP-3436〜7)

「僕たちの洋楽ヒット デラックス Vol.2 1964-69」
(ユニバーサル・ミュージック/UICZ-1435〜6)

「僕たちの洋楽ヒット デラックス Vol.3 1970-72」
(ワーナーミュージック・ジャパン/WPCR-14418〜9)

「僕たちの洋楽ヒット デラックス Vol.4 1973-76」
(EMIミュージック・ジャパン/TOCP-71273〜4)

「僕たちの洋楽ヒット デラックス Vol.5 1977-79」
(ユニバーサル・ミュージック/UICZ-1437〜8)

「僕たちの洋楽ヒット デラックス Vol.6 1980-82」
(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP-3438〜9)

「僕たちの洋楽ヒット デラックス Vol.7 1983-84」
(EMIミュージック・ジャパン/TOCP-71275〜6)

「僕たちの洋楽ヒット デラックス Vol.8 1985-89」
(ワーナーミュージック・ジャパン/WPCR-14420〜1)

 「1964〜1984年に日本でヒットした洋楽」をテーマに、2002年10月に全15枚で発売された『僕たちの洋楽ヒット』。「1955〜1974年」をテーマに、2004年3月に全10枚で発売された『続 僕たちの洋楽ヒット』。そして2004年11月に全5枚で発売された『僕たちの洋楽ヒット Best Of(50's〜90's)』。いずれも好評をもって迎えられたが、8〜10年の歳月を経て、権利関係の問題で生産中止となるカタログが増えて来たこともあり、ここに新たに2枚組×8セット、全344曲というヴォリュームで改訂盤が登場した。今回も日本でのヒットをジャンルに拘らず選曲。映画やTVドラマの主題歌、日本原盤もの、長い間CD化されていなかった曲などの稀少音源を含めて、レーベルの枠を越え、年代順に収録。過去のシリーズ同様、監修は矢口清治氏、選曲はCD/DVDショップ“あめりかん☆ぱい”の店長でもある佐藤直人氏、曲解説は2氏と共に私、森井嘉浩が担当させていただいた。このCDシリーズで、ぜひともあの頃の想い出、郷愁、感動をもう一度…。(森井 嘉浩)

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「ピー・ウィー・エリス ファンク・アセンブリー」 4月9日 丸の内コットンクラブ
 60年代中ごろジェームズ・ブラウンのバンドに入り、サックス奏者・作編曲家として絶大な貢献を果たしたピー・ウィー・エリス。ヴァン・モリソンとのコラボレーションも30年を数えるが、その一方でホレス・パーランとの『ジェントル・メン・ブルー』等、味わい深いリーダー作を幾つも発表している。今回のステージは、グループ名にこそ“ファンク”がついているものの、冒頭の「ゼア・イズ・ノー・グレイター・ラヴ」ではソニー・ロリンズ(一時期、師事していたことがある)やソニー・スティット等、大先輩への敬意を感じさせるモダン・ジャズそのもののプレイを聴かせてくれた。ほかにもブラウン時代に書いた大定番「コールド・スウェット」、ハービー・ハンコックの「カンタロープ・アイランド」等、幅広いレパートリーを披露。サイドメンでは4本ヴァルヴのフリューゲルホーンを吹くゲイリー・ウィンターズ、ハンコックとの共演でも知られるギター奏者レイ・オビエドの存在感が光った。(原田 和典)
写真提供:COTTON CLUB
撮影:米田泰久


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「Best of ROLLY〜ローリー寺西 ザ・グレイテストヒッツ!〜」 3月30日 青山円形劇場
 歌、ギター、歌詞、アレンジ、MC、ダンス、そのすべてが華やかで面白い。なんてレンジの広いエンタテイナーなんだ、とひたすら感服させられた2時間余りだった。レパートリーの多彩さも尋常ではない。「ジャングル・ブック」からの「トラスト・イン・ミー」で幕を開け、古いジャズ・スタンダード「タイガー・ラグ」でギターを弾きまくるかと思えば、モーツァルトの「花のワルツ」にとんでもなくユーモラスな自作の詞をつけて熱唱したり(後半、歌詞を忘れて、もう一度最初から歌いなおした)、「荒城の月」をスコーピオンズ・ヴァージョンに基づいてやったり。「マインソング」、「恋の1000000$マン」など、すかんち時代のナンバーもしっかり楽しませてくれた。世の中に音楽好きは意外と多くない、というのが、40数年のあいだ音楽にまみれてきたぼくの結論だが、ローリーは「音楽がなければ、俺の人生なんなんだ!」というタイプなのだろう。音楽(とエンタテインメント)が好きで好きでどうしようもない、という姿勢に共感させられる。ヴァイオリン奏者、中西俊博を中心とするバンドも職人芸の極みというべきサウンドで魅了した。とくに中西の、ヴァイオリンの弦で楽器をはさみながら演奏する“ひとり弦楽四重奏”はすごい隠し芸だ。(原田 和典)
撮影:二石友希


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「ハクエイ・キム ソロ・コンサート」 3月17日 原宿クエストホール
 6月公開予定の映画「道〜白磁の人〜」のエンディング・テーマを担当しているピアニスト、ハクエイ・キム。彼のソロ・ピアノ・アルバム『ブレイク・ジ・アイス』の発売を記念したコンサートが開かれた。演奏レパートリーも同作からのものが中心とはいえ、そこはライヴの醍醐味というべきか、曲がどんどん発展し、生き物のように成長していく。「ああ、ハクエイは本当に根っからのジャズマンなのだなあ」と思いながら、ぼくはひとつひとつのナンバーを楽しんだ。この日のステージは場内をアロマの心地よい香りで包み込み、第二部ではスクリーンから流れる美しい映像をバックに演奏するなど、通常のジャズ系ライヴにみられない趣向も魅力のひとつだったが、ハクエイのピアノの音色は常にエッジが立っていて、大スタンダード・ナンバー「枯葉」の解釈に顕著なように、常に挑戦的な一面を持ってもいる。師匠マイク・ノックゆずりの鋭敏なセンスは今、ますます輝いているようだ。(原田 和典)

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「シーラ・ジョーダン&ピーター・ミケリッチ」 3月31日 新宿ピットイン
 今年83歳になるシーラ・ジョーダンは、少しも衰えを感じさせず元気一杯だ。10代の後半に、チャーリー・パーカーを聴いて衝撃を受けジャズ・シンガーになったという彼女、今回も前回と同じくピーター・ミケリッチ(p)とのデュオに曲によって原朋直(tp)が参加する。「Gentle Thoughts」と「Hum Drum Blues」を繋げて歌った後、彼女のステージは、冗談をいいながら、それが自然に歌に成って行く、という感じで進む。昨年亡くなったアビー・リンカーンに捧げて歌った「Bird Alone」は、感動的だった。ビリー・ホリデイ、チャーリー・パーカー・エラ・フィッツジェラルド等ジャズの先達に捧げる歌も含め、お得意のボビー・ティモンズの「Dat Dare」や、自分の生い立ちを歌う「Sheila’s Blues」も最後に歌い、シーラ・ジョーダンの総て、といった楽しいプログラムだった。サックスのようなスキャットで原のトランペットと掛け合う「It’s You Or No One」は、圧巻だった。メドレーも交えて全20曲、約1時間のステージを2回疲れも見せずに勤めた。(高田 敬三)

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「ロバータ・ガンバリーニ」 4月4日 丸の内コットンクラブ [ファースト・ステージ]
 ひと頃、大変話題になったロバータ・ガンバリーニ、その後音沙汰が無いけど、どうしたんだろう、と話していたら今回の来日公演が発表になった。最近はどんなだろうと期待しながらステージを待った。伴奏は、エリック・ガニソン(p)ニール・スウェインソン(b)ウィリー・ジョーンズ㈽(ds)のトリオ。幕開けは、意表をついて「So In Love」をアカペラで歌う。ロリンズ、スティット、ガレスピーの演奏をヴォーカライズした「Sunny Side Of The Street」 やハリー・エディソンの「Centerpiece」、エリントン・ナンバー「Lush Life」、
母国語のイタリア語で歌いトランペットの口真似をする「Estate」等、以前からのお得意ナンバーを歌い、相変わらずの素晴らしいテクニッシャン振りをみせた。今回初めてのザ・カーペンターズのヒット「Rainy Days And Mondays」が妙に新鮮に聞こえた。彼女の歌に聴き手の心に響くような迫力と情緒が出てきたら大変なシンガーになると思うのだが。(高田 敬三)
写真提供:COTTON CLUB
撮影:米田泰久

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「ルル・ゲンスブール」 3月15日 Billboard Live TOKYO
 父親がセルジュ・ゲンスブール、母親が中国人とドイツ人の血を引いた個性派シンガーのバンブーというルル・ゲンスブール、当人は至って気さくな好青年で、会場にも打ち解けた雰囲気をもたらしてくれる。この日のステージは父へのトリビュート・アルバムの発売記念ということで、セルジュの曲が中心だったが、ここでも両親のスタイルを踏襲した呟くような歌い方より、素直に歌い上げたポップな曲に瑞々しい魅力が感じられた。その一方、自らのピアノ演奏による自作のインストゥルメンタル・ナンバーはヒーリング・ミュージックのテイスト、セルジュのバンド・メンバーだったというキーボードとサックス奏者を含めたバック・バンドによるナンバーはジャジーなテイストといった具合に、トータルでは幅広い音楽性を披露。まだ若くキャリアも浅い今は吸収の時期なのだろう。様々な可能性を秘めているだけに、どんな色彩を帯びていくのか、これからが楽しみな存在だ。(滝上 よう子)
撮影:Masanori Naruse

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「スティーヴ・ルカサー」 4月11日 赤坂ブリッツ
 スティーヴ・ルカサーの来日公演は、最新ソロ・アルバム『オールズ・ザット・エンズ・ウェル』からの楽曲を中心に、ジミ・ヘンドリックスのカバー等ハード・ロック全開で、グルーヴ感溢れる内容だった。ヴォーカリストとしても定評あるルカサーは、ロック・ヴォーカルとしてシャウトしまくり、勿論ギターは、アームを多用したトリッキーなプレイから超絶早弾き、メロディアスなフレーズを奏でたかと思えば、的を射たここ一発のリフをきめるなどスーパー・ギタリストとして面目躍如と言ったところだろうか。脇を固めるのは、華麗なテクニックを披露するキーボードのスティーヴ・ウェインガート、パワフルにドライヴするドラムのエリック・ヴァレンタイン、安定感抜群なプレイを聴かせてくれた女性ベーシストのレニー・ジョーンズと息の合ったメンバーだ。ラストは、ギターとキーボードでルカサー流にアレンジされた、チャップリンの映画『モダン・タイムス』のテーマ曲「スマイル」で幕を閉じた。(上田 和秀)
撮影:土居政則

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「YES」 4月17日 日本青年会館
 9年振りとなるYESの来日公演は、スティーヴ・ハウ(g)、クリス・スクワイアー(b)、アラン・ホワイト(ds)、ジェフ・ダウンズ(key)、ジョン・デイヴィソン(vo)というメンバーだ。新メンバーでヴォーカルのデイヴィソンは、かすれていない元気なジョン・アンダーソンと言った感じで、YESの名曲を十二分に歌いこなし、後半は特にリラックス出来たのか、声に艶も伸びも出て来て、一段とノリも良かった。往年の名曲「燃える朝焼け」、「ロンリー・ハート」、「スターシップ・トゥルーパー」等は、従来の演奏に引けを取らないものであり、新曲「フライ・フロム・ヒヤー」は、久し振りにシンフォニックなハード・プログレでストーリー性もあり、ライヴ・ナンバーとして良いレパートリーが増えた感じだ。新曲が良い上に、ジョン・アンダーソンの代わりが出来るヴォーカルを得た以上、このメンバーで活動を続けて欲しいものだ。それが、プログレ・ファンの本当の気持ちであり、YESがファンに応える唯一の手段だと思う。アンコールは、勿論「ラウンドアバウト」で、会場全体がプログレの熱き炎と化し幕を閉じた。(上田 和秀)

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「エクストリーム」 4月20日 渋谷公会堂
 ハード・ロック&ヘビー・ファンク・バンド、エクストリームの来日公演は、ヌーノ・ベッテンコート(g)、ゲイリー・シェローン(vo)、パット・バッジャー(b)、ケヴィン・フィグェリド(ds)というメンバーで、1990年の傑作アルバム『ポルノグラフィティ』を完全再現するものであった。何といってもこのバンドの要は、ヌーノのギターである。トレード・マークであるワッシュバーンN4を抱え、アーム、タピング、早弾きとめまぐるしく繰り出すスーパー・テクニックもファンの度肝を抜くが、彼独特のファンキーなリズムとタメ叩き出すリフやバッキングに、ベース、ドラム、ヴォーカルが絡んでくる。勿論、「デカダンス・ダンス」から始まり、大ヒット曲「モア・ザン・ワーズ」等、余すことなく『ポルノグラフィティ』を演奏して行く。ヌーノがキーボードを弾く「ホエン・アイ・ファースト・キスト・ユー」は、ライヴのポイントにはなるが、バンドとしては少し無理があるようだ。ファンクにハードに攻めまくるのがこのバンドらしいし、ファンが望むところだろう。(上田 和秀)
撮影:Masayuki Noda

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「ジョイフル♪ノイズ」(ワーナー・ブラザース映画)
 また楽しい映画が生まれた。不況にあえぐジョージア州の小さな町で、二人の女性を中心に活動する聖歌隊を描いた、笑いあり、涙ありの心温まるヒューマン・ドラマ。主演はシンガーとしても申し分ない実績の持ち主、ド迫力のクイーン・ラティファと驚異の若々しさを誇るドリー・パートン。脇を若手のキキ・パーマーやジェレミー・ジョーダン、ベテランのコートニー・B・バンスやクリス・クリストファーソンらが固める。劇中にはゴスペル、ポップス、カントリー、ロック、R&B等、音楽が満載。個人的にはデクスター・ダーデン演じるウォルターがやたらと音楽界の「一発屋」ネタを話すところが楽しめた。脚本・監督はトッド・グラフ。4月28日より公開中。(森井 嘉浩)

http://wwws.warnerbros.co.jp/joyfulnoise/mainsite.html#/home

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「エイジア」
 結成30周年を迎える80年代のスーパー・グループ、ASIA(エイジア)の来日公演が決定した。今回は、プログレッシブ・ロックをベースに、キャッチーなハード・ロックを展開し、大ヒットを飛ばしたバンドの集大成ライヴとなる。勿論来日するのは、オリジナル・メンバーのジェフ・ダウンズ(key)、スティーヴ・ハウ(g)、カール・パーマー(ds)、ジョン・ウェットン(vo,b)だ。6月20日リリース予定の2年振りとなる最新アルバム『XXX〜ロマンへの回帰』もプログレ・ファンにとって、楽しみなニュースとなった。今も尚、エネルギッシュに活動を続ける伝説の4人のパフォーマンスに要注目である。(UK)

* 9月24、25日 渋谷公会堂
* 9月26日 サンケイホールブリーゼ
* 9月27日 Zepp Nagoya
お問い合せ:ウドー音楽事務所 (03)3402-5999
http://udo.jp/

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