2010年11月 

 
Popular ALBUM Review



「ミーン・オールド・マン/ジェリー・リー・ルイス」(ユニバーサルミュージック/UCCB-1037)
 1935年生まれ、伝説のロックンロ―ラ―、ザ・キラーことジェリー・リー・ルイスのニュー・アルバム!ソロモン・バーク、ミック・ジャガー、キース・リチャ―ズ、エリック・クラプトン、ロニ―・ウッド、シェリル・クロウ、ジョン・フォガティ、マール・ハガード、キッド・ロック、ニルス・ロフグレン、シェルビー・リン、ティム・マッグロウ、ジョン・メイヤー、ウィリー・ネルソン、ロビー・ロバートソン、スラッシュ、メイヴィス・ステイプルズ、リンゴ・スターほか錚々たるミュージシャンが親分のもとへ馳せ参じた。素晴らしい出来映えだ。中でも、ミックとのストーンズ・カヴァー「デッド・フラワーズ」には思わずこみ上げるものが・・・。94年10月メンフィス/ザ・ピラミッドでの≪エルヴィス・トリビュート・ライヴ≫を思い出す、あの時も凄いステージだった。(Mike M. Koshitani)

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「ザ・グレイ・ト・アメリカン・ソング・ブック Vol.5 /ロッド・スチュワート」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SLCP-2906)
 ロッドのハスキー・ヴォイスとアメリカの名曲とは相性がいい。『ザ・グレイト・アメリカン・ソング・ブック』が出た時は、もろ手を挙げて歓迎した。そしてクラプトン、スティーヴィー、ベット・ミドラーなど豪華ゲストを迎えての『Vol.3』で遂に・グラミー賞トラディッショナル・ポップ・ヴォーカル賞を受賞した。これは5年ぶりに出た第5集。快作だ。長年のコンビ、クライヴ・デイヴィス、リチャード・ペリーと組み、気持ちよさそうに歌っている。快適なスウィング感、軽やかに乗るロッド。伸びやかに、丁寧に歌っている「ビヨンド・ザ・シー」、そのはかとなく哀愁をにじませた「愚かなリ我が心」などミディアム・スウィングにいい味を利かせてうまい。(鈴木 道子)


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「ル・ノイズ/ニール・ヤング」(ワーナーミュージック・ジャパン/ WPCR-13972)
 ダニエル・ラノアをプロデューサーに迎えて制作された新作は、種々のサウンド・エフェクトを効かせて豪快にホワイト・ファルコンやレスポールを響かせる曲から、ヴィンテージもののアコースティック・ギターを爪弾くタイプのも曲まで、基本的には完全に弾き語りのスタイルで仕上げられている(その全貌を公式YouTubeチャンネルにアップされた39分の映像作品でチェックできる)。テーマは「愛と怒り」といったらいいだろうか。斬新かつ意欲的な姿勢をとりながら、ニールは、これまでの人生と音楽を総括するような歌をじっくりと聴かせている。アーカイヴ・シリーズへの熱心な取り組みが、彼にこれだけの力とさまざまなインスピレーションを与えているのかもしれない。(大友 博)


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「ノ―・ベター・ザン・ディス/ジョン・メレン・キャンプ」(ユニバーサルミュージック/ UCCO-6001)
 昨年夏、ボブ・ディラン、ウィリー・ネルソンとともに全米各地の地方球場を回ったツアーの途中、そこで得た刺激を生かしながらフィールドワーク的手法で制作された、じつに興味深い内容の作品。録音が行なわれたのは、ジョージア州のファースト・アフリカン・バプティスト教会、サン・スタジオ、ロバート・ジョンソンが36年に「ダスト・マイ・ブルーム」などを残したテキサス州のホテル。プロデュースを手がけたT・ボーン・バーネットの人脈も含む小編成のバンドと、旧式のマイク1本だけで、6oのオープンリールにモノラル録音したという、徹底的なこだわりを感じさせる内容だ。彼も来年秋には還暦を迎える。その年齢も意識したうえで、あらためてアメリカ音楽の伝統と向きあいながらながら、残された人生を、よく物語る歌い手として生きていくことを考えているようだ。(大友 博)

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「ザ・ブートレッグ・シリーズ第9集:ザ・ウィットマーク・デモ/ボブ・ディラン」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP-2960〜1)
 ボブ・ディランの『ザ・ブートレッグ・シリーズ』の第9集が発売された。かつて熱心なディラン・ファンは粗悪で高価な海賊盤までも入手してディランの音楽を聴いていたが、1991年に始まったこのシリーズによって、嬉しいことに貴重な未発表曲やライヴ・レコーディングを公式盤として聴くことができるようになった。この第9集は『ザ・ウィットマーク・デモ:1962-1964』のタイトルが示すように、ディランが楽曲著作権を管理する音楽出版社のために録音したデモ・テープだ。この2枚組CDには、ディランが最初に契約したリーズ・ミュージックに残した8曲のデモと、2番目のウィットマーク・ミュージックに吹き込んだ39曲、計47曲が収録されている。すべてディランがひとりでギターかピアノを弾きながら歌っている。収録曲のうち15曲はいままで一度も発表されたことのない曲であり、そのほかの曲も既発表とはちがう未発表デモだ。このアルバムを聴くと、ウディ・ガスリーやフォークミュージックの影響を強く感じさせる1962年から、その後のポピュラー音楽を変える独自の新しい音楽をつくりだしていくことになる1964年まで、21歳から23歳のわずか2年間にディランがいかに急速に大きく成長したかがよくわかる。詳細なライナーノートやめずらしい写真を掲載したブックレットも見逃せない。(菅野 ヘッケル)

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「ライヴ・アット・ザ・グリーク・シアター2008/リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンド」(ユニバーサルミュージック/UICY-1490)
 
第10期リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドのライヴ盤が登場。2008年8月2日にロサンゼルスのグリーク・シアターで行われた公演を収録。今回のメンバーはコリン・ヘイ、エドガー・ウィンター、ヘイミッシュ・スチュアート、ビリー・スクワイア、ゲイリー・ライト、グレッグ・ビソネット。リンゴの「消
えた恋」「ネヴァー・ウィズアウト・ユー」「思い出のフォトグラフ」「オー・マイ・マイ」「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」「平和を我等に」など、各メンバーの曲も含め全16トラック収録。(広田 寛治)

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「シール6:コミットメント/シール」(ワーナーミュージック・ジャパン/WPCR-13959)
 シールの新作に再び、デイヴィッド・フォスターがプロデューサーとして登場。大成功をおさめたソウル・クラシックのカバー・アルバムである前作『ソウル』(2008年)、同アルバムのプロデュースを手掛けたデイヴッド・フォスターに引き続き委ねるというのは業界的にも自然な流れ。しかし本作では、そんな周囲の思惑を越えたふたりがお互い、さらに深く相手の領域に踏み込んだ良質の作品が数々収録され、シール&デイヴィッドの強い信頼関係を感じる。本作からのファースト・シングル「シークレット」は、シールの名曲「キッス・フロム・ア・ローズ」とデイヴィッドがチャカ・カーンに提供した名作「スルー・ザ・ファイヤー」を彷彿とさせる。シールのソウルフルな美声は健在です!(松本 みつぐ)

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「インフィニット・エナジー/クリス・デュアーテ」(キングレコード/KICP-1494)
 世界のブルース・ロック・シーンを見渡したとき、その頂点(少なくとも頂点部分)にいるのがクリス・デュアーテだ。本作は当初、ヘンドリクスィな(ジミ・ヘンドリックスっぽい)ものを目指したようだが、結果的にはそういうニュアンスを一部に持ちながらも、ロック、ブルース、ジャズを自在に行き来する一大傑作となった。これは、彼の魂の自由度がなせる技かもしれない。ギター・プレイは更なる輝きを帯び、ヴォーカルの表現力も一段と豊かに。そして、ソングライティングのクオリティがアルバム全体を力強く下支えしている。正直なところ、ブルース・ロックは現在それほど人気のあるジャンルではないが、クリス・デュアーテは間違いなく、ロック全体にとっての宝である。本作を聴き、私はそう確信している。(細川 真平)

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「ダーティー&ビューティフル vol.1/ゲイリー・ハズバンド」(キングレコード/KICJ-600)
 
ジャズ・ロックとフュージョンは同じものの別名と思われる方もいらっしゃるだろうが、個人的には別物だと考える。感覚的なものでしかないのだが、ジャズ・ロックのほうが本当の“フュージョン(融合)”で、フュージョンはそういう名前を持つひとつのジャンル、という気がするのだ(どっちが良い悪いの話ではないのでご注意を)。さて、本作は思い切りジャズ・ロックのエキサイティングな“フュージョン”ぶりを味わわせてくれる内容。ゲイリー・ハズバンドはアラン・ホールズワースのバックなどで有名なドラマーだ。そのホールズワースはもちろん、ジョン・マクラフリン、スティーヴ・ハケット、ロビン・トロワー、ヤン・ハマーなどの豪華ミュージシャンが参加し、“融合”を推し進める研ぎ澄まされた個性を提供している。(細川 真平)

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「ヒストリー・オブ・モダーン/オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク(OMD)」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP-2849)
 英国はリヴァプール出身のテクノ・ポップ・デュオOMDは、1979年のデビュー以来、首尾一貫した“エレクトリック・ポップ美学”を貫きながら、80年の「エノラ・ゲイの悲劇」を皮切りに数々の世界的ヒット曲、ヒット・アルバムを20年の長きに渡って放ち続けてきた。言うなれば英国ポップのマエストロ的な職人集団である。そんなOMDから、オリジナルとしては96年の『ユニバーサル』以来14年ぶり、そしてアンディ・マクラスキーとポール・ハンフリーズが再びタッグを組んでからは実に24年ぶりとなるニュー・アルバムが届けられた。とにもかくにも流麗で美しいメロディーに裏打ちされてのOMDサウンドが時代を超えて今なお健在なのが嬉しい。ダンサブルなポップ・チューンはもちろんのこと、彼らが標榜するモダーン感覚に満ち溢れたスロー・チューンまで捨て曲一切ナシ。日本盤のみ特別にボーナス・トラック2曲追加。(小松崎 健郎)

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「ア・カミング・オブ・エイジ/ラッキー・ソウル」(インペリアル/TECI-21637)
 これ、楽しい♪1980年代前期あたりに芯からときめかせてくれた‘60’sフレーヴァー’を振りまくイギリスのグループを思い出したりして。そうそう、1960年代のビート・ポップスのキャッチーさ、シンプルな曲調にたっぷりのメロディー。。。これにリード・ヴォーカル、アリ・ハワード嬢のスウィート&キューティーな歌声が乗るとなればもう、身を焦がしてしまいそう♪原稿や放送の仕事が無くて嘆き悩む日々の憂鬱なんぞ全12曲、36分40秒(短い!)の間だけはすっかり忘れてのめり込んでしまえる(…泣)。グラスゴー出身、6人組の3年ぶりの新作=セカンド・アルバム。10代後半〜団塊の世代までイケそう。(上柴 とおる)

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初回限定盤


通常盤


「HOBO's MUSIC/山崎まさよし」(ユニバーサルミュージック/UPCH-29055=初回限定盤 UPCH-20207=通常盤)
 デビュー15周年記念アルバム。ヴァリエーションに富んだ楽曲群の中に、“山崎まさよし節”とでも言うべき一本の芯が通っている。メロディー・メーカーとしての卓越した才能、言葉を光らせながら、情景をまざまざと描き出せる歌詞のセンス、様々な歌い方を可能にするヴォーカル力、そして人の耳と心を捉える生来の声。それらがひとつになってでき上がったのが“山崎まさよし節”だ。デビュー作ですでに完成を見せていたそれは、15年の歳月をかけて熟成と深化を続けてきた。その集大成が本作だ。もちろん、彼からすれば、これはまだ道の途上なのかもしれないけれど。(細川 真平)

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「ビートルズ 1962年〜1966年」(EMIミュージック・ジャパン/TOCP-71017〜18) 
「ビートルズ 1967年〜1970年」(EMIミュージック・ジャパン/TOCP-71019〜20)

 1973年に赤盤・青盤としてレコードが発売された時、まっ先に話題になったのが、何んと、どこで撮影されたのか、だった。この2枚のジャケット写真は、マンチェスターのEMIレコード社で撮られたということは、やがて分るのだが、2枚の写真に写る4人を見比べて、確実に歳月が流れていることを、誰もが知ったことだろう。ビートルズ前期と後期というつもりでふたつに分けたにちがいないことは容易に判るが、私に言わせれば、乱暴である。私はビートルズの曲は、前期、中期、後期と3つに分けられるべきだと思っている。だから、赤盤・青盤の中に黄色盤を入れてほしかったと、回も改めて思うのである。それはそれとして、クリアーな音で改めてきいてみた。どの曲もいいワァ―! しばらく忘れていた60年代を思い起こしながら、日常の煩わしさをしばし忘れた。(星加 ルミ子) 

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初回限定価格盤


通常盤

「オリビア・ニュートン・ジョン40/40〜ベスト・セレクション」(ユニバーサルミュージック/ UICY-91707〜8=SHM-CD仕様・初回限定価格盤  UICY-91707/8  UICY-1493〜4=通常盤)
 オリビアが僕らの前に登場して40年、その歌声は今もとっても素敵。もうすぐ、ライヴ・イン・ジャパンもひかえている。そんな彼女の代表作が2枚のアルバムに収録。日本のファン投票による結果によってセレクション。ベスト10は「そよ風の誘惑」「ザナドゥ」「フィジカル」「ドント・ストップ・ビリーヴィン」「ジョリーン」「カントリー・ロード」「愛の告白」「サム」「マジック」「愛すれど悲し」、そんなナンバーを中心にボーナス・トラック「カム・オン・ホーム」(未発表曲)を加えて41曲。まさに決定盤なのだ。(上田 和秀)

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「私の小さな夢 +2/ママ・キャス」(ユニバーサルミュージック/UICY-94651)
「バブルガム、レモネード&・・・サムシング・フォー・ママ +6/ママ・キャス」(ユニバーサルミュージック/UICY-94652)

 ママス&パパス脱退後のソロ・アルバムのうち1968年のファースト「私の小さな夢」と1969年のセカンド「バブルガム、レモネード&・・・」が紙ジャケット盤(SHM-CD)で復刻された。オリジナル・レーベルはダンヒル。ファーストは当時ザ・バンド(その少し前にはザ・サークルも)を手掛けていたジョン・サイモンがプロデュース&アレンジを担当(初ソロ・ヒット「私の小さな夢」のみダンヒルのルー・アドラーが制作)。当時としてはまだ目新しかったコンセプト・アルバム形式にはなっているが気負いはなく、親しい仲間のジョン・セバスチャンやグラハム・ナッシュ、ジョン・サイモン、リチャード・マニュエルらの楽曲を取り上げながらセッションを楽しみ、かっちりと作り込まれたママ・パパ時代から解放されたような表情が伺える。続くセカンドは一転して大ポップ大会!?ダンヒル社にとってデビュー作は‘斬新’過ぎたのか制作はダンヒルのヒット・メーカーでもあるスティーヴ・バリが担当、解散したママス&パパスの穴をママ・キャスで埋めようとするかのように明快でポップな楽曲が満載で「イッツ・ゲッティング・ベター」「ムーヴ・イン・ア・リトル・クローサー、ベイビー」とキャッチーなヒット曲も生み出された。しかし明るく溌剌とした持ち味もまた彼女の魅力。日本では後年‘ソフト・ロック’の名盤としての評価も新たに加わった。(上柴 とおる)

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「クリームのすばらしき世界/クリーム」(ユニバーサルミュージック/UIGY-9042)*SACD
 一度体験してしまうと、もうCDには戻れない・・・、と思わせてすまうほど圧倒的な音密度で迫ってくる12cmの銀盤、SACD。9月号ではザ・フーの『フーズ・ネクスト』をご紹介したが、68年リリースの大作『クリームの素晴らしき世界』が登場、なんと今回は“国内オリジナル・マスター”使用だという。これは気になるではないか。 ユニバーサル・ミュージック・ジャパンによるこのSACDシリーズは、シングル・レイヤーで2chのみというヴィンテージ・ロック・ファンにはたまらないこだわりを見せているが、国内マスターを用いたのは海外オリジナル・マスターと同条件で比較しつつ総合的に優良であると判断したからだという。確かに廻し尽くされた本国マスターより保存状態が良好な場合が多いといわれるが、では肝心の音はどうなのか…。驚いたことに最新リマスターCDに比べ、かなりナロウな感触を受けるのだ。しかしひとつひとつの音はあまりに力強く美しい。これを聴けばリマスターCDがかなり意図的なEQ処理で音の立ち上がった瞬間のインパクトを狙っているのは明らかだ。つまりこれを聴くと愛聴していたリマスターCDが不自然にすら思えてしまうのである。まったくEQ処理を行わない“フラット・トランスファー”によってマスター・テープの持つポテンシャルをそのままパッケージングしたこのシリーズ、オリジナル・アナログ盤でも叶わなかった“マスター・テープ体験”を実現させてくれる夢のディスクなのである。(犬伏 功)

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「ブリテッシュ・ビート 1963-1970」(EMIミュージック・ジャパン/TOCP-70871〜72」
 丁度中学から高校、そして大学入学頃にリアル・タイムで聴きまくったUKヒット・チューン40曲を網羅した2枚組コンピレーション。還暦オヤジは大拍手。ジェリー・&ザ・ペイスメーカーズ、ビリー・J・クレーマー&ザ・ダコタスからはじまって、フレディ&ザ・ドリーマーズ、スウィンギン・ブルー・ジーンズ、ピーター・アンド・ゴードン、マンフレッド・マン、アニマルズ、ハニ―カムズ、ハーマンズ・ハ―ミッツ、ホリ―ズ・・・・。フォアモストも登場!吃驚&涙!!CD2の最後はデイヴ・エドモンズの「アイ・ヒア・ユー・ノッキン」。もちろん全曲♪口ずさみながら♪楽しませてもらっちゃいます・・・。(Mike M. Koshitani)


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「KARA BEST 2007-2010/KARA」(ユニバーサルミュージック/UMCK-9383)
 「ミスター」のヒットで一躍日本でも脚光を浴びた韓国の人気ガールズ・グループKARAの初ベスト・アルバム。デビュー曲「Break It」から、本国でのブレイクのきっかけとなった大ヒット曲「Pretty Girl」「Honey」、イメージ・チェンジを図った「Mr.」「Lupin」など、これまでの変遷を辿るアンソロジー的内容で、KARA入門編としては最適な1枚だ。数ある韓国女性グループの中でもKARAの楽曲は、そのグループ名(韓国語で“甘いメロディー”の意味)どおりキャッチーで親しみやすいメロディーラインが特徴。本CD収録曲の大半を作曲を手がけているハン・ジェホは、今最も注目したい新進気鋭のメロディー・メイカーである。(中村 俊夫)

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「ROCKJAZZ vol.1/エリック・ルイス」(エイベックス・エンタテインメント/AVCD38155)
 ジャズ・シーンからホットなピアニストが登場、スタンディング・プレイとアグレッシヴでアバンギャルドなグルーヴ感あふれるそのプレイで早くもロック・ファンにも注目されているエリック・ルイス。ストーンズからニルヴァーナ、レイナード・スキナードほかのロックなナンバーをダイナミックにこのデビュー作で堪能させてくれるのだ。ミック・ジャガーもお気に入り。先日MCを務めさせてもらったNY在住のギタリスト、西藤ヒロノブもこう言っていた「エリックとは共演したことあるけど、ほんと凄い、そしてロックなピアニストだ」。(Mike M. Kositani)

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「Once I Loved/WOONG SAN」(ポニーキャニオン/PCCY-30173)
 ウン・サンはいまや韓国一のジャズ歌手といって間違いない。本作は1年ぶりの新作で、スタンダード・ナンバーを中心にじっくりと歌い上げている。歌唱力、フィーリング、ドラマ性、ジャズ的グルーヴ感といい、申し分ないジャズ・シンガーだ。またマイケル・フランクスの「ザ・レディ・ウォンツ・トゥ・ノウ」やトラディショナルの「ザ・ウォーター・イズ・ワイド」などもあざやかに歌っていて、エンタティナーとしての才能も大いにありで、美人でもあり、女優としての可能性も秘めている。演奏にも参加しているテナーの鈴木央紹のアレンジもすぐれており、「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラブ・イズ」には日野皓正が特別参加し、効果的なソロも聴かせる。「ノー・ムーン・アット・オール」「ティーチ・ミー・トゥナイト」「ザ・マン・アイ・ラブ」「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」と快唱がつづく。歌のレベルの高い韓国歌手陣の中にあって、一際光った存在。ヴォーカルファンは必要のアルバムだ。(岩浪 洋三)

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「イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズ/ナンシ―・ハロウ・アンド・ドン・フリードマン」(カメラ―タ・トウキョウ/CMJB25006)
 1960年に当時の先鋭的ジャズ・レーベル、キャンディドからデビューしたナンシー・ハロウは、数多くのアルバムを発表してきたが、最近は、「蜜ばちマーヤの冒険」「華麗なるギャツビー」など文学作品に基づく自作の歌を歌うアルバムが続いていた。スコット・フィッツジェラルドの名作を主題に彼女が書いた歌を歌う後者は、今年、ミュージカル化されてオフ・ブロードウェイで公演されたが、本作品は、そんな彼女が、ほぼ18年振りにスタンダード・ナンバーを中心に歌うアルバム。さすがにベテランらしい滋味あふれる歌がドン・フリードマンの流麗なピアノと素晴らしくマッチしてロマンティックな雰囲気を醸し出している。タイトル曲や「マイ・フィ―リッシュ・ハート」が特に印象に残る。(高田 敬三)

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「J.J−Standard/アロー・ジャズ・オーケストラ」(サウンドクリエーター/QACE-30001)
 上方落語界きっての‘ジャズ通’桂南光師匠が推薦文を寄せるのはこれまた関西を代表する老舗の楽団‘アロー・ジャズ’の興味深い企画アルバム♪昭和30年代〜40年代(1960年代前期〜1970年代前期)の耳に馴染みのある‘ニッポンの歌’12曲を北野タダオを含む6人それぞれが腕によりをかけてジャズにアレンジ。‘懐かしのメロディー’をまるで趣の異なった味わいで蘇らせたが個人的には「心の旅」や「なごり雪」「結婚しようよ」といったフォーク〜ポップ系よりも「恋のバカンス」「見上げてごらん夜の星を」「高校三年生」といった60年代前期の‘歌謡曲’の仕上がりの方が似合うように思う(新鮮でカッコいい)。スウィンギーな「知床旅情」には驚き&ちょっと感動♪(上柴 とおる)

Popular ALBUM Review



「Amy Hanaialii and Slack Key Masters of Hawaii」(Peterson Productions/ pp006) *輸入盤
 エイミー・ハナイアリイが5人のスラッキー・ギタリストとコラボレーションした最新作で、彼女にとっての通算11枚目のアルバム。2006年以降、毎年コンスタントに作品を発表している彼女は、グラミー賞に4度ノミネートされ、ナ・ホク・ハノハノ賞では常連、いま乗りにのっているコンテンポラリー・ハワイアンの中心的なアーティストだ。前作「Friends and Family of Hawaii」ではケアリー・レイシェル、ヘンリー・カポノ、ロバート・カジメロら実力派とのデュエットがコンセプトであったが今回は大分趣が変わった。各トラックはスラッキーが全面的にフィーチャーされ、シリル・パヒヌイ、ジェフ・ピーターソン、ソニー・リム、チノ・モンテロ、デニス・カマカヒとのデュオありソロありのバラエティに富んだ構成だ。ハワイアン・クラシックの「Miloli’i」「Hi’ilawe」「Kaulana Kawaihae」から新曲まで、全16曲が収録されている。(三塚 博)

Popular ALBUM Review



「ワタリガラス〜神々の夢物語/ヴァルラウン」(プランクトン/VIVO-373)
 不思議な雰囲気・サウンドを持ったグループが登場した。ヴァルラウンはデンマークの神話に出てくるワタリガラスのことらしい。5人全員がコペンハーゲンに住んでいる。日本でいうところのラディカル・トラッドの範疇にはいるのだが、女優志望の女性ヴォーカルを中心に、中世/北欧の伝統音楽にケルトのニュアンス、エレクトロニクス、ジャズなどが加味され、楽器もハンマー・ダルシマー、ハーディーガーディー、マンドーラなどの民俗楽器、ヴィオラ、フルート、キーボ−ド、パーカッションほか様々な楽器が使われている。ダルシマー(?)の澄んだ響きの中でフォークっぽいヴォーカルからしっとりと始まる。日本の祭囃子に似た曲も出てくる。とにかく土俗風と現代風味と神秘が一緒になったようで面白い。12月に来日予定。(鈴木 道子)

Popular DVD Review



「ライヴ・アット・ザ・グリーク・シアター2008/リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンド」(ユニバーサルミュージック/UIBY-1067)
 第10期リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドのライヴDVDも登場。CDと同じく2008年8月2日にロサンゼルスのグリーク・シアターで行われた公演を収録。アルバム未収録の「想い出のリヴァプール」「チューズ・ラヴ」などが加わり、27トラックス分の映像を観ることができる。ますます元気なリンゴのステージが楽しめる。(広田 寛治)

Popular DVD Review


「コンプリート・エド・サリヴァン・ショウ/ザ・ビートルズ」(ユニバーサルミュージック/UIBY-1065〜66)
 ビートルズがアメリカで大旋風を巻き起こし、ブリティッシュ・インヴェージョンの口火となったテレビ・ショウのビートルズ出演シーンのコンプリート盤。演奏シーンだけではなく、これまで未発表だったものも含め、出演予告映像、インタビュー映像、出演映画の紹介など関連映像もたっぷりと収録されており、歴史的にも貴重な番組出演の全貌をつかむことができる。音だけでは伝わってこないビートルズのエネルギッシュな躍動感が全編にあふれており、歴史を創り上げたオーラーが伝わってくる。(広田 寛治)

Popular BOOK Review

「勝手に覗くな!! 頭脳警察 PANTA の頭の中」(サイゾー)
 頭脳警察のPANTAが、自らの所蔵コレクションから100枚の洋楽シングル・レコードをセレクションしたのが本書。PANTAのミュージック・ルーツを知る上でも貴重な資料となる一方、1960年代から70年代にかけての音楽シーンを懐かしむことができたりもする。ジャケットが原寸大で掲載されている、嬉しくなってしまう。同年齢ということもあって、やっぱり聴いていた音楽は一緒だ。久しぶりにドーナツ盤を引っ張り出して来てターン・テーブルの上に置いて楽しんでいる。(Mike M. Koshitani)

Popular BOOK Review


「ジョン・レノン その生と死と音楽と」(河出書房新社)
 注目は、1973年のジョン・レノン・ロング・インタビュー(英音楽誌 Melody Maker より)を日本で初公開。『マインド・ゲームス』制作時、オノ・ヨーコと別居したばかりの頃のジョンの本音が語られている。ここはジョン研究でも最も重要なポイントになっているため、必読だ。『マインド・ゲームス』には一切ヨーコがタッチしていないことや、1969年にジョンと初めてステージに立ってから以来、ヨーコが音楽的に成長したことを感じさせる発言が興味深い。その他、銅版画家の山本容子、写真家のエドワード・レビンソンなどの貴重なコメント、土屋昌巳とMPCJ会員でもある井上貴子(大東文化大学教授)の対談も面白い。自分は、ジョンの作品が、ビートルズ後期、チャート上ではポールにお株を奪われながら、実は、死後にツジツマを合わせているというポイントについて、論を展開させていただいた。ジョン・レノン論は、固まっているようで、まだまだこれから考えなければいけない点が多い。(サエキ けんぞう)

Popular BOOK Review


「マイルス・デイヴィス 奇跡のラスト・イヤーズ/中山康樹・著」(小学館)
 いくら掘り返しても新事実、新解釈が出てくる。それが帝王マイルス・デイヴィスだ。筆者はそんな“マイルスの業”というべきものに40数年間もとりつかれ続けている。この本は文字通りマイルス最後の日々にスポットライトが当てられているのだが、1981年から91年(劇的なカムバックから突然の逝去まで)だけではなく、殆ど詳述されたことのない隠遁期間中(75〜80年)の動向について80ページ以上が費やされているのもすごい。筆者本人の取材も含む豊富な資料をズラリと並べ、晩年の帝王の姿を鮮やかに描き出していくあたりは、もはや他の追随を許さない境地に達している。また復帰後のマイルスに対する評価は、75年以前の演奏に対するそれと比べ、歳月を経るごとに下がっているような気がするが、マイルスは最後までマイルス以外の何者でもなかった。それを再認識させてくれるのも、この本のいいところだ。(原田 和典)

Popular BOOK Review


「ロックの名言」(シンコーミュージック・エンタテインメント)
 ジョン・レノン、キース・リチャ―ズ、ボブ・ディラン、ピート・タウンゼント、ジム・モリソン、デヴィッド・ボウイ、ブルース・スプリングスティーン、ボノほか多くのミュージシャンのロックな名言を集めた一冊。彼らの一言一言が僕らが音楽を楽しむうえでこのうえもなく、ごく自然にだけどとっても役に立ったりしてくれる。すごいアーティストの“言葉”にも圧倒させられてしまうのだ。(高見 展)

Popular CONCERT Review

「リザード vs ゲタカルビ」 7月30 亀戸ハードコア
 たまらないダブルビル・ライヴである。モモヨ率いるリザードは前身の“紅蜥蜴”の頃から数えると40年もの歴史を持つバンド。1978年には日本最初のパンク・コンサートと呼ばれる“ROCK'IN DOLL EAST”に登場している。しかし彼らは伝説という言葉に安住しない。いまや古典ともいえる「TVマジック」をやってもサウンドは新しく、バリバリにエッジが立っている。続いて登場したゲタカルビ(写真)はアナーキーのヴォーカリストである仲野茂、ベース奏者のサモンを中心とするユニット。2003年結成、今年に入ってようやくアルバムを発表した。とにかく音がデカイ。太い。爆裂している。「心の銃」「ロックスター」「東京イズバーニング」(クラッシュのカヴァー)など初期アナーキーの名曲も惜しみなく放出してくれた。ゲタカルビとリザード・・・なんと満腹感のある組み合わせだったことか。(原田 和典)

Popular CONCERT Review

「マイク・ノック」 9月2日 東京国際フォーラムD5 
 ニュージーランドに生まれ、60年代から80年代までアメリカで活動し、ジャズ・ロック〜エレクトリック・ジャズの草分け的存在に。近年はニュージーランドを拠点に演奏を続けている鬼才ピアニストがマイク・ノックである。今回の公演は、乗りに乗る彼の魅力をピアノ・トリオとラージ・アンサンブルの両方で味わえるという垂涎ものの内容。第1部のトリオ(写真)ではため息がでるほど美しいオリジナルからスタンダード・ナンバーまでを一糸乱れぬプレイで聴かせた。また第2部では幻想的なホーン・アンサンブルを生かしたサウンドで、ノックが持つアレンジャーとしての卓越した魅力をも堪能させてくれた。押しも押されもしない巨匠の域にありながら、なおも新鮮な音を追い求めるマエストロに最敬礼だ。(原田 和典)


Popular CONCERT Review



「TRIOSENCE featuring SARA GAZAREK with VITALIY ZOLOTOV」 9月14日 COTTON CLUB
 トリオセンスはドイツを中心に活躍中のジャズ・ピアノ・トリオ。この夏、ナチュラルな歌声が魅力のサラ・ガザレクを全面的にフィーチャーした最新アルバムを日本でもリリースして話題を呼んだが、この日のステージは、その新作に因んだサラとの共演ライヴ(ギタリストのヴィタリーがゲスト参加)。トリオセンスの歯切れのいい軽やかな演奏に乗って、心の赴くまま、気持よさそうに歌い上げるサラ。まるで爽やかな風のような心地良さだ。アルバムの収録曲はどれもサラを加えた彼等のオリジナルだが、流れるようなメロディーとサラの等身大のヴォーカルが曲を身近なものにしてくれる。曲間のさり気ないやり取りにも彼等の気さくで暖かな人柄が伺えて、打ち解けた雰囲気が会場を包んでいた。お互いの魅力が溶け合い、そこから生まれたサムシングが確かに感じられた、素敵なコラボレーションの一夜だった。(滝上 よう子


Popular CONCERT Review

「ハラール・ハウゴー with ヘレーネ・ブルーム」  9月15日 渋谷CLUB QUATTRO
 2010年に初ソロ・アルバムを発表したばかりのフィドル(ヴァイオリン)奏者ハラール・ハウゴーと、デンマーク・グラミー受賞歴のあるヴォーカル&フィドル奏者へレーネ・ブルームが共に来日した。カテゴリーとしては“北欧トラッド”ということになるのだろうか。他のメンバーはカースティン・エリーゼ・ペデルセン(チェロ)、ラスムス・ジーバーグ(ギター、マンドリン)。当たり前だが全員、ものすごく楽器がうまい。室内楽的なナンバーがあると思えば、アイルランドのジーグのようなサウンドもあり、とにかくバラエティに富んでいた。歌詞は基本的にデンマーク語だったが、歌う前にとてもききとりやすい英語で歌詞の意味を説明したのは親切だと思った。大貫妙子とハンバートハンバート(日本の男女デュオ)のゲスト参加も華を添えた。(原田 和典)


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「フェスティバル ナ・ヒヴァヒヴァ・ハワイ 2010
〜 メリー・モナークとナ・ホク・ハノハノがやってくる!」 9月18日 JCB HALL  

 世界最高峰のフラ・コンペティション≪メリー・モナーク≫の上位入賞者、入賞ハーラウ(フラのチーム)とハワイのグラミー賞と称される≪ナ・ホク・ハノハノ・アワーズ≫の受賞アーティスト2名を集めた贅沢なハワイ・イベントが行われた。ハワイからやって来た人数は総勢50名をこえた。昨今、多くのフラダンサーやミュージシャンがハワイからやってくるが、この会場に集まったダンサーやミュージシャンがハワイの今を代表するダンサーであり、ミュージシャンであるといえる。ハワイでもこれだけのメンバーが集まることは≪メリー・モナーク≫の会場以外ではありえない。この舞台を見ることが出来た日本の観客は本当に幸せだ。そして、ほとんど紹介されなかったが、ダンサーのバックで何気なく演奏していたミュージシャン達もすごいメンバーばかりだった。カヒコと呼ばれる古典フラ、アウアナと呼ばれる現代フラを最高の技術と表現力で魅せてくれるダンサー達から、アロハの気持ちを受け取ったのは私だけではないと思う。今年で3回目のイベントだが、長く続いてくれることを願う。(鈴木 修一)
写真:(C)読売新聞社


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「ネッド・ドヒニー」 10月1日 Billboard Live TOKYO
 16年ぶりにネッド・ドヒニーが来日した。ステージに上がったネッドを見た感想は「年取ったな〜」だった。1976年に大ヒットとなった 『HARD CANDY』』のジャケットがあまりにも印象的なため、ステージに現れたネッドと自分のイメージをシンクロさせるのが難しかったが、オープニングの「 Before I Thrill Again」を聴いたとたんにイメージは結びついた。30年前のツヤはなくなったが、可愛さの残る甘酸っぱい声は変わっていなかった。1993年に『BETWEEN TWO WORDS』を
発表して以来、表舞台から姿を消したネッドだが、今年10月にニュー・アルバム『DARKNESS BEYOND THE FIRE』を発表した。17年間のブランク期間に書きためた曲を再構成したアルバムらしい。今回のライヴでも4曲、その新作から披露、よりソウルな感覚のサウンドが印象的だった。17年の時を越えてやってきたAORファンへの贈り物だ。ステージは懐かしさが演奏を上回っていた感じもしないでもなかったが、これからの活動への期待度も含めてということで、楽しめた。アンコールはチャカ・カーンでヒットした「Whatcha Gonna Do For Me?」で盛り上がった。(鈴木 修一)
写真:acane


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「BOWWOW SUPER LIVE 2010」 10月2日 渋谷0-EAST
 30数年前にシーンに登場したBOWWOWが現在も確実にヘヴィーでハードなあのサウンドを生み出し続けていることにまず大きな拍手だ。山本恭司(G/Vo)を中心に斉藤光浩(G/Vo)、新美俊宏(D)・・・そしてこの日のライヴはベースが健康上の都合でDAISUKEに代わり松本慎二がサポート(外道。慎二の演奏にも大拍手だった)。山本の吠えるあのエキサイティングなギターが会場のファンを唸らせる、この日は往年のフリークにより喜ばれるセットリスト展開。恭司&光浩のアコースティック・セットもステージに華を添えた。そして「Signal Fire」からの後半でライヴはより大きくエクスプロージョン。アンコール「Summertime Blues」にも感動した。来年はBOWWOWデビュー35年、『GLORIOUS ROAD』『TELEPHONE』『組曲×ボンバー』『HARD DOG』の4作がCD化される。(Mike M. Koshitani)
写真:TOSHIO・F・DANIEL


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「ニッキー ジャパン・ツアー2010」  10月6日 東京国際フォーラム ホールC
 バンクーバー冬季五輪の聖火に国歌を捧げ、閉会式でも存在感を示して、世界的に有名になった16歳の天才ジャズ歌手ニッキー。地元モントリオール・ジャズ・フェスティヴァルに招待されたのは12歳の時だった。この日ステージに登場したニッキーは、バスシューズを履いた普通のハイスクール・ガールだったが、「A列車に乗って」を皮切りに古今の佳曲22曲。「ありがとう! Thank you!」をはさみながら、シンプルなステージングで1時間半歌い切り、見事な歌声で魅了した。伸びのある良い声はスケールが大きくリズム感も抜群。「エアメイル・スペシャル」「オールド・マクドナルド」などは正確な音程とよく回る舌で、まさに舌を巻く。深い感情表現はこれからだが、ジャズ、ポップ、ロック、R&Bとなんでもござれのステージは実に爽快で楽しめた。(鈴木 道子)

 あどけなさが残る若干16歳のカナダの歌姫ニッキーが、東京に舞い降りた。ノリのいい「A列車に乗って」から始まったライヴは、奇を衒った演出が一切なく、バックのミュージシャンは、彼女が気持ち良く歌に専念できるようにパーフェクトな演奏で盛り上げ、観客は落ち着いて歌に集中できるという、正にヴォーカリスト/ニッキーの魅力を全面に表現するものだった。曲間に、「ありがとう、サンキュウ・ソー・マッチ」と挨拶する声は幼くチャーミングであるが、一旦歌に入ると一流の女性ヴォーカリストに変身するニッキーは、スタンダード・ジャズ、スイング、バラード、ポップスと何を歌っても上手い、そしてヴォーカリストとして驚く程リズム感が良い。これからの成長を見守っていたい、そんな気持ちにさせる魅力的なヴォーカリスト、それがニッキーだ。(上田 和秀


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「アダム・ランバート」  10月8日 JCBホール
 さすがに俳優でもあるアダム・ランバートの初来日公演は、ド派手な衣装と妖艶なバック・ダンサー、そして奇抜な演出で度肝を抜かれ始まった。ファースト・シングル「タイム・フォー・ミラクルズ」が、映画『2012』のサントラに使用されたことからも分かるように、アダム・ランバートは、コンポーザーとしてもヴォーカリストとしても高い評価を受けていて、そのライヴはと言うと、昨年リリースしたファースト・アルバム『フォー・ユアー・エンターテインメント』からの楽曲を中心に、ハード・ロック、ユーロ・ビートからピアノやアコースティック・ギターをバックにバラードを熱唱するなど聴かせ所も満載であった。「イフ・アイ・ハッド・ユウ」で会場全体を大合唱の渦と化し、アコースティック・ギターでオリエンタルにアレンジされた、レッド・ツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」をアンコールに幕を閉じた。このライヴの熱狂が、またひとりのニュー・ヒーロー登場を告げていた。(上田 和秀)


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「サラ・ブライトマン IN CONCERT WITH ORCHESTRA」10月10日 東京国際フォーラム ホールA
 サラ・ブライトマン、今回は割とシンプルなステージだった。客席への張り出しや大げさな仕掛けもなく、白、赤、黒など衣装を変えて登場したが、中央マイク中心に歌に専念した。スケールの大きい「ストレンジャー・イン・パラダイス」「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」「ファントム」など特に好唱だったが、オペラを歌ってもフォーク、イタリアン・ソング、新曲、どの曲もほぼ同じ表現、ただ朗々と歌う。ひたすら美声の魅力を聴かせることに専念している。曲の内容によって変化があってもいいと思われるが、類い稀な美声を聴かせるだけでもよいか。聴衆はただうっとりと聴きほれていた。(鈴木 道子)


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「World Beat 2010 スタッフ・ベンダ・ビリリ特別公演」 10月11日 日比谷野外大音楽堂
 ブルキナファソ出身のヴィクター・デメ、ジャスティン・アダムズ&ジュルデー・カマラは英国とガンビア共和国、スタッフ・ベンダ・ビリリはコンゴ共和国から。アフリカン・ミュージックのアーティストを集めた≪World Beat 2010≫が気持ちよい秋風が吹く日比谷野音で行われた。アフリカン・ミュージックは門外漢だが、映画公開で話題になっているスタッフ・ベンダ・ビリリをぜひ聴いてみたいと思いでかけた。ここでは他のアーティストについて触れないことをお許し願いたい。会場は、夕闇に包まれ始め、オーディエンスの盛り上がりもピークに達しスタッフ・ベンダ・ビリリが登場した。8人のメンバーのうち、4人が車いす、1人は松葉杖。彼らはポリオで半身不随になり、コンゴのストリートで生活し音楽を演奏していた。そんな彼らにフランスの映像監督2人が感銘を受け映画を制作。それがきっかけとなり2009年にアルバム『屈強のコンゴ魂』も発売された。映画、アルバム共に世界中のワールド・ミュージック・シーンで話題となり、彼らはスターになった。
 スタッフ・ベンダ・ビリリの音楽は衝撃的だった。ドラムというよりはパーカッションに近い音が、正確にファンキーなリズムを刻んでいく。そこに被さるベースもすごい。19歳のロジェが自ら考案した楽器“サントゲ”は、空き缶に1本の弦を張った1弦楽器。この空き缶が驚くような音色を生み出す。そしてギターと6人のヴォーカル。ソロ、ユニゾン、コーラス、ラップと変幻自在。言葉はわからなくても身体が自然に揺れてきた。音楽の力が、がんがん迫ってくる。いつの間にか、彼らの身体が不自由であることなど忘れてしまっていた。彼らの前向きな音に感動し、喜ぶ自分がいた。自分達の身近な出来事をポジティブに歌い上げる彼ら。そのメッセージが、ダイレクトに伝わってきた。これからのスタッフ・ベンダ・ビリリとアフリカン・ミュージックに注目していきたい。(鈴木 修一)
写真:石田昌隆


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「ボビー・コールドウェル」 10月15日  Billboard Live TOKYO
 1979年から毎年日本に来ているボビー・コールドウェルが今年もBillboard Liveに登場。個人的に、ボビー・コールドウェル、ボズ・スキャッグスの“2B”がAORの東西横綱だと思っているが、その番付に恥じない、質の高い演奏で観客を楽しませてくれた。客席は満員。ボビーのリアル世代は40代半ばから50代以降の人だと思われるが、若いお客さんが多かったのも印象的。良い音楽は時代を超えて伝わるものだと実感。オープニングの「Comin' Down from Love」の歌声が流れると気持ちは30年前にすぐワープした。私はAORをR&Bとジャズを素材にロックの味付けをした音楽と思っているが、ボビーの曲はこのバランス感覚が抜群。ただ、優しいだけではなく、きりっと芯があって心地よい。昨今AORが大人の音楽として、再度見直され始めていることも彼の音を聞くとよく理解できる。今回演奏された曲はこの30年間に彼が発表したアルバムから万遍なくセレクションされていた。全盛期のボビーの曲を聴きたかった観客には少し物足りなかったかもしれないが・・・、「スペシャル・トゥ・ミー」や「カム・トゥ・ミー」も聴きたかった。(鈴木 修一)
写真:ALLI(昭和基地¥50)


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「スウィング・アウト・シスター」
 お洒落系音楽の代表スウィング・アウト・シスターが昨年に続き来日する。1985年に英国でデビューし、86年にリリースした「ブレイクアウト」がヒット。この曲は最近某携帯電話会社のCMに使われ、日本で再び話題になった。彼らの音楽をカテゴリー分けするのは難しい、スムース・ジャズ、AORなど言われているが、正しいが正解ではないように思う。ロンドンのクラブで鍛えたグルーヴ感とキャッチーなメロディーは、彼ら独自のお洒落ポップスを創り出している。アルバム・ジャケットのアートワークは今見ても素晴らしいデザインだ。秋の都会にピッタリのライヴ。大人のカップルにお勧め。(SS)
*11月11日 12日 13日  Billboard Live OSAKA 2回公演
お問い合わせ:(06)6342-7722
http://www.billboard-live.com/
*11月15日 16日 18日 19日 20日  Billboard Live TOKYO 2回公演
お問い合わせ:(03)3405-1133
http://www.billboard-live.com/


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「デニス・ラサール」
 1970年代前半から80年代にかけて「Tripped By A Called Love」「How Run And Tell That」「Man Sized Job」ほか多くのヒットを放ったソウルフルな歌いっぷりで知られるR&Bレディ、デニス・ラサールが再びやってくる。80年の初来日も凄かったけど、今回もそのドラマティックな、まさにライド・オン!を連発したくなるようなソウル・ショウを楽しみたい。(MK)
*11月19日  Billboard Live OSAKA 2回公演
お問い合わせ:(06)6342-7722
http://www.billboard-live.com/
*11月21日 22日  Billboard Live TOKYO 2回公演
お問い合わせ:(03)3405-1133
http://www.billboard-live.com/


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「チャットモンチー PremiumアコースティックLIVE 〜五年目の浮気〜」
 徳島が世界に誇る3ピース・ロック・バンド、チャットモンチー。「シャングリラ」「風吹けば恋」など数多くのシングル・ヒットを持ち、これまでフル・アルバムも3枚発表。ライヴ・パフォーマンスの白熱ぶりにも定評がある。この3月にはUSツアーを敢行し、評判を呼んだのも記憶に新しい。そんな彼女たちが、今度は≪Billboard Live≫に初登場する。通常のセッティングではなく、アコースティック・セットによるパフォーマンスが繰り広げられるとのことだ。10月発売のミニ・アルバム『Awa Come』からの曲もプレイしてくれるに違いない。CDデビュー5周年を迎えたチャットモンチーの新世界を、味わいつくそうではないか!(KH)
*11月20日  Billboard Live OSAKA 2回公演
お問い合わせ:(06)6342-7722
http://www.billboard-live.com/
*11月23日  Billboard Live TOKYO 2回公演
お問い合わせ:(03)3405-1133
http://www.billboard-live.com/


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「オリビア・ニュートン・ジョン」
 メジャー・デビューから40周年を迎えるオリビア・ニュートン・ジョンの4年振りとなる来日公演が決定した。その可愛らしいルックスとチャーミングな歌声で、全世界憧れの歌姫となったオリビアの「そよ風の誘惑」「愛の告白」「マジック」「フィジカル」等、時を重ねた今も色褪せることのないヒット曲の数々を心待ちにしていたファンも多いことだろう。今回のライヴには、心から青春の思い出に浸ることが出来る最高のセットリストが待っている。(UK)
*11月25日 26日Bunkamura オーチャードホール 
*11月28日 JCB HALL 
*11月30日 本多の森ホール 
*12月2日 中京大学文化市民会館 オーロラホール 
*12月3日 アルカイックホール 
お問い合わせ:ウドー音楽事務所 (03)3402-5999
http://udo.jp/


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「ヴィンセント・ギャロ」
 ミュージシャン、アーティスト、映画監督、俳優とマルチな才能を発揮し、カルト的ファンに支持されているヴィンセント・ギャロが、ミュージシャンとして3度目の来日をする。2003、2007年のフジロック・フェスティバルに出演したが、クラブ(ライヴ・ハウス)は初めての登場となる。自ら監督・脚本・音楽・主演の映画『バッファロー'66』のヒットで俳優、映画監督として日本では知られているが、ミュージシャンとしてのキャリアも長く、ニューヨークの路上であったヴァスキアとバンドを組んでいたこともあった。気難しく、トラブルメーカーの彼が、おとなしく演奏してくれるのかどうかも気になるところだ。ファンならば絶対見逃せないライヴ。
*11月30日〜12月2日 Blue Note TOKYO  2回公演
お問い合わせ:(03)5485-0088 
http://www.bluenote.co.jp/


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「サム・ムーア」
 1960年代後半「Hold On I’m Comin’」「When Something Is Wrong With My Baby」「Soul Man」「I Thank You」「Soul Sister, Brown Sugar」ほか多くのヒットを放ったダブル・ダイナマイト、サム&デイヴ。そのサム・ムーアが再び日本に帰ってくる。近年の彼の活動ぶりは往年のソウル・フリークはもちろん、若いロック・ファンからも注目されている。我らオジサン組は“the other”を思い出しながらファンキー・ブロードウェイを思いっきり踊ってしまうのだ。(MK)
*12月12日 COTTON CLUB  
お問い合わせ:(03)3215-1555
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/index.html
*12月13日 14日 15日 Blue Note TOKYO  13日&15日は2回公演
お問い合わ:(03)5485-0088 
http://www.bluenote.co.jp/


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「スティング/SYMPHONICITY JAPAN TOUR with 東京ニューシティ管弦楽団 指揮:スティーヴン・マーキュリオ」
 ロック・シーンでクリエイティヴに活動を続けるスティングが、今回はスティーヴン・マーキュリオ指揮、東京ニューシティ管弦楽団をバックに、「孤独のメッセージ」「ロクサーヌ」「見つめていたい」等ポリスの名曲と「フラジャイル」、「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」「フィールズ・オブ・ゴールド」等ソロの名曲の数々を壮大なるスケールで歌い上げる。ポリス&スティング・ファンは、必見のライヴであることは間違いないが、ジャンルを越えて多くの音楽ファンに来場して欲しいライヴでもある。(UK)写真:(C)Fabrizio Ferri
*1月13日 大阪市中央体育館 
*1月14日 愛知県体育館 
*1月17日 日本武道館 
*1月18日 日本武道館 
お問い合わせ:ウドー音楽事務所 (03)3402-5999
http://udo.jp/


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「ダリル・ホール&ジョン・オーツ/DO WHAT YOU WANT BE WHAT YOU ARE Japan Tour 2011」
 1970年代に名曲「サラ・スマイル」「リッチ・ガール」を発表、80年代に入ってからはブルー・アイド・ソウルの代表格として華麗なる変身を遂げ、「プライベート・アイズ」「アイ・キャン・ゴー・フォー・ザット」「マンイーター」等ヒット曲を連発、ディスコ・シーンでも大人気を博したダリル・ホール&ジョン・オーツの来日公演。あの息のあったファンキーでポップ&ロックなLIVEを久しぶりに味わえるのだ、楽しみ。(UK)
*2月21日 22日 大阪/グランキューブ大阪 
*2月24日 名古屋/Zepp Nagoya 
*2月26日 東京/日本武道館 
お問い合わせ:ウドー音楽事務所 (03)3402-5999
http://udo.jp/




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