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「ベートーヴェン:交響曲第6番《田園》& 第8番、大フーガ(弦楽合奏版) / ケント・ナガノ(指揮)、モントリオール交響楽団」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル、SONY CLASSICAL/SICC-1474~5)
ケント・ナガノとモントリオール響コンビによるベートーヴェン・プロジェクトの第3弾。これは08年7月の「運命」、「ザ・ジェネラル」、「エグモント」、そして11年6月の「英雄」、「プロメテウスの創造物」に続くものである。今回の「田園」では第1楽章から清流のような淀みのないすがすがしさに満たされ、これは全曲を通して感じられる。第2楽章も速めのテンポで進められ、第4楽章は通り雨的な雷雨を感じさせ、そしてアタッカで続く終楽章も小気味よいテンポで、まさに嵐のあとの喜びと感謝の気持ちが伝わってくる。1枚目に入っている「第8番」も小気味よいテンポで全曲が爽快な気分に覆われる。この後に収録されている「大フーガ」の弦楽合奏版ではパート毎の声部が実に明快に聴き取れる。そしてこの「大フーガ」を始めとして、モントリオール響の個人技と合奏技術の質の高さが十分に感じることが出来る。 (廣兼 正明)
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