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「Mhi Evidence MM01A」
日本の感性が磨きあげたアメリカのスピーカー。瑞々しく透明感豊かな音、Mhi Evidence MM01Aの日本凱旋。
最近、とても印象的な2ウェイコンパクトスピーカーの新製品に出会った。mhi(musical heart instruments)のEvidence MM01Aである。mhiは、国籍上アメリカの新進気鋭のスピーカーメーカーだが、製品の企画と設計はパイオニアでTAD-M1を手掛けた日本人エンジニアの手になる。第一作MM01Aがアメリカのインターネットオーディオマガジンで絶賛され俄然注目を集め、高級ケーブルやアクセサリーの紹介で経験厚いサエク・コマースが販売権を取得、今年、日本に凱旋したのである。
MM01Aを構成する二つのドライバーは、ピュアアルミ製Trueリボントゥイーターと4.5インチウーファーである。リボントゥイーターはパイオニア製で、現在8シリーズに使われているリッフェル型でなく、PT-Rシリーズの系統の純アルミ製リボンで後述するが設計者の音のイメージを実現できる、現在入手ができる最も素性のいいドライバーとして白羽の矢が立った。これが120kHzまでを再生。
ウーファーはモガミ紙を使ったオーソドックスなコーンだが、興味深いことに、ローパスを使わず10kHzまでスルーで鳴らしている。一般的に両者の組み合わせは2~3kHz辺りにクロスオーバーを設定してウーファーとトゥイーターの受け持つ帯域を分割するが、人間の耳の感度の最も鋭敏なのがその周波数であり、耳のいい人は音の継ぎ目に気付いてしまう。同時に基音から倍音までシームレス再生にこだわった。だから、MM01Aを鳴らす場合、バイワイヤリング接続が基本である。
パイオニアのリボンを知り尽くしていることがmhiの強みである。素材を最大限生かし、味にふくらみを出す繊細な工夫がされている。ネットワークは異種金属接触を嫌い、ハンダを使わずカシメ接続のみ。トゥイーターにはハイパスが入るが、高品位な空芯コイルを使用する。
リアバスレフ形式のエンクロージャーはトゥイーター背後にポートが開口、楽器のような響きの厚みを出すため、3種類のMDFを貼り合わせて構成、背面までポリエステル塗装とウレタン塗装を重ねたピアノフィニッシュである。見落としやすいが、バッフルのウーファーとトゥイーターの間に巾1.5mm深さ20mmの溝が掘ってあり、これが側面まで回り込んでいる。ウーファーの振動がトゥイーターに影響を及ぼすのをこれで防ぐことができるそうだ。溝の深さと長さはヒアリングで決定された。
MM01Aを手にすると、4kgの質量以上にずっしりした手応えを感じる。「気」が入っている証拠である。さて、MM01Aの価格である。ペアで?84,000(税込)。ちなみに北米では1400ドルで販売されている。今後この価格帯の台風の目になることは間違いない。
機器やケーブルの品位、接続方法に
鋭敏に反応し、反映する
音を出した最初は音にやや濁りを感じた。スピーカーケーブルのグレードが低かったのである。ショートピンをトゥイーター側につないだのも正解といえなかった。私のリクエストでケーブルをスープラ・スオードに変えウーファー側に繋いだら俄然良くなった。一音一音に透明感が出て、倍音の伸びが豊か。帯域のバランスが向上し、音場に深さと広がり感が出た。機器やケーブルの品位、接続方法に鋭敏に反応し、反映するセンシビリティを持ったスピーカーシステムである。
サエクのK社長から「どちらかというとモダンジャズとボーカルが得意のようです。」と聞いていたが、製品に合わせてソースを変えたら本末転倒というものだろう。一枚を除いてクラシックの優秀録音を再生した。まず、アンドラーシュ・シフの弾くベートーヴェンのワルトシュタイン。実にのびやかで広がり感がある。両手のコントラストとバランスが実に鮮やかで、第二楽章の右手の旋律は滴り落ちるようで音が虚空に結晶して消えていく。左手のうねるような量感、生動感もいい。弱音の確かな存在感、響きの瑞々しい透明感も出色。クライマックスのダイナミックな力強い表現力はサイズを忘れさせる。流石に深々とした低音は望めないが、中域から高域の質と音色の豊かさがそれをカバーする。
SACDは2009年ミュージック・ペンクラブ音楽賞・オーディオ部門最優秀作品に輝いた、ユベール・スダーン指揮の東京交響楽団の「ブルックナー第7交響曲のアダージョ(第二楽章)」を聴いた。この演奏の一番の聞かせ所は、主題を弾くヴァイオリンと対位法的な低弦の対照だが、それが立体的に浮かび上がり、フレージングの合わせ込みの上手さが実によく伝わる。スダーンがブル7に見出した「しなやかな叙情歌」が生き生きと浮かび上がる。ウーファーとリボントゥイーターをシームレスでつなぎ、リボンの特徴を矯めず支配的になる寸前まで生かした設計の妙である。
ジャズボーカルは得意だそうだが、SACDのクレア・マーティンの声は解像感に富み、カラリとした明るい音色に魅せられる。欲を言えば、もう少し陰影と体温が欲しかった。
最後に、アリス=紗良・オットのショパンワルツ集。MM010Aで聴くワルツ変イ短調には、このうら若い女性ピアニストが青春の真っ只中で一瞬立ち止まったような清々しい憂愁がある。これがこのCDの魅力。MM01Aは、曲の表情に漂う移ろう光を繊細に描き出す。
MM01Aは高感度を重視した設計で能率は90dBもある。一般的な再生環境を考えるともっと低能率で構わないが、高感度なスピーカーは、微小なレベルの信号を拾って音楽を生き生きと再生する。こうした本機のコンセプトがはっきりと聴き取れた。音に夾雑物がなく響きの質の応答がよく、動きの表現がいい。コンパクトだが音楽の情感とニュアンスを雄弁にきめ細かく表現する。感性豊か。一瞬で心を捉える魅力と矜持を持った新進気鋭の演奏家、MM01Aの日本デビューである。(大橋 伸太郎)
【SPEC】
■型式:2ウェイリアバスレフ式エンクロージャー
■使用ユニット:4.5インチコーンウーファー、アルミリボントゥイーター
■音圧:90dB/2.83V/m
■再生周波数:65〜120,000Hz
■インピーダンス:4Ω
■最大入力:75W RMS
■クロスオーバー周波数:10,000Hz
■外形寸法:152W×247H×231Dmm
■質量:4kg
■カラー:ブラック/ホワイト
■価格:
Evidence MM01A/GB(黒):¥84,000 (本体価格¥80,000)(ペア)
Evidence MM01A/GW(白):¥89,250 (本体価格¥85,000)(ペア)
■問合せ先:サエクコマース株式会社
http://www.saec-com.co.jp/product/speaker/mm01a.html
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「ヴェルディ:歌劇《仮面舞踏会》マドリッド王立劇場2008」(オーパスアルテ/OABD7048D)
<不倫>をモチーフにした最も有名なオペラだが、上演機会はさほど多くない。瑞典王暗殺事件にヒントを得た本作は当初、瑞典を舞台に脚本が書かれたが、初演時に検閲問題が持ち上がり米ボストンへ舞台を変えた経緯があり、現在では二種類の版が上演される。そうした輪郭の曖昧さがヴェルディの名作群の中で本作の存在感を弱めていた。もし未見なら2008年9月 マドリッド王立劇場におけるライヴ収録のこのディスクを見るといい。無駄の無い筋の運び、緊迫感と甘美さを併せ持つ音楽を堪能させ、本作の真価が見事に表現されている。第一の功績はアルバレス(T)とウルマーナ(S)の主演コンビ、第二にコボスのキビキビした指揮。日本で「リング」を上演した時期(1987年)から見違えるほど上手くなっている。(大橋 伸太郎)
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「モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》 マドリッド王立劇場2005」(オーパスアルテ/OABD7051D)
マドリッド王立歌劇場の2005年の上演ライヴ。開幕後の騎士長殺害は廃墟の町の荒んだ場末で行なわれる。ファシスト(フランコ)独裁時代のスペインや冷戦が終結して内戦に陥った旧ユーゴのイメージを投影した舞台演出である。ドン・ジョヴァンニは、混乱に乗じて成り上がった特権階級という人物造型である。道徳の規範を超越した存在ドン・ジョヴァンニを、現代演出で神が死んだ時代のトリックスターとして描くと、セコイ話になって概して面白くない。欲望まみれの大衆と、彼等が欲しがるものをちらつかせて籠絡するドン・ジョヴァンニのシニカルな対比で描く本作もその罠に落ちた感がある。歌手陣が強力なら音楽の劇性とパワーで乗り越えられるが、主演のカルロス・アルバレスは美声だが遊び人の商店主の印象。それと女声陣が声楽的にも視覚的にも弱い。(大橋 伸太郎)
Audio A Blu-ray Review
「不滅の恋 ベートーヴェン』“Immortal Beloved”」(COLUMBIA PICTURES(Sony Pictures)20871) *輸入盤
1994年製作(日本公開1995年)のゲイリー・オールドマンがベートーヴェンを演じた作品がハイビジョンディスク化された。日本盤は未発売。監督はバーナード・ローズ、共演はイザベラ・ロッセリーニ他。どうも、アメリカ人はベートーヴェンの映画が好きなようである。オールドマンは化けることが好きな俳優で多分主演を彼自身が買って出たのだろうが、顎の形が違い過ぎてどう見てもベートーヴェンに見えない。題名から窺えるように、ベートーヴェンが宛名のない遺書をしたためた<最愛の女性>を弟子であり親友であった男が探し求める物語。ベートーヴェンの手紙にうかがえる甥カルルへの愛情と執着はよく知られているが、カルルは実はベートーヴェンの実の××で、献呈先が今でも不明の『エリーゼのために』は何と甥のピアノの練習曲として作曲された、というアッと驚く<珍説>に基づく映画。内容は少々下品なのだが、ショルティ指揮の交響曲をサウンドトラックに使いサウンド(ドルビートゥルーHD5.1)は立派である。効果音等のサウンドデザインにハリウッドのバランスエンジニアの丁寧な仕事が伝わる。映像は90年代のコロンビア映画らしい重厚で力強いフィルムトーン。(大橋 伸太郎)
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「ぼくのオーディオ ジコマン開陳 / 田中伊佐資・著」(ブルース・インターアクションズ)
本書は、オーディオに命を掛けた愛すべき93人の男達が登場する、どんなギャグよりもユニークな本である。超弩級のアンプ・スピーカーはもとより、マイ柱上トランスを持っている方、トイレの照明のスイッチすら音に影響するとあってオーディオ専用分電盤を使用する方、自作スピーカー用の木にこだわり八ヶ岳に工房まで作りエンクロージャーから作成している方等、人生オーディオ在りきでこだわり貫いている方々が満載である。しかし、好きだと言う事はこういう事であり、趣味なのだからこれでいいんです。ここでひとつ断っておくが、オーディオというとすぐにクラシックかジャズと思われがちだが、この本に登場する方々は本当に自分の好きな音楽の為にオーディオを追求していて、その音楽はロックやポップスだったりするのだ。だから、オーディオ・ファンを色眼鏡で見て欲しくないのである、唯一寸こだわり過ぎた人達であることを理解して頂きたい。地球上で最高最上の「いい音」を出したいと思う気持ちは、ペットを飼っている人が、自分のペットが一番かわいいと思う気持ちと同じなのである。好きな音楽を好きなシステムで聴くという事が、至福の時間であることを再確認させてくれる本である。次回は、スタイリッシュなシステムの特集も載せて欲しいものである。(上田 和秀)
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