2005年5月 

Popular ALBUM Review
「メイク・ドゥー・ウィズ・ワッチュー・ガット/ソロモン・バーク」
(ソニーミュージック・ジャパン/EICP-497)

 1960〜70年代にかけて数多くのヒットを放った伝説のR&B歌手、ソロモン・バーク。ストーンズが師と仰ぐことでも有名だ、02年のRSツアーではジョイントも。一時はゴスペルの世界に戻っていたが、21世紀にはいってグラミー獲得など再び大きく注目されている。RSのプロデューサーとしてお馴染みドン・ウォズの制作による実に素晴らしいニュー・レコーディング・アルバム。ヴァン・モリソンやドクター・ジョンの書き下ろし作品から、ハンク・ウィリアムスやRSのカバーまで、御大が貫禄の中で見事に歌い上げている。
(Mike Koshitani)

Popular ALBUM Review

「エヴリシングスOK/アル・グリーン」
(東芝EMI/TOCP-67606)
 ブルーノートからの第2弾で約2年ぶり。これがまたいつもながらにいい出来。歌声 も、張りがあって、感心する。ミディアム、アップ、スローとどれをとってもいい、 すべてが素晴らしいってことで、タイトルは「エヴリシングス・OK」。アルバム・タイトル曲もいいし、3曲目の「ビルド・ミー・アップ」なんかも明るい曲 調でのりも最高。アル・グリーンの「シャララ」あたりを思わせる。かと思えば、4 曲目の「パーフェクト・トゥ・ミー」は、かつての傑作「ゴッド・ブレス・アワ・チ ャイルド」を彷彿とさせる。
(吉岡 正晴)


Popular ALBUM Review
「デヴィルズ&ダスト/ブルース・スプリングスティーン」
(ソニーミュージック・ジャパン/SICP782〜3)

 変革のための投票をと訴えて、R.E.M.やジョン・フォガティ等と共に、ブルース・スプリングスティーンは、昨年、米大統領選挙に積極的に関わった。過去、政治運動との関わりを避けてきた人だけに、余程危機感を抱いてのことだろう。結果こそ敗北の形に終わったが、だからこそ耳を傾けずにはおれないような歌が並ぶ。少人数によるアコースティックな演奏に、彼の歌声が切々と響く。こころの中に潜む悪魔との格闘の数々を、彼ならではの誠意と力量でつづっていく。そして、アルバムは深い余韻を残して終わる。
(天辰 保文)

Popular ALBUM Review
「サッキング・イン・ザ・70's/ローリング・ストーンズ」
(東芝EMI/VJCP-68743)

 ストーンズ・ディスク・コレクターの間では注目の一作として知られる。LPリリースは81年で、その後CD化はされたが、この10年余りは市場から消えていた。そんな作品集が新たにCDとして登場である。USシングル「Shattered」のB面ソング「EVERYTHING IS TURNING TO GOLD」、USプロモ・ヴァージョンの「HOT STUFF」、エディット・ショート・ヴァージョンの「TIME WAITS FOR NO ONE」「MANNISH BOY」(ライヴ)「CRAZY MAMA」、プロモ・エディット・ショート・ヴァージョンの「FOOL TO CRY」「BEAST OF BURDEN」、ライヴ・ヴァージョンとしてこのアルバムで初登場した「WHEN THE WHIPS COMES DOWN」、「Dance(Pt.1)」のUSプロモ12インチ・ヴァージョン「IF I WAS A DANCER(Dance Pt.2)」(歌詞が全く違うということでタイトルも異なる)ほかが収録。マニアックなアルバムである。
(Mike Koshitani)

Popular ALBUM Review

「ナウ・ホワット/リサ・マリー・プレスリー」
(東芝EMI/TOCP-66377)
 エルヴィス・プレスリーの娘リサの03年の「リサ・マリー・プレスリー」に続くセカンド・アルバム。やはり素晴らしいシンガーである。個性あふれるスタイルの中で、ロッカーとしての魅力を十二分に発揮している。周りの動きに左右されることなく、自らの音楽を着実に推し進めていく。収録曲のほとんどの作品でも作詞を手がけている。ジョニー・ラモーンへの追悼をこめての「ヒア・トゥデイ」には特に心打たれる。日本でのライヴをぜひ実現させて欲しい。
(Mike Koshitani)


Popular ALBUM Review
「ポップコーン・アンド・ア・ママ・フー・ラヴズ・ミー・トゥー/スワン・ダイブ」
(ビクターエンタテインメント/VICP-63044))

 いや〜このご時世に(どんな世の中や)こういう音楽を聴けるというのはなんとも幸せなことですなあ♪先月分で紹介させてもらったオーウェルに続いて今、個人的なローテーションになってますが、時間がゆっくりと流れて行くような彼らのポップ感覚が何とも心地好くて、もううっとりですわ♪彼らはナッシュヴィル出身の男女デュオで、デビューしてはや10年目。すでに何枚もアルバムを出しておりますが、いつ聴いてもおだやかでさわやかであたたかくて懐かしくてほのかにロマンティックでそして、ナチュラルな魅力で...すっぴんながらも美人、みたいなあれですかねえ。「ユー・アー・マイ・スーパースター」なんか1997年の楽曲「グルーヴィー・チューズデイ」あたりと並んで彼らのエヴァー・グリーンな楽曲になりそうです♪
(上柴 とおる)

Popular ALBUM Review
「LONDON NITE 03−All Time Real Greatest Hits」
(ソニーレコーズ・インターナショナル/MHCP-600)

 MPCJ会員大貫憲章さん監修のオムニバス盤。この選曲、大好きです♪ポップでかつ精神を解放してくれるような疾走感をともなった'かっこいい'楽曲の数々が20曲収録されております。年代も60年代〜70年代〜80年代〜90年代、お国も英米独、そして誰もが知る大ヒット曲やその筋でのみ評判の曲、といった具合に一見何のまとまりもないように見えますが、これはこれでちゃ〜んと一本スジが通ってるんです。全曲さ〜っと聴いてもらったら「なるほどそういうことか♪」と納得していただけると思います(こういうのって文字であれしても伝わりませんね)。大貫さん主宰の老舗ロック系クラブ・イベント「LONDON NITE」が25周年を迎えるに当たっての記念アルバムなんですが、個人的に「フォーゲット・アバウト・ユー/モーターズ」「68ガンズ/アラーム」「クラッシュ/プリミティヴス」「ウェイク・アップ・ブー!/ブー・ラドリーズ」あたりはわが意を得たり、てなもんで。おォ、ホリー&ザ・イタリアンズにオンリー・ワンズも入ってるやん!ミリー・スモールの「マイ・ボーイ・ロリポップ」もあるし♪それにワム!やREO、ELOなんかも入ってるなんて...懐が深いなあ。
(上柴 とおる)

Popular ALBUM Review
「シャル・ウィ・ダンス・ウィズ・ラヴ・シネマ?」
(ユニバーサルミュージック/UICY4198〜9)

 ジャケット・イメージからもお分かりの通り、ハリウッド版映画「シャル・ウィ・ダンス?」の日本公開にあわせて発売されたコンピレーションCD。副題に「ラヴ・シネマで始める社交ダンス」とあるように映画音楽で構成された社交ダンス愛好者向け実用アルバムだ。ロンドン、デッカ、MCA、マーキュリー、フィリップス、ポリドールなど名門レーベルのカタログの中から、サミー・ケイ、トミー・ドーシー、シド・ローレンス、マックス・グレガー、マンドヴァーニ、フランク・チャックスフィールド、ザビア・クガート、エドムンド・ロス、アルフレッド・ハウゼといった名演奏家たちのダンス向き楽曲38曲が収録されている。クイックステップ、スローフォックストロットなどスタイルに準じた曲順になってはいるものの鑑賞用CDとしても十分に楽しめる。
(三塚 博)

Popular ALBUM Review
「ティーチ・ミー・トゥナイト/ニコル・ヘンリー・ウィズ・エディ・ヒギンス・トリオ」
(ヴィーナスレコード/TKCV-35346)

 先日このコンビで来日したライヴを聴き、大いに楽しんだばかりだ。二コルはピアノのエディに見出された新進の黒人歌手。モデルをしていたとかで、彼女は背も高くなかなかの美人。比較的さらっとした唱法で、「恋人よ我に帰れ」「ブルー・スカイ」「エンジェル・アイズ」など有名なスタンダードばかりを歌っている。エディのトリオとのコンビネーションもみごとであり、最近のジャズ・ヴォーカルの佳作としてすすめたいアルバム。
(岩浪 洋三)

Popular ALBUM Review
「SAKURA STAMP/矢野沙織」
(コロムビアミュージックエンタテインメント/COCB53320)

 今年3月に高校を卒業したばかりの若手女性アルト奏者、矢野沙織によるビ・バップ3部作の第3弾。バップの佳曲「ドナ・リー」「ショウナッフ」「ソルト・ピーナッツ」と自作「SAKURA STAMP」「砂とスカーフ」などを交えて演奏しているが、若いだけに成長も早い。今回はニコラス・ペイトン(tp)、エリック・アレキサンダー(as)らアメリカの生きのいい連中と共演し、堂々と渡り合い、元気のいいはつらつとした演奏をみせるし、音も魅力的だ。
(岩浪 洋三)

Popular ALBUM Review
「タイム・フォー・ラブ/モンクス・トリオ?」
(What's New Records/WNCJ-2144)

 このところ女性ピアニストばかりが目立っているが、この小林陽一がひきいるモンクス・トリオでの中堅ピアニスト、吉岡秀晃の力強いグルーヴィーなプレイも見逃せない。「ストライク・アップ・ザ・バンド」ののりのいいパワーの炸裂、自作のブルース「ネロ」のレイジーな味わいなど独自の世界を展開しており、「ウン・ポコ・ロコ」では華麗なテクニックを聴かせてくれる。吉岡は海外でも十分通用する実力者だ。小林のドラムスも多彩だし、ETHAM吉岡(b)は秀晃の息子である。
(岩浪 洋三)

Popular DVD Review
「ジミー・スコット・ストーリー/ジミー・スコット」
(ワーナーミュージック・ジャパン/WPBR-90473)

 これは、2004年2月にアメリカのPBSで放映されたドキュメンタリー・フィルム「If You Only Knew」がDVD化されたもの。本DVDでは、ジミーがホテルの部屋らしいところで独り言を言うように「アローン・トゥギャザー」を歌う映像や、フォトギャラリーなどのボーナスがついている。本編の内容は、彼の名前が一躍明るみに出た99年のTVドキュメンタリー「Why Was I Born」でも描かれていた様に、92年にグラミー賞にノミネートされやっと本来得るべき名声を得るまでの不運続きの半生を彼本人、家族、友人、ミュージッシャンなどへのインタヴューで手際よく綴り、写真や、場面に合わせた歌を歌う彼のステージの姿でつないでゆく。日本公演の時の映像も沢山使われている。ドキュメンタリーなので、歌にインタヴューがかぶさってきたりすることも多く、彼の歌をしっかり聴きたいという向きには不満が残るかもしれない。
(高田 敬三)

Popular DVD Review
「ビクター ビクトリア/ジュリー・アンドリュース(オリジナル・ブロードウェイ・キャスト)」
(デジタルサイト/IEJE-0001)

 日本でも絶大な人気を誇る大女優ジュリー・アンドリュースのミュージカル関連のDVDが相次いで発売。彼女が主演したヒット・ムーヴィーのステージ版『ビクター/ビクトリア』(NHKが衛星で放映した映像と同一)とコンサート『マイ・フェイバリット・ブロードウェイ〜ザ・リーディング・レディーズ』に続き、4月29日にはシリーズ第2弾『マイ・フェイバリット・ブロードウェイ〜ザ・ラヴ・ソングズ〜』もリリースと、彼女の映像作品が3枚揃う。進行役を務める関係で歌わない『ザ・リーディング・レディーズ』の反省からか(?)、『ザ・ラヴ・ソングズ』では、『マイ・フェア・レディ』の場面を再現して、ちょっぴりだが、「スペインの雨」も披露。さらに『キャメロット』で共演したロバート・グーレが彼女に捧げた熱唱もフィーチュアされており、まさに人に歴史ありの感動的なコンサートになっている。次々に登場するスターたちのヴォーカルやダンスも楽しい。
(村岡 裕司)

Popular DVD Review
  「ワッツタックス」
(ワーナー・ホーム・ビデオ/DL-34997)

 1960〜70年代に多くのビッグ・アーティストを抱え、次々に素晴らしいヒット作を放ったメンフィスのソウル・ミュージックの名門レーベル、スタックス所属のルーファス・トーマス、カーラ・トーマス、アイザック・ヘイズ、エディー・フロイド、アルバート・キング、ウィリアム・ベル、ザ・バーケイズ、ステイブル・シンガーズらが72年8月20日にロサンゼルス/メモリアム・コロシアムに終結。感動的なチャリティ・コンサートを行った。10万人のファンがかけつけた。その記録である。中でもピンクの半ズボンでシャウト&ダンスするルーファス・トーマスに大拍手だ!
(Mike Koshitani)

Popular BOOK Review
「スウィート・ソウル・ミュージック リズム・アンド・ブルースと南部の自由への夢/ピーター・ギュラルニック著 新井崇嗣・訳」(シンコーミュージック・エンタテインメント)
 アメリカ音楽に造詣が深く、これまで「エルヴィス登場」「ロックに棲むブルース」「ロバート・ジョンソン 伝説的ブルースマンの生涯」などの名著でも知られるギュラルニックの86年作品。当時からソウル・ミュージック、サザン・ソウルを愛するファンのバイブルになっていた。サム・クック、レイ・チャールズ、ジェイムス・ブラウン、ソロモン・バーク、アレサ・フランクリン、オーティス・レディング、アル・グリーンら偉大なるアーティストの物語。そのほかプロデューサーやソングライターらにも触れている。活躍期間は短かったけど素晴らしい作品を残した、僕の大好きなジェイムス・カーも登場・・。久しぶりにメンフィスやアラバマに行ってみたくなってしまった。
(Mike Koshitani)

Popular BOOK Review
「レコード・CDトリヴィア大百科」
(レコード・コレクターズ増刊)

 レコード/CDのジャケットや邦題、帯(海外のコレクターも日本独自のOBIには注目)、ピクチャー・レコード、最近の紙ジャケ。そしてマトリクス・ナンバーを検証してしまうなど、まさにコレクターの世界が一冊に纏め上げられている。僕自身この世界には足を踏み入れないようにしているけど、このトリヴィア大百科のページを捲りながら、全部ではないんだけどかなりの量のLPのOBIを捨ててしまったことを後悔したり、倉庫に寝かしたままになっているシングル盤を出してこようかなんてことを思う今日この頃だ・・。
(Mike Koshitani)

Classic ALBUM Review

「モーツァルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ集/内田光子(P)、マーク・スタインバーグ(Vn)」
(ユニバーサルミュージック/UCCP-1103)

 かつてモーツァルトのピアノ・ソナタや協奏曲で数多くの名盤を残したモーツァルト演奏の第一人者、内田光子が、マーク・スタインバーグと共に録音したモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ集。中期のK.303、K.304、K.377と最後期のK.526を収録。マーク・スタインバーグはブレンターノ弦楽四重奏団の第1ヴァイオリンを務めるほか、ソロや教育活動を行っており、両者はマールボロ音楽祭で出会って以来、共演を重ねています。モーツァルト弾きたる内田の持ち味が集約された演奏で、そのもとで何の不安もなくスタインバーグは全力投入し、自在さを漂わせながら、感興に富んだ味わい深い演奏をしています。この二人による続編も楽しみ!
(横堀 朱美)


Classic ALBUM Review
「フレンチ・コネクション〜パユと室内楽の魅力<レ・ヴァン・フランセ>/パユ(Fl)、メイエ(Cl)、ル・サージュ(P)」(東芝EMI/TOCE-55720)
 ベルリンpoの首席奏者というよりもフルーティストとして世界の頂点に立つエマニュエル・パユは、室内楽でもよき仲間に恵まれ、ポール・メイエ、エリック・ル・サージュと共に主宰するサロン・ド・プロヴァンス音楽祭をはじめ、レ・ヴァン・フランセのメンバーとして、多岐にわたる編成の作品を演奏。当盤には、パユ、ポール、ル・サージュに、ポールの兄で、オーボエのフランソワを加えて、ショスタコーヴィチ、ジョリヴェ、ミヨー、フローラン・シュミット、モーリス・エマニュエルらの室内楽曲を収録。多彩な音楽語法による作品を奏し分ける各人の腕の紗枝もアンサンブルの妙味も素晴らしく聴き応えがあり、かつ楽しみ満載のCD。
(横堀 朱美)

Classic ALBUM Review

「ハイドン:パリ交響曲集/ニコラウス・アーノンクール指揮 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」
(BMGファンハウス/BVCD-34025〜27)

 2004年度の第17回ミュージック・ペンクラブ賞に於いてクラシック、録音・録画作品(外国人アーティスト)「モーツァルト初期交響曲集」で見事グランプリを獲得したアーノンクールが今度はハイドンの「パリ交響曲全曲」に全力を集中、ここでも案に違わぬ素晴らしい演奏を披露している。50歳代後半に作られたザロモン・セットに較べこの50歳代前半のハイドンの作品にはまだまだ若さが漲っており、はち切れんばかりの魅力が備わっている。それをアーノンクールは彼独特のアーティキュレーションとフレージングで見事に表現しており、殆どのリピートを忠実に再現させているにも拘わらずくどさは全く感じさせない。例によって彼自身が書いたライナーノーツも曲を良く研究した彼らしい致筆でまことに秀逸である。(廣兼 正明)

 ハイドンの「パリ交響曲」(全6曲)は、名高いわりにそれほどよく聴かれているわけではない。「教科書みたいでおもしろくない」といった声もありそうだが、このCDは断然ちがう。アーノンクールの挑戦は、ハイドン中期の傑作に鋭い視線をあて、その意味を問い直し、テンポの変化やリズム、音色を巧みに対比させながら、独自のドラマティックな響きを生み出している。半世紀にわたって鍛え上げた手兵の古楽器オーケストラが、高度な職人芸で雄弁に語りかける。(青澤 唯夫)


Classic ALBUM Review
バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)/鈴木秀美(チェロ)」
(BMGファンハウス/BVCD-34028〜29)
 演奏している鈴木秀美は古典楽器の代表的なアンサンブル、ブリュッヘンが主宰する「18世紀オーケストラ」やクイケンが率いる「ラ・プティット・バンド」、それに日本の「バッハ・コレギウム・ジャパン」で活躍した我が国を代表する世界的バロック・チェロ奏者である。資料に依ると16世紀後半、バッハが生まれる100年以上前に作られたアマティの楽器を使用しているが、使われているガット弦がバッハの音楽にまことに良く調和した音を醸し出している。鈴木の音楽はバッハの時代にタイムスリツプしたかのような厳粛な印象を与えてくれる。数あるバッハの無伴奏チェロ組曲のCDの中でも内容の濃い出色の出来となっている。鈴木自身10年振り2度目の録音である。
(廣兼 正明)

Classic ALBUM Review
「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集[5]月光・葬送・幻想/仲道郁代(ピアノ)」
(BMGファンハウス/BVCC-34103)

 作曲家・諸井誠氏監修による11枚から成る仲道郁代のベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集の今回はその5枚目のリリースである。これは彩の国さいたま芸術劇場での連続演奏会に並行する形でレコーディングが行われている。今回の内容は第12番「葬送」、第13番「幻想」、第14番「月光」の30歳になったばかりの初期に作曲した3つのソナタ、そして例の「傑作の森」時代に作られた「《アテネの廃墟》からの(トルコ行進曲)の主題による6つの変奏曲」の4曲である。収録されている各曲とも仲道らしい美しくしっかりとしたタッチで見事にベートーヴェンを構築しているところは流石である。
(廣兼 正明)

Classic ALBUM Review
「ラ・フラム・ド・ショパン/J・E・バヴゼ(ピアノ)」
(オクタヴィア・レコード/OVCT-00023)

 「ソナタ第3番」「ノクターン」「幻想ポロネーズ」「子守歌」などを収録した1962年生まれのフランスの注目株バヴゼのショパン・アルバム。粒立ちがよい、鮮度の高い美しい音で、ショパンの旋律をくっきりと描き出す。ポロネーズのリズムにフランスの名手たちの伝統が生きている。才気や小手先芸に走らず、譜読みも確かだし、構成力もある。ハイブリッド・ディスクだが、SACDマルチ・チャンネルで聴くとリアリティが増す。
(青澤 唯夫)

Classic ALBUM Review
「デュカス:魔法使いの弟子/オブロー・クラリネット・アンサンブル」
(佼成出版社/KOCD-2514)

 1875年に編成された、日本で初めてのプロのクラリネットの8重奏団による演奏。小さなE♭クラリネットから、大きなコントラバス・クラリネットまでの6オクターブのダイナミックレンジをもつみごとなアンサンブルである。大編成の曲を8本の楽器で表現する、超絶技巧の持ち主達によるすごい演奏が楽しめる。オブローとはフランス語で「小さな鷹」を意味する言葉だが、大空にはばたくようにクラシックからポピュラーまで幅広い音楽を表わしている。
(斎藤 好司)

Classic ALBUM Review
「伊福部昭の芸術(8)特別篇 卒寿を祝うバースデイ・コンサート 完全ライヴ」
(キングレコード/KICC469〜470)

 日本の交響楽史と映画音楽史の礎となり、両史に金字塔を打ち立てた作曲家・伊福部昭氏が2004年5月31日に満90歳の誕生日を迎えた。その日開かれた演奏会がMPC賞クラシック部門<最優秀コンサート・パフォーマンス賞(日本人アーティスト)>に輝いた。1935年の最初の交響作品から最近の作品まで披露された。その記念盤である。「ゴジラ」など氏の面目躍如たるところである。日本フィルハーモニー交響楽団の生き生きとした演奏も良かった。
(斎藤 好司)

Classic CONCERT Review
「ザグレブ弦楽四重奏団&ザラフィアンツ(Piano)演奏会」 
4/13 オリンピック記念青少年総合センター小ホール

 久しぶりに素晴らしいクヮルテットに出会ったと言っても良い演奏会だった。80年以上前に創立されたクロアチアの代表的クヮルテットはメンバーが替われどその真髄を伝承してきたに違いない。彼等は初来日なのだが、希有の音楽性と技術力を我々の前に披露してくれた。今回は愛知万博に国を代表してやって来たが東京ではこの日が唯一の演奏会との事だった。殆どのファンが知らないうちに演奏会が行われたが、これを聴いた運の良い人たちは幸せだった。曲はシューベルトの「ロザムンデ」で始まり、ドヴォルザークの「アメリカ」を間に挟んで最後がシューマンの「ピアノ五重奏曲」というサービス・プログラム、特に真ん中の「アメリカ」でこのグループは真骨頂を発揮した。第1級の室内楽奏者である第1ヴァイオリンのコンチャールを核とした見事なアンサンブルは小国クロアチアの奏者たちが世界でも可成り高い位置を占めていることを如実に物語っている。次回改めての来日を期待したい。(廣兼 正明)

Audio WHAT'S NEW
     「リン ARTIKULAT 350A」(\4,800,000/ペア/税込み)
(取り扱い:リンジャパン http://www.linn.jp/

 フラグシップスピーカーのKOMRIから基本思想を受け継いだ高級スピーカーの新シリーズがリンから登場する。KOMRIは低域のみアクティブ駆動だが、今回は全帯域を内蔵アンプで駆動するフル・アクティブタイプの製品が用意される。昨年製品化された「KRIMAX CHAKRA TWIN」の技術をアンプに盛り込むことで、限界を感じさせないスケール豊かなサウンドを獲得した。ブックシェルフ型やセンタースピーカーも順次導入され、同一ユニット構成のパッシブモデルも登場する。
(山之内 正)

Audio WHAT'S NEW
デノン AVC-A11XV」(\420,000/税抜き)
(デノン http://denon.jp/

 昨年秋に登場したデノンのAVC-A1XVは、クオリティと機能の両面で最高峰を目指したAVアンプだが、市場でははやくもベンチマークとして不動の地位を確立している。そのエッセンスを盛り込み、より身近な価格で製品化したのが本機である。アナログ動作時のアンプとしての基本性能の高さに加えて、最新DSPを利用するデジタル入力の音の良さに特に注目したい。HDMIをはじめ、最新のデジタルインターフェースを揃えている。
(山之内 正)

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