90年初頭、ローリング・ストーンズ初来日が翌月に迫り、スポンサーだったポカリスエットのCMでは彼らが演奏する「ロック・アンド・ア・ハード・プレイス」の映像がヘビー・ローテーションされていた。当時中学一年生だった私は、その曲が収録されていたという事もあり前年に発表された『スティール・ホイールズ』を購入した。これが私にとって初めて購入した彼らのアルバムだった。
収録曲はどれも粒ぞろいで小気味よく、当時私が彼らに対して抱いていた‘ストレートなロック・バンド’という(あまりにも貧弱な)パブリック・イメージを裏切らない期待通りのアルバムだった。特によく聴いたのは「ミックスト・エモーションズ」や「テリファイング」。今では「オールモスト・ヒア・ユー・サイ」や「スリッピング・アウェイ」(キースのヴォーカルには、なんと味があること!)なんかが胸にグッと来る歳になった。
残念ながら初来日公演には行けなかったのだが(テレビ中継で観た)、続いて3枚組BOXセット『Singles Collection: The London Years』を手に入れ60年代のストーンズ黄金時代を聴きまくり、それとほぼ同時に、メンバー自身がヒストリーを語るビデオ・ドキュメンタリー作品『25×5: Rolling 63-89』(名作!再発されないのだろうか?)と、CBSソニー出版より発行されていた越谷政義さんの著書「ローリング・ストーンズ大百科」も購入。特にこの本に関しては、多感な時期に一字一句読み落とすまいと真剣に読んだので今でも内容をほぼ覚えている。「大百科」を片手に次々とアルバムを購入していき、全て揃えるまでにもそう時間はかからなかった。今思えばストーンズにどっぷりと浸かった中学生時代を過ごした。