イタリアのナポリから戦争花嫁として、アメリカ人のバド(石川禅)に嫁いだフランチェスカ(涼風真世)は、アイオワ州マディソン郡の平凡な農家の主婦となり、マイケル(石川新太)とキャロライン(島田彩)の母として、精一杯尽くしながらも、どこか孤独な日々を送っていた。このフランチェスカの十数年のつつましい結婚生活は、ジェイソン・ロバート・ブラウン作曲のメロディ“To Build a Home”にのって、涼風フランチェスカの美しい歌声で紡がれ、一気に観客を舞台に引き込んでいく。
この甘美なラブ・ロマンスを紡ぐ楽曲は、ブロードウェイ・デビュー作「パレード」(1998)でトニー賞を受賞した、ジェイソン・ロバート・ブラウン。この作品で再びトニー賞の栄誉に輝いているだけに、ポップス、バラードあり、又、カントリー調と多彩で、いずれの曲も心に響く佳曲揃いだが、何といっても、フランチェスカが冒頭で故郷ナポリを想って歌う“To Build a Home”と、別れがたい二人の愛のデュエット“Before and After You”/“One Second And A Million Miles”が心に残る。