2018年4月 

  

Popular ALBUM Review


「野力奏一/ピアノ・ソロ」(Noriki Music:NMSC1001)
 人気ピアニスト、野力奏一の最新作で、初のピアノ・ソロ作品。ピアノ一台でこんなに表現できるなんて驚く。透き通ったピアノ音から奏でられるサウンドが瑞々しい。キラキラ と美しい光を放つように倍音が広がるピアノに心が躍る。野力は、楽曲を深いレベルで理解し演奏し、豊かなソウルも持っている。無駄のない語るべきストーリーが込められた即興演奏に感動する。選曲もセンスがいい。前半はマイルス・デイヴィスにちなんだ7曲を選び、渡辺貞夫の曲を挟んで、後半は野力の珠玉のオリジナル4曲と続く。映画『キッチン』(原作:吉本ばなな、監督:森田芳光、音楽:野力奏一)の主題歌が、特に素敵である。冒頭から美しいピアノの響きに魅了される。ケイコ・リーも、英語詞をつけて、最新作『Timeless』の中で歌っている。聴き比べすると楽しいだろう。調律は、日本を代表する宮崎剛史が担当した。素晴らしい調律は、手練れの仕事だ。すべてのピアノ・ファンにお薦めしたい。(高木信哉)


Popular ALBUM Review


「トライ・トウ・リメンバー/ペトラ・ヴァン・ナウス&アンディ・ブラウン」(ミューザック 【fab】MZCF-1367)
  ペトラ・ヴァン・ナウスは、シカゴで活躍するジャズ・シンガー。父親は、オランダからの移民のクラシックのピアニストで、アン・バートンと同じ日に生まれ、同じ日に亡くなったという。そんな関係もあって彼女は、アン・バートンを身近に感じているようだ。本アルバムは、前作の2011年発表の「いつも二人で」と同じく夫君のギターのアンディ・ブラウンとのデユオによる2作目。歌うには、技術だけではなく、歌に対する哲学、心の持ち方が大切だと言うことをアン・バートン等多くの先輩から直接的、間接的に教わった来たといっている彼女がグレート・アメリカン・ソングブックの中から聞きなれたナンバーを優しい声の素晴らしい表現力で歌っている。「レッスンズ・リリカル」という原題は、そんなところから来ている。旦那のアンディのギターも控え目ながら聞き物だ。YOUTUBEに上がっている彼の「ウイスキー・ラウンジ」でのソロ・コンサートの視聴回数は、昨日現在なんと162万回を上まわっていて可成りの部分が日本からのアクセスだというから日本には 彼の隠れファンが多いのだろう。(高田敬三)


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