2017年9月 

  

Popular ALBUM Review


Katie Thiroux OFF BEAT (Capri Records 74145-2)
 ダブル・ベースを弾きながら歌う女性歌手は、ニッキ・パロット、ケート・デヴィス等何人かいるが、又、新星が現れた。ケイティ・サーロウは、2015年のセロニアス・モンク・ジャズ・コンペティションでセミ・ファイナリストまで行き、同年、初アルバム「Introducing Katie Thiroux」を発表して注目されたアーティスト。4歳からヴァイオリンを習い、8歳でベースを始め、バークレー音楽院を経てカリフォルニア州立大学で学位を取った才媛だ。第二作目となる本アルバムは、ドラマーのジェフ・ハミルトンのプロデュースで、ケン・ぺプロウスキーがクラリネットとテナーで5曲に参加している。ジューン・クリスティの歌で知られるタイトル曲「Off Beat」は、ケンとソプラノ・サックスのロジャー・ニューマンが参加、ケントン風のジャジーな雰囲気満開。スキャットを交えスインギーに歌う「Rayユs Idea」そして「Some Cats Know」等、師匠のレイ・ブラウン関連の曲も聴きもの、最後の「Willow Weep For Me」は、自らのベースだけで歌っている。自作の「Slow Dance With Me」を含めグルーヴィーなピアノのジャスティン・カウフリンとのトリオの3曲もあり、インストと歌のトラック上手く組み合わせ、レイ・ブラウン譲りのダイナミックなベース・ソロもそこここで聞かせる。甘さを抑えたジャズ・ヴォーカル・アルバムになっている。(高田敬三)


Popular CONCERT Review


「RYO KAWASAKI & LEVEL 8」 (6月30日・コットンクラブ丸の内)
 RYO KAWASAKI&LEVEL8を来日公演初日の1st セットで聞いた。川崎燎はジャズ・バレーの音楽監督を委嘱されたのをきっかけに、30年以上活動拠点にしてきたニューヨークから東ヨーロッパのタリン(エストニア)に軸足を移した。そして今年、自身の音楽に共鳴してくれた地元のミュージシャンたちと5年ぶりの新作「LEVEL8」を発表した。今回の公演はそのレコーディング・メンバー、Raun Juurikas (key)  Kaarel Liiv (b)  Eno Kollom (ds)の3人を引き連れてのステージとなった。ジョアン・ブラッキーンのHAITI-Bがオープニング曲。スピード感のあるギター奏法は彼の真骨頂と言っていいだろう。「MORNINGLIGHT」「SOMETIME」「LEVEL8」・・・、70年代から今日までのオリジナル曲、アグレッシヴなナンバーからメロディアスなナンバーまで作曲家川崎燎の表情を色濃く反映したステージとなった。3本のギターを持ち替えながらの余裕のパフォーマンスはニューヨーク時代とは一味違った風格を感じさせた。(三塚博)


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