2014年9月 

  

Popular ALBUM Review


「エッセンシャル・コレクション/ヘレン・シャピロ」(ワーナーミュージック・ジャパン:WPCR-15853)
 もう弘田三枝子との競作だけで語るのはやめましょう。日本編集で全26曲(しかも税抜1300 円)。日本でこういった形できちんとしたベスト盤がリリースされるのは初めてかと。10代半ば〜後半にかけての少女時代の音源集なれど「えっこれが10代!?」と驚きの連続、間違いなし。30代のベテラン歌手のような存在感。これを機にもっともっと高く評価されるべき。しっかりとしたバックのサウンドを伴ってめちゃくちゃにカッコいい♪リアルタイムではない若いポップス・ファンの心を捉えることも間違いなし。今にしてみれば選曲も結構マニアックで(R&Bも)興味深々。有名な「フィーヴァー」やドリス・デイが自ら歌った主演映画の主題歌で英国女性歌手の定番曲でもある「ムーヴ・オーヴァー・ダーリン」など全部聴きもの♪(上柴とおる)


Popular ALBUM Review


「ヴォリューム・ロンリー / トニ・リー・スコット」(MUZAK: MZCS1292)
 トニ・リー・スコットというジャズ・シンガーは、日本では殆ど知られていない。1950年代の末にデビューするが、19歳の時、オートバイの事故で左足を失ってしまい波乱に満ちた半生を送った歌手だ。その辺りは、彼女の自伝「A Kind Of Loving」に詳しい。「ヴォリューム・ロンリー」は、1963年に吹き込まれた彼女の初リーダー・アルバムだった。ジェラルド・ウィギンス(p)ハワード・ロバーツ(g)レッド・カレンダー(b)など素晴らしい伴奏陣にサポートされて歌う、少し陰りのある彼女の歌は人間の寂しさを感じさせ、日本の演歌の世界に通じるものさえ感じさせる。ロックの時代になって仕事が少なくなっても歌い続け、90年代に2作目も発表、今もサンフランシスコで健在だ。女優のアイダ・ルピノと手足を失った人々を助ける爲の基金を立ち上げた話は、TVの「This Is Your Life」で取り上げられ、今もYoutubeで見ることが出来る。彼女は、俳優のジェームス・ディーンとは兄妹のように仲良しだった。若い頃、もっとレコーディングを残して欲しかった歌手だ。(高田 敬三)


Popular CONCERT Review






「ニコール・ヘンリー」丸の内コットン・クラブ8月5日 ファースト・ステージ
 今回が13回目の来日公演だというニコール・ヘンリー、2004年のデビューだから10周年という事になる。会場の一般席は、満席で彼女の人気の程を示していた。「Definitively Diva!」とタイトルされたライヴで先輩のDiva達への敬意を表するプログラム。トム・マコーミック(ts)ピーター・ウォレス(p)エリック・イングランド(b)マイク・ピオレ(ds)のカルテットによる前奏の後、深紅のワンピースでステージに現れた彼女は、エラ・フィッツジェラルドに捧げる「Johnny One Note」を快調に歌う、「Something Happens To Me」に続き、ダイナ・ワシントンへの「Love For Sale」「Teach Me Tonight」サラ・ヴォーンへの「Misty」ピンク・パンサーからの「It Had Better Be Tonight」等必ずしも其々のディーヴァの代表的当たり曲を歌うのではなく、彼女たちが歌ったナンバーをニコール流にソウルフルに歌い上げる。アンコールも含めて11曲を歌ったが、説明がなければそういうプログラムだとは、気が付かないだろう。アンコールは、シャーリー・バッシーへの「This Is My Life」をドラマティックに歌い上げた。適度にジャズで、適度にポップな彼女のソウルフルな歌は、多くのファンを掴んでいる。スタイルも良くステージ映えのする彼女はまだまだ人気が出そうだ。(高田 敬三)

写真提供:COTTON CLUB
撮影:米田泰久


Popular INFORMATION


「マライア・キャリー Japan Tour 2014」
 1990年鮮烈のデビュー以来、数々のヒット曲で世界中を魅了する歌姫マライア・キャリーの8年振りとなる2回限りのジャパン・ツアーが決定した。しかも、日本のファンは何と幸運なことか、このジャパン・ツアーからワールド・ツアーが幕開けする。ベスト・コンディションでのライヴになることは、間違いないだろう。7オクターブの音域を誇るマライアの圧倒的な歌唱を是非とも体感して欲しい。18曲のNo.1ヒットに加え、隠れた名曲も数多いマライアのセットリストと圧倒的なパフォーマンスを想像するだけで、楽しみが膨らむ。(UK)

* 10月4日 幕張メッセ国際展示場7・8ホール
* 10月6日 横浜アリーナ
お問い合せ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999
http://udo.jp/


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