「ドリームス/ニール・ダイアモンド」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP-3479)
「ニール・ダイアモンドのすべて/ニール・ダイアモンド」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP-3432)
今までに1億2500万枚を売り上げているアメリカの国民的大スター、ニール・ダイアモンドは近作が紹介されないまま久しいが、最新作が『ドリームス』が日本でも紹介された。日頃愛唱してきたロック時代の名曲を、自分のスタジオでギターの弾き語りなどで歌ってきたものに手を加えて1枚にまとめている。ここには渋い男の哀愁や孤独感などがにじみだしている。ギルバート・オサリヴァンの「アローン・アゲイン」のつきつめた淋しさ、「ソング・フォー・ユー」の深みのある好唱、「イエスタデイ」も説得力がある。
『ニール・ダイアモンドのすべて』は、バング、ユニ、キャピトル、コロムビアと、66年の初ヒット「ソリタリー・マン」から08年までの名唱が網羅されている。1枚にまとめられたのは初めてだろう。「スイート・キャロライン」はじめ、ざらついた声で、全盛期の男らしい独特の覇気のある演唱と親しみやすい好メロディーを持ったヒット曲の弾む魅力は抜群。また71年にコロムビアに移籍して大人の風格を持った佳曲も聴きごたえがある。特に映画『ジャズ・シンガー』からの哀切のバラード「ラヴ・オン・ザ・ロック」などは、じーんと胸が熱くなる。日本では未発表の初登場第1位アルバムからの「スイート・アメイジング・グレイス」のしみじみとした美しさもすばらしい。(鈴木 道子)
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