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2011年9月 

 
Popular ALBUM Review

CD+DVD

CD+Blu-ray

「ライヴ2/デヴィッド・フォスター&フレンズ」(ワーナーミュージック・ジャパン/WPZR-30391〜92:CD+DVD  WPZR-30393〜94:CD+Blu-ray)
 これぞエンターテイメントというのが、『デヴィッド・フォスター&フレンズ』のラスヴェガス・ショウじゃないだろうか。日本にも昨年に続いてこ10月にやってくる。フォスターはピアノを弾き、エピソードを語り、豪華なスターたちを紹介しながら、ショウを巧みに進行させていく。基本的にはCDよりも映像を観て楽しむものだろう。出だしはアメリカン懐メロといった感じで、往年のスターたちが歌うかつてのヒット曲集だが、半ば以降が面白い。マイケル・ボルトンとシールによる「男が女を愛する時」「マンズ・マンズ・ワールド」は白熱のデュオとなり、当夜の白眉。10歳のジャッキー・エヴァンコの天使の歌声もすばらしい聴きもの。ネヨもマイケル・ジャクソンに続く世代のアーティストとしてかっこいい。トリをとったのがナタリーでもチャカでもないドナ・サマーだったのはうなづける。さらに堂々となり歌唱も充実していて、シールとの「オン・ザ・レイディ」は華やかに楽しませる。(鈴木 道子)

Popular ALBUM Review



「アイム・バック!/スライ・ストーン」(ユニバーサルミュージック/UICE-1182)
 40数年前にブラック・ロックという大きなムーヴメントを確立したスライ&ザ・ファミリー・ストーン、そのスライ・ストーンの新作!S&FS時代の代表作「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」「エヴリディ・ピープル」「スタンド!」「サンキュー」「アイ・ウィント・トゥ・テイク・ザ・ハイアー」「ホット・ファン・イン・ザ・サマー・タイム」・・・といったナンバーをセルフ・リメイク。そこにレイ・マンザレイク、アン・ウィルソン、カーマイン・アピス、アーニー・ワッツ、ジョニー・ウィンター、ジェフ・ベック、ブーツィ—・コリンズら錚々たる凄腕ミュージシャンが参加しているのだ。たまらなくファンクしている、このグルーヴに体中がしびれる。今作をステップに次はスライのニュー・レコーディング・アルバムを期待したい。(Mike Koshitani)


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「BACK PAGES/AMERICA」(EONE/MUSIC-2137)*輸入盤
 ジェリー・ベックリー&デューイ・バネル。'万年青年'の二人がちょっと甘酸っぱさ♪も感じさせてくれる実に素敵な新譜をリリース。このタイトルがあれするように往年の名曲の数々を彼らなりに。意図的なシャレなのか? オープニングが「アメリカ」(S&Gの!)で「ウッドストック」「キャロライン・ノー」「二人のシーズン」(これは意外なれど二人はイキイキと♪)そして個人的には一番ハマリの「オン・ザ・ウェイ・ホーム」(もちのろんバッファロ〜でっせ!)。。。彼らと同世代な当方はもうシヤワセ〜♪な気分を満喫。しかし単なるオッサンの懐古趣味には終わってないところがさすが。実は若い世代の作品も取り上げてるのがミソ。その選曲の良さ、センスが若々しさを保つ秘訣かと。彼らには「皇潤」要りません。(上柴 とおる)


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「オールド・マジック/ニック・ロウ」(MSI/MSIG 0744)
 8月に東京〜大阪で素晴らしいショウを行ったニック・ロウの目下最新作。かつてはロンドン・パンク・シーンの導火線となった彼も今や「味わい深さ」の筆頭となった感すらあるが、本作『オールド・マジック』はカントリー・フレーヴァー溢れた近作の延長線にあるも、カヴァーのイメージにある通りエヴァーグリーンなポップ感覚がより前面に出た痛快作に仕上がっている。バックを務めるのはゲラント・ワトキンスら来日メンバーと同じ腕利きのプレイヤー達で、その響きはひたすらナチュラル。かつての良き相棒エルヴィス・コステロのカヴァーも含む全11曲の本作、ジョニー・キャッシュと思いきや、いつしかロッド・スチュワート以上に“スタンダード・ナンバーの似合う”シンガーになってしまったニック・ロウ。渋いが決して枯れてはいない、静かな躍動感溢れる本作は正に逸品だ。(犬伏 功)

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「ルッキング・フォー・ア・ファイト/スウィートバック・シスターズ」(BSMF RECORDS/BSMF-6008)
 ニック・ロウのショウを見て、なんとなくロカビリー気分だったところにナイスなニュー・アルバムが。ブルックリン出身の男女混成6人組、スウィートバック・シスターズによる最新作『ルッキング・フォー・ファイト』 だ。07年デビューだからもう5年のキャリアだが作品が日本で配給されるのはこれが初めてらしい。2人のシンガー、エミリー・ミラーとザラ・ボートを中心にフィドル、スティール・ギター、バンジョーと完璧なカントリー・アンサンブルだが、時折見せるロカビリー・フレーヴァーが実に心地よく、どこか懐かしさ漂う楽しいアルバムに仕上がっている。(犬伏 功)

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「カーズ/クリス・デルムホルスト」(BSMF RECORDS/BSMF-6009)
 これおもしろい♪全11曲、ぜ〜んぶあのリック・オケイセック率いるカーズ(Cars)の楽曲のカヴァー♪何でまたそんな(場合によってはキワモノ扱いされそうな)あれをというのは置いといてまぁ聴いてみて!1998年に1stアルバムを出したクリスは現在ボストンを拠点にフォーク・シンガーとして活動中(生まれはN.Y.)でエレクトロ・ポップ+ニュー・ウェイヴ風なカーズの楽曲の数々もオルタナティブなフォーク・スタイルでたっぷり楽しめる(カーズのヒット曲ぐらいはちゃんと知ってることが前提!)。「ユー・マイト・シンク」も「シェイク・イット・アップ」も「燃える欲望」もほれこの通り♪やっぱりカーズの曲って'楽しい'んやなぁと改めて。フォリナーならこうはいかんなと。(上柴 とおる)

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「グレイテス・ヒッツ〜デラックス・エディション/モトリー・クルー」(ユニバーサルミュージック/UICE-9090)
 早いもので、今年でモトリー・クルー結成30周年。1980年代の活躍ぶりはとにかく凄かった。その後、一時活動停止もあったが、2004年にオリジナル・メンバーで再始動。06年にアリ—ナ・ツアー、そしてこの秋にはZepp Nagoya/Zepp Osaka/Zepp Tokyoでのクラブ・ツアーが決定した。これを機にしての来日記念盤ともいえるグレイテス・ヒッツ。CDには19曲が網羅、そしてDVDにはファンの間で大きな話題となった≪クル—・フェス2008≫の模様が収められている。(町井 ハジメ)

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「ダンスマニア・スパークル〜ベスト・オブ・90'sダンス・ポップ〜/VA」
(EMIミュージック・ジャパン/TOCP-64399 )
 
90年代のダンスポップ・ブームを象徴するダンスマニアが15周年記念アルバムを発売した。ダンスマニア・シリーズお馴染みのヒット曲「ドゥビ・ドゥビ」「バタフライ」「サンバ・デ・ジャネイロ」などに加え、今回は他のレコード会社の協力を得て「スキャットマン」「5,6,7,8,」「サニー・ホリデー」「ココ・ジャンボ」「セックス・オン・ザ・ビーチ」「S.O.S.」「ファイヤー」など90'sを代表するダンスポップ・アンセム25曲をノンストップ・メガミックスで収録。当時成し得なかった“最強最高のダンスマニア”が実現した!(松本 みつぐ)

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「40イヤーズ - ザ・コンプリート・シングルス・コレクション(1966-2006)/トミー・ジェイムス・アンド・ザ・ションデルズ」(クリンク/CRCD-3276〜77)
 アメリカでは3年前に出ていた極めつけの2枚組シングル曲集がついに国内盤仕様で登場♪「ハンキー・パンキー」「クリムゾン&クローバー」の全米No.1ヒットに加えて多くのカバーを生み出した「君と僕の世界」「モニー・モニー」など1960年代後期の米チャートを席巻したションデルズ+1970年に解散後のトミー・ジェイムスのソロ・キャリアまでを網羅した全48曲は圧巻! 実のところ1970年代後期〜1980年代初期にかけて、そして1990年代前期、また2000年代に入ってからの楽曲にも聴きものが結構あって(1977年の「Love Is Gonna Find A Way」はAORの知られざる名曲と声を大にして♪)新たな発見も多いはず。詳しくはレアなジャケット写真も満載の10000字を超える解説書(すみません私です)を是非!64歳のトミーは今も衰えない歌唱で現役バリバリ♪(上柴 とおる)

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「フロム・カリフォルニア・ウイズ・ラヴ/VA」(SSJ/XQAM1803)
 東日本大震災を報に接して、何度か来日した歌手、ダイアン・ハブカの発案でSSJレーベルに関連した歌手が集まって作ったチャリティ・アルバムは、新録または未発表録音による豪華な内容だ。アラン・ブロードベント(p)とデュオで歌うスウ・レイニーから始まり、サム・モストをバックに歌うジョニー・ホリデイ、そしてティア二ー・サットン、フランキー・ランドール、ピンキー・ウィンタ—ズ等10人の歌手の歌と「上を向いて歩こう」をソロ・ピアノで聞かせるクリスチャン・ジェイコブ、「Sweet & Lovely」のアラン・ブロードベント、ビートルズの「We Can Work It Out」を弾くジム・コックスのピアノ・ソロも入る。クリス・コナーの元マネジャーから特別に提供されたコナーの未発表曲も入っている。売上金は、全て義援金として被災地に寄付される限定盤。(高田 敬三)

Popular ALBUM Review


「ロスト・アンド・ファウンド/グレッチェン・パーラト」(ヤマハミュージックアンドビジュアルズ/YMCJ-10011)
 グレッチェン・パーラトは今最も注目されている若手ジャズ・ヴォーカリストの一人。ロサンゼルス生まれでNYで活躍中。ベース奏者を父に持ち、UCLAでジャズの学位をとり、セロニアス・モンク・インスティテュート・オブ・ジャズでは初めてのジャズ歌手として更に学ぶ。そして04年、モンクの登竜門のコンペティションでヴォーカル部門優勝。翌年CDデビューを果たした。これは第3作。ロバート・グラスパー初めいずれも30代の若いミュージシャンとのセッションで、ちょっとハスキーがかった詩情ある歌唱は、モダンで洗練されていて快く魅せられる。バックにはジャズ、ヒップホップ 、ソウル、ロック、ブラジリアン等がある。オリジナルが中心だが、ショーターの「ジュジュ」も新鮮。マイルスの「ブルー・イン・グリーン」、ローリン・ヒルの「オール・ザット・アイ・キャン・セイ」等もいい。(鈴木 道子)

Popular ALBUM Review


「A Dedication To Jazz Giants /MASARU UCHIBORI BIG BAND」(Musac Music/ MM-2004)
 内堀勝ビッグ・バンドのニューCDは、「サテン・ドール」「ラウンド・ミドナイト」「ラバー・マン」「セントルイス・ブルース」「A列車で行こう」等、ジャズの巨匠たちの不滅の作品に焦点を当てた企画。内堀の歯切れの良い編曲・指揮で全11曲、4月に青山のビクター・スタジオで収録、5月にロサンゼルスのアンブレラ・メディア・スタジオでミキシングとマスタリングが行われた。参加ミュージシャンは菅野浩 (サックス)、佐久間勲 (トランペット)、滝本尚史 (トロンボーン)、伊賀拓郎 (ピアノ)、芹澤薫樹 (ベース)、稲垣貴庸 (ドラムス)、他11名。ハイ・クォリティのビッグ・バンド・サウンドが楽しめる。(川上 博)

Popular ALBUM Review

「MAMO featuring Nathan Aweau & Jeff Peterson」(ALOHA SOUND/ALOC020)*輸入盤
 
ハワイ音楽シーンにおいて、いまもっとも油の乗っているアーティストによる新ユニットMAMOのデビュー作。ネイサン・アウェアウ(vo,b,perc.)とジェフ・ピーターソン(g)によるデュオ・アルバムだ。日本でも人気の高いHAPAが解散になり、ネイサンにとっては新たな相手となったのがジェフ・ピーターソン。スラックキー・ギターの名手として、またプロデューサーとして近年めきめき頭角を現した。ネイサンの歌唱はHAPA時代よりはジャズやソウルの影響が色濃く反映され、のびのびと歌っているところが注目だ。ジェフは3曲のインストゥルメンタル・ナンバーでスラックキー・ギターを聞かせ、歌のバックではジャズやボサノバなど変幻自在なフレイバーをかもし出す。ハワイ音楽の愛好家にとっては定番のナンバーを時には大胆とも思える解釈を加えて聴かせるが、そこにはいつもさわやかな時の流れを感じさせる音世界が広がっている。(三塚 博)

Popular ALBUM Review

「朝起きたら・・・/小林万里子」(BSMF RECORDS/SBR-101)
 桑田佳祐や井上陽水もファンだという関西を中心に活動する才気(狂気?)あふれる天才ブルース・シンガーが何と30年ぶりに新作をリリース!内容が過激過ぎて店頭からほどなく姿を消してしまった1st のCD復刻を企画させてもらった身としては誠に感慨深く。。。表題曲など十八番の歌の再演と8分24秒にも及ぶ大作「OH!ジャパニーズ」(洋式便所は嫌い、和式便所でいいじゃないかと)や「ブツブツとハゲのブルース」(漫才のブラック・マヨネーズを題材に)といった新曲で構成された今回のアルバムは歌詞ものびのび、思う存分'解放'されているように思えるけどまぁ今どきのへっぴり腰な放送局はやっぱりようオン・エアせんでしょうな。口惜しかったら特集してみぃ!(上柴 とおる)

Popular ALBUM Review


「果てしなきグラムロック歌謡の世界/VA」(キングレコード/KICS1685)
 1970年代にデイヴィッド・ボウイ、T-レックス、シルヴァーヘッドといったミュージシャンによって大きな話題を呼んだ≪グラムロック≫。ビジュルアル面で注目され、衣装やメイクではエルヴィス・プレスリーやミック・ジャガーにも影響を及ぼした。そんなグラムロックな世界を我が国のミュージシャン、ROLLY、DIAMOND☆YUKAI、土屋昌巳、森重樹一・・・らが思いっきり楽しませてくれる。アルバム最後はストーンズ・フリークのTHE EASY WALKERSが「ヨコハマ・ホンキ—・トンク・ブルース」を披露している。(Mike Koshitani)

Popular DVD Review

「カントリー・ストロング」(ソニー・ピクチャーズ/TSDD-80159)
 2010年に全米で大ヒットしたグウィネス・パルトロウ主演の映画だが、役柄がカントリー・シンガーであったせいか、残念ながら日本での劇場公開は見送られてしまった。しかしここにDVDが発売され、一安心。ストーリーは、酒に溺れ落ちぶれたカントリー・スター(パルトロウ)が夫であるマネジャー(ティム・マッグロウ)の力添えで再起を図るのだが、一緒にツアーすることになった若い男女のソロ・シンガーとの関係を巡り、行く末に暗雲が立ち込めて来る…。パルトロウはかつてヒューイ・ルイスと共演した映画『デュエッツ』(2000年アメリカ)でも歌ってはいたが、今回は昨年11月のCMAアウォード授賞式で生歌(もちろん映画タイトル曲)を披露する等、かなりの力の入れよう。近年役者づいているマッグロウは、1曲だけの参加(パルトロウとのデュエット)。2枚発売されているサントラ盤(日本盤は未発売)と共に、楽しんでいただきたい。(森井 嘉浩)

Popular BOOK Review

「新マイルスを聴け!アコースティック1945-1967/中山康樹・著」(双葉文庫)
 今年はマイルス・デイヴィスの没後20年。日本におけるマイルス研究の第一人者である著者のリリース・ペースも一層ヒートアップしている。版を重ねるごとに、どこまで分厚くなっていくのだろうといわれていた「マイルスを聴け!」だが、さすがにもう製本の限界を超えてしまったのか、今回からは分冊で発行されることになった。そしてまず店頭に並んだのが、この「アコースティック編」というわけである(2冊目3冊目の発行は、まだ先になるとのこと)。本著はまだマイルスが「ジャズの中」にとどまっていた時期の記録ともいえるが、ここでの積み重ねがあったからこそ、あのとんでもないエレクトリック時代が生まれたのだ、ということも、今さらのようによくわかる。掲載作品すべてのジャケットがカラーで紹介されているのも嬉しいし、これまであっさり片付けられていた40年代のサイドマン参加作品にも詳しいコメントが加えられている。(原田 和典)

Popular CONCERT Review

「稲葉國光」 5月31日 赤坂・Bフラット
 キャリア約60年にして初めての単独リーダー作『Bassin'』を発表したべース奏者、それが稲葉國光だ。1950年代にプロ入りし、白木秀雄や日野皓正のバンドで活躍。サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラの初来日(68年)では帰国したリチャード・デイヴィスの代役としてプレイしたこともある。彼の演奏はベーシストの鑑というべきもので、出しゃばりともハッタリとも無縁。すがすがしいほど堅実にサポートを務め、ウッド・ベースの生の音を味わわせてくれる。この日は峰厚介(サックス)、山本剛、岩崎桂子(ピアノ)、中牟礼貞則(ギター)、関根英雄(ドラムス)という録音メンバーに加え、伝説の菅野邦彦までが参加。とくにセカンド・セットの盛り上がりは圧巻で、アルバムの何倍もの時間をかけて1曲1曲がじっくりと演奏された。この音の厚みは、いくら「音楽学校のジャズ科」に通っても身につけることはできないだろう。叩き上げのバンドマンならではの筋金入りの技のやりとりにすっかり興奮させられた。(原田 和典)


Popular CONCERT Review

「ダイアン・シュ—ア」 7月28日 COTTON CLUB
 昨年8月以来、一年振りに来日のダイアン・シューア、前回は、首筋を痛めていて永く下を向いていられないという事でピアノは、ランディ・ポーターに任せて車椅子に座っての舞台だったが、今回は、身体も引き締まり元気一杯で全編ピアノの弾き歌いだった。発売されたばかりのウイリ—・ネルソン、マール・ハガードやハンク・コクラン等のウエスタンの歌を主題にした新作「ザ・ギャザリング」からの8曲のやるせなくメランコリーなウエスタンのバラードに加えて歌ったジャズ・ナンバーが特に素晴らしかった。当夜のハイライトとも言える20分を超す熱唱のチャック・マンジョーン作の「Land Of Make Believe」そして「Taking A Chance On Love」,「It Don't Mean A Thing」等、彼女の広い声域をフルに使ったスキャットと好演のジョン・ナストスのテナーとトニー・ムーアのドラムの掛け合い等で大いに盛り上がった。アンコールは、数日前に亡くなった彼女のカウント・ベイシー楽団と共演のアルバムの編曲を担当したフランク・フォスターを偲んで「Deedle's Blues」をソウルフルに歌い上げ好調振りを印象づけた。(高田 敬三)
写真提供:COTTON CLUB  写真:米田泰久


Popular CONCERT Review

「エステル・ロポン『21世紀の女性たち』」 7月29日 六番町・セルバンテス文化センター東京
 エステル・ロポンはスペインで活動するピアニスト。『Women of XXI』というCDを出し、最近、急速に頭角を現している。今回の公演はそのライヴ・ヴァージョンというべきもので、カナリア諸島で活躍する現役作曲家の作品に焦点を当てたものだ。曲目を提供したのはミレニア・ペリスク、ドリ・ディアス、セシリア・ディアス、ラウラ・ヴェガ等。いったいどんなアヴァンギャルドな響きが聴けるものかと思ったが、非常に静謐かつ温厚な和音、旋律にあふれていた。エステルのピアノ・タッチも力強いとか歯切れ良いといった表現とは無縁に感じた。まさか湿気のせいでピアノが存分に鳴らなかった、ということはないと思うが・・・。最後の曲「俳句;ピアノのための13句」では、カルロス・ヴィルチェッスの朗読によるスペイン語訳された俳句とのコラボレーションがおこなわれた。(原田 和典)

Popular CONCERT Review

「GIRL'S FACTORY」 7月31日 ZEPP TOKYO
 フジテレビが主催する女性シンガー中心のイベントが今年も7月30日と31日に行なわれた。ぼくは31日に見に行ったが、例年通りの長丁場だった。加藤ミリヤ、フレンチ・キス、渡り廊下走り隊7、miwa、ねごと、ZONEらが出演したが、目玉はやはりAKB48のグループ内グループであるフレンチ・キス(3人組)と渡り廊下走り隊7(7人組)であろう。両グループは、渡部道啓(ベース)や村石雅行(ドラムス)を含むバンドをバックに、自らの持ち歌に加えカヴァー曲(渡り廊下はPerfumeの『チョコレイト・ディスコ』も)を歌い、ラストには合体してAKB48の「ヘビーローテーション」や「言い訳Maybe」等をぶつけた。どういうわけかテレビやコンサートでの彼女たちはなかなか生歌を聴かせてくれない。しかしこの日はまさに生声と生バンドのせめぎあいを満喫させてくれた。フレキスの柏木由紀の歌心には彼女に対する認識を新たにさせられたし(歌うことへの愛情がほとばしっている、といえばいいのだろうか)、柏木と渡り廊下の渡辺麻友が1本のマイクで歌うところはエアロスミスのステージングを彷彿とさせた。いっそフレキスと渡り廊下+バンドでライヴハウスツアーをすればいいのに。そしたら僕は日本全国追っかける。(原田 和典)


Popular CONCERT Review

「ティム・ロビンス・アンド・ザ・ロウグス・ギャラリー・バンド」 8月9日
 Blue Note TOKYO

 映画「ショーシャンクの空に」「ミスティック・リヴァー」等で渋い演技を披露、「デッドマン・ウォーキング」では自ら監督を勤める等、映画界で評価の高いティム・ロビンスが今度はロック界にデビュー、自らバンドを組んでアルバムを発表したのに合わせ、初来日公演を果たした。声量豊かな渋い歌声、カントリー・ロックを基調にした演奏は正統派のアメリカン・ルーツ・ミュージックの流れをくむものだ。曲目も出だしと締めくくりにビートルズの「ヒア・カムズ・ザ・サン」をカヴァー、またアップ・テンポの間にバラードをはさむ緩急をつけたプログラム進行等、聴衆の興味を最後までそらさない配慮もみせる。全曲自作のアルバム収録曲には色々なメッセージを盛り込む等、元々硬派のイメージがある彼だが、ライヴでは理屈抜きに歌う喜びが感じられて、その思いが聴衆にも伝わり、会場を盛り上げていく。彼らしさを主張しながらも楽しさも伴った、プロのミュージシャンとしての存在感を示したステージだった。(滝上よう子)
写真:佐藤拓央


Popular INFORMATION

「ロックをころがせ!!STONES NITE Vol.4 RESPECT THE STONES!
 ローリング・ストーンズを心からリスペクトしているジャパニーズ・ロック界の兵(つわもの)どもが集結。ストーンズ・グルーヴを全面に出しきってのスペシャル・ライヴが開催だ。出演はあの伝説のロッカー、山口冨士夫をはじめストーンズ・トリビュート・バンドTHE BEGGARS、サルーキ、VESSE、藻の月、Pyano、KEEP ON ROCKS。(HM)
*9月25日(日) 16時30分開場 17時00分開演
吉祥寺ROCK JOINT GB 
お問い合わせ:(0422)23-3091
http://www.rock-gb.com/


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「アーマ・トーマス
 ニューオーリンズのR&B歌手として1950年代末にデビューし60年代から活躍している大ベテラン、アーマ・トーマスが久々に来日、20年ぶりかな・・・。彼女の名前はローリング・ストーンズ・ファンにもよく知られている、「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」を歌っているのだ。その才能はすでにその当時から多くのアーティストから注目を集めていた。楽しみなLIVEだ!(MK)
*11月29日 Billboard Live OSAKA 2回公演
お問い合せ:(06)6342-7722
http://www.billboard-live.com/
*12月1日 2日 Billboard Live TOKYO 2回公演
お問い合せ:(03)3405-1133
http://www.billboard-live.com/


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