2011年1月 

 
Popular ALBUM Review



「Viva エルヴィス/エルヴィス・プレスリー」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP2948)
 ザ・キング、エルヴィスの「ブルー・スエード・シューズ」「ザッツ・オール・ライト」「ハートブレイク・ホテル」などの大ヒット・ソングスがもし21世紀の現在に制作されたらどうなるか、そんなコンセプトの中で完成されたのがこの作品集。ラスヴェガスのショーの音楽プロデューサーがサンプリング/オーバーダブ、ヴォーカル・パートが加えられた曲もある。敏腕ミキサーたちがミキシング&トラック・ダウン。新たなるエルヴィスの世界がここに誕生。エルヴィスを50年近く楽しんでいる僕らはまず吃驚させられ、そしてその斬新さに大きな拍手。このサウンドをぜひとも若いロック・ファンに楽しんでもらいたい・・・。日本盤ボートラでは福原美穂が「ラヴ・ミー・テンダー」エルヴィスとコラボしている。(Mike M. Koshitani)

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CD+DVD


DVD


「ライヴ・イン・ベルリン/スティング」(ユニバーサルミュージック/UCCH-9010=CD+DVD UCBG-1291=DVD)
 スティングは2010年6月から、オーケストラと組むことによって自身の作品群をあらためて見つめ直し、再解釈し、新たな生命を与えるというコンセプトのツアーをつづけてきた。タイトルは、シンフォニシティー。すでにスタジオ録音盤がリリースされているが、もともとはツアーのみの予定でリハーサルをつづけるうち、あまりにもいい手応えだったため、レコーディングもしてしまったという。いかにもスティングらしいエピソードだ。その画期的で、ある意味では大きなリスクも伴うツアーから、9月21日ベルリンでのステージが作品化された。CD版(+DVD)とDVD版が同時発売され、前者はそのベスト・テイク、後者はトークも含めたそのほぼすべてを収めたものとなっている。結果的にスティングの歩みを凝縮させた名曲集となっているが、正式な形では作品化されていない「エンド・オブ・ザ・ゲーム」や「オール・ウッド・エンヴィ」、あるいは『コールド・マウンテン』に提供した「ユー・ウィル・ビー・マイ・エイン・トゥルー・ラヴ」も取り上げられるなど、プログラムからは強いこだわりが感じられる。自らの分身でもある曲をザ・ポリスの呪縛から解放するという狙いも、深い部分ではあったはずだ。(大友 博)


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「ライヴ・イン・ボストン〜デラックス・エディション/クリス・ボッティ」(ユニバーサルミュージック/UCCU1297)
 この12月にわが国で素晴らしいステージを披露してくれたトランぺッタ―、クリス・ボッティのライブ・イン・ボストンのスペシャル・エディション、CD+DVDヴァージョンだ。日本公演でもリサ・フィッシャーほか多彩なゲストがステージを盛り上げたが、本作ではスティング、ヨーヨー・マ、ジョン・メイヤー、スティーヴン・タイラーら豪華ミュージシャンがジョイントしてドラマティックなコンサートを展開。ジャズとかポップス、クラシックといったジャンル、そして時代にもにこだわることなく、グッド・ミュージックをコンテンポラリーな感覚で演奏するクリスの音楽感性に心躍らされる。そして、もちろん彼の奏でるトランペットの音色にうっとりとさせられるのだ。日本でも披露されていた「アヴェ・マリア」「エマニュエル」「フラメンコ・スケッチーズ」「恋の面影」「ハレルヤ」ほかが収録。クリス・ボッティは2011年もライヴ・イン・ジャパンを実現してくれることをはっきりと約束してくれた。(Mike M. Koshitani)


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「闇に吠える街〜The Promise: The Darkness On The Edge Of Town Story/ブルース・スプリングスティーン」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP-2971〜2976)
 ブルース・スプリングスティーンの1978年の『闇に吠える街』に、未発表曲収録のCD2枚、未発表映像収録のDVD3枚を加えた、計6枚組の豪華ボックス・セット。この名盤が、初めてデジタル・リマスタリングされたことは大きい。CD2と3に収録された未発表曲は、75年の『明日なき暴走』リリース後、マネージメントをめぐっての裁判などで新作を発表できなかった時期に録音されていたもの。これらは『ザ・プロミス〜闇に吼える街』のタイトルで、2枚組CDとして同時発売にもなった。DVD1は貴重なドキュメンタリー。DVD2は2009年に『闇に吼える街』全曲を演奏したライヴの模様などを収録。DVD3は78年、スプリングスティーン29歳のときの、“史上最高のパフォーマンス”と呼ばれていた時期のライヴを収録。と、まさに圧巻の内容だ。さらに日本盤には、お馴染みの五十嵐正による詳細な解説はもちろん、日本人として初めてスプリングスティーンにインタビューした元ミュージックライフ編集長の水上はる子、日本人で初めてスプリングスティーンを撮影した写真家、渡辺真也、当時の日本の担当ディレクター、岡田了のエッセイなども掲載。加えて、この長尺のDVDに日本語字幕を入れたことなど、制作陣の執念のようなものすら感じられる。究極のボックスであることはもとより、日本のレコード会社の意地を見せ付ける、究極のローカライズ作品でもある。(細川 真平)

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「リヴィング・プルーフ/バディ・ガイ」(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル/SICP2970)
 バディの音楽へ対する真摯で貪欲な姿勢にはいつも感心させられる。何度か共演した時も、いつも僕らに気遣いながらいろんなことを教えてくれるのだ。現在のシカゴ・ブルースの屋台骨を作った御大のニュー・アルバムにはB.B.キングが「ステイ・アラウンド・リトル・ロンガー」で、そしてカルロス・サンタナが「ホエン・ザ・ブルース・ビギンズ」が参加している。とにかく、彼のパワフルなギター・ワークは全面にわたってとどろきわたっていて、ブルースとはにかということをダイレクトに伝えてくれる。ソウルフルなヴォーカルを楽しませてくれる「エヴリボディズ・ゴッと・トゥ・ゴー」にも注目だ。(菊田 俊介)

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限定盤

アナログ

「ホワット・イフ.../MR.BIG」(WHDエンタテインメント/IECP-10236 IEZP-26=DVD/3Dスリップ・ケース付限定盤 IEPS-9112〜3=180g重量盤アナログ2枚組)
 14年振りとなるミスター・ビッグのオリジナル・メンバーによるスタジオ・レコーディング・アルバムは、最近久しく聴いていなかった渾身のハード・ロック・アルバムに仕上がった。現在最高水準のミュージシャン達のバトルと、現在最強のロック・プロデューサー/ケヴィン・シャーリーとの融合が、21世紀の傑作を生んだ。熟年の味を帯びてきたエリックのハスキー・ヴォイスに、感情豊かなフレーズと超高速のポールのギター、変幻自在で驚異的なビリーのベース、ヘヴィなパットのドラムが絡み合い、「アンダートウ」から「アイ・ゲット・ザ・フィーリング」までの11曲全てに寸分の隙もない、演奏も楽曲もパーフェクトなアルバム、それが『ホワット・イフ・・・』だ。(上田 和秀)

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「ベスト・オブ・ミー〜ベスト・オブ・ダニエル・パウター/ダニエル・パウター」(ワーナーミュージック・ジャパン/WPCR-13960)
 
21世紀を代表するピアノマン/ダニエル・パウターのベスト・アルバムが、嬉しいことに全世界に先駆け届けられた。「バッド・デイ〜ついてない日の応援歌」で世界中を元気にし、「ネクスト・プレイン・ホーム〜きみに今すぐ逢いたくて」で世界中を虜にし、「ラヴ・ユー・レイトリー〜初めてのラヴ・ソング」で世界中を優しく包み、「ベスト・オブ・ミー〜素顔の僕をうけとめて」で切なくさせてくれる。新曲の「ルーズ・トゥ・ウィン」も新しい人生の応援歌だ。この1枚があればいつでも元気でいられる、そんな気持ちにさせてくれるアルバムだ。(鈴木 修一)

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「アナログ・ボックス 1964-1969/ザ・ローリング・ストーンズ」(ユニバーサルミュージック/PDJI-1001〜13)
「アナログ・ボックス 1971-2005/ザ・ローリング・ストーンズ」(ユニバーサルミュージック/PDJI-1014〜31)

 最近はLP/EP/シングル・レコードに接する機会が多い、やっぱりアーリー・シックスティーズからヒット・ソングを聴いているひとりとしてはアナログがゴキゲンだ。ここにご紹介するのは、ストーンズのLPボックス。「アナログ・ボックス 1964-1969」はUKデッカ時代の11作品にEP2作品を12インチにした13枚組。この時代の彼らはアメリカではロンドンからリリースされアルバム内容などが異なっていたが、今回はあくまで母国のUK作からのLP化である。「アナログ・ボックス 1971-2005」は、RSレコードに入ってからのスタジオ・レコーディング作品集を『スティッキ―・フィンガーズ』からレイテストの『ア・ビガ―・バン』までの14作をLP復刻している。『メイン・ストリートのならず者』はもちろんだが、 CD時代になってからの『ヴードゥー・ラウンジ』『ブリッジズ・トゥ・バビロン』『ア・ビガー・バン』は2枚組。来年はライヴLPボックスも期待したい!(Mike M. Koshitani)
http://store.universal-music.co.jp/fs/artist/c/rollingstones

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「ベス・ロジャース・プレゼンツ・ベス・ロジャース/ベス・ロジャース」(プロダクション・デシネ/PDCD-050)
 この手のアーティストは当方が是非にも!という使命感にかられてこの清々しいほどにポップで躍動感に満ちたN.Y./ブルックリン出身の女性シンガー/ソングライターの本邦デビュー盤(2007年の1stアルバムとEP盤2枚から日本独自編集)を自信を持ってご紹介♪アコースティック〜フォーキー〜パワフルなポップン・ロール(ふるっ)〜浮遊感のある中後期ビートルズ風。。。など音作りの面でも煌めいているがそのどれもが心地好いビート感覚を下地にハートを鷲掴みするようなセンスのいいメロディーを伴っており、ますます「これはこれは♪」と気分も高まるばかり。ウクレレがいいアクセントになっているFはほんと心に沁み入る(イントロは‘あれ?「雨にぬれても」!?’)。 (上柴 とおる)

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「シングル 1970-1977/スタイリスティックス」(ビクターエンタテインメン/VICP-70176〜7)
 
若いR&Bファンも含めて現在も多くの音楽愛好者に親しまれているフィラデルフィア・ソウルの雄、スタイリスティックス。彼らが最も多くのヒット作を放った1970年代のシングルAB面ソング45曲を網羅した、まさに涙ものの、本物のベスト・アルバム。ファルセットをいかしたソウルフルなヴォーカル・スタイルは70年代には大きな人気を呼んだ。その後も何度となく来日、今年のクリスマスにも素晴らしいステージを披露してくれたのだ。(松本 みつぐ)

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「ラフィング・アット・ライフ〜ウィズ・ルイス・ヴァン・ダイク/アン・バートン」(ミューザック/MZCF1230)
 オランダ・サウンド・アンド・ヴィジョン協会の資料保存庫で見つかったアン・バートンの今迄未発表だった放送録音用のテープから彼女の名作「ブルー・バートン」や「バラード・アンド・バートン」での名コンビ、ルイス・ヴァン・ダイク(p)との1970年、76年、84年の録音を編集したもの。バラードが得意な彼女だが、予想を裏切って早いテンポで快調に歌う一曲目の「アイ・ゲット・ア・キック・アウト・オブ・ユー」からいきなり惹きつけられる。後半は、ライヴで彼女の温かい人柄がにじみ出たステージを楽しめる。(高田 敬三)

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「カミング・イン・フロム・ザ・ダーク/メッテ・ジュール」(ヤマハミュージックアンドビジュアルズ/YMCJ-10005)
 メッテ・ジュールなんて男性かと思いきや、筋のいい、趣味のいい女性ジャズ・シンガーだった。メッテはデンマークの実力派。すでに多くのジャズ祭などでもてはやされている。影響をうけたのはジョニ・ミッチェル、チェット・ベイカーを筆頭にエラ、ダイナ等にトレイシー・チャップマンの名も挙がっている。自作が5曲にスタンダードが7曲。これも無駄なく余裕で聴かせるアレックス・リール(d)・トリオが好バックを務める。クールなトランペットも挿入されていていい雰囲気。ゆったりと始まる冒頭2曲の自作がスタンダード的な味わいがあり、「リトル・デビル・ブルー」はジョニを思わせる。「恋とはなんでしょう」もうまい。メッテは落ち着いた声もディクションの正しさも美しい。(鈴木 道子)

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「ニーナ/ケリー・リー・エヴァンス」(ヤマハミュージックアンドビジュアルズ/YMCJ-10006)
 カナダのトロントはロンドンと並んで世界で最もジャマイカ系移民が多く住んでいる。ケリーもトロント出身。2004年にジャズ・ヴォーカルの新人登竜門セロニアス・モンク・インターナショナル・ジャズ・コンペティションで準優勝した時、フランスのレーベルが注目し、今回同国録音で登場した。子供の頃から慣れ親しみ尊敬するニーナ・シモンの持ち歌を歌う。ニーナは重厚で個性的な歌声と、60年代に公民権運動の闘士として知られている。ケリーは褐色の艶やかな声でしっくりと深く歌っていく。ギター・トリオがバックで、冒頭の「愛を信じて」「ムード・インディゴ」など特に味わい深く美しい。ジャズのほかR&B,カリビアン調も聴かれる。(鈴木 道子)

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「ガールズ・トーク/KARA」(ユニバーサルミュージックUMCK-9395)
 新曲「ジャンピン」をフィーチャーしたKARAの日本における初オリジナル・アルバム。韓国で同時期に発売された4thミニアルバム『JUMPING』収録全曲に既発シングル曲を加えた構成だが、本作は全曲日本語詞ヴァージョン(ボーナス・トラックとして3曲韓国語verを追加)。日韓往復を繰り返す過密スケジュールの中、よくぞ2カ国語版を完成させたと驚くと同時に、短期間での飛躍的な日本語スキルアップに感心させられる。
 中でも秀逸なのが、元GO-BANG’Sの森若香織が訳詞を手がけた「スウィート・デイズ」。原曲のリズムを壊さない日本語の選択が見事で、KARAの日本語力との相乗作用により完成度の高い作品に仕上がっている。 (中村 俊夫) 

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「HOOT/少女時代(ユニバーサルミュージッ/UPCH-20224)
 少女時代の日本初アルバムは、韓国での最新作である3rdミニ・アルバムを基本フォーマットに、DVDやボーナス・トラックを加えた限定盤が3種リリースされているが、本作は韓国オリジナル仕様の通常盤。とにかく『オースティンパワーズ』風というか、ボンド・ガールを彷彿させる9人を描いたジャケットのイメージそのまんまのタイトル曲が凄い!60年代スパイ映画テーマのようなリヴァーブ&トレモロを効かせた懐かしいエレキ・サウンドと、アップデイトなダンス・ビート、アジア的情緒の融合は、まさにレトロ・フューチャーの世界そのもの。そして、どこか西洋人視点のエキゾティシズムを感じさせるのは、本曲の共同作曲者のひとりがBlurのアレックス・ジェームスだから? (中村 俊夫)


Popular ALBUM Review



「STONED PIRATES RADIO/SOIL &“PIMP”SESSIONS 」(ビクターエンタテインメント/VICL-63684)
 何を思ったのか、SOIL & “PIMP” SESSIONSの新作『STONED PIRATES RADIO』は、題名が示す通りラジオ・ショー仕立てのユニークなものとなった。レゲエ、スタンダード・ジャズ、チャールズ・ミンガスの「ブギー・ストップ・シャフル」からマイケル・ジャクソンの「ビート・イット」、ジョン・レノンの「イマジン」まで、カヴァー曲中心ではあるがいつも以上にセンスの良いアレンジが光る。小気味良いテンポのDJや所々ギャグを散りばめながら、如何にもラジオであるかのようにジングルまで取り入れる手の凝りようで、パロディの様でいて真面目な演奏が心憎い。何と言っても、11分を超す「イマジン」は圧巻である。(上田 和秀)


Popular ALBUM Review


「俺たち女の子だった/Girls to Men」(アイドルジャパンレコード/TJRC-0020)
 「同じ悩みや違う悩みを持っている人の勇気や力になりたい」と言う高い志を抱いてデビューしたのが、Girls to Menである。決して俗に言うイロモノではなく、真剣に音楽を通じて人生を語っていることを感じる。今回は、ライト・ヒップ・ホップの「声を聴いて〜エコーズ〜」とライト・テクノの「人として」の2曲を収録したシングルだが、今後の成長に期待したい。理解されづらい性同一性障害に、真っ向から立ち向かって行く4人の若者を是非応援して欲しい。(鈴木 修一)


Popular ALBUM Review


「フロム・ザ・ピット/KAO」(Mingle Music MGLM-0003))
 数々のミュージカルのオケピットでコンサート・マスターとして活躍中のヴァイオリニストKAO (本名: 植村薫) が奏でる、ミュージカル・ナンバーの数々。前作『オーバーチュア』(GECA1081) に続くニュー・アルバム。「ラ・カージュ・オ・フォール」「マイ・フェア・レディ」「モーツァルト!」「李香蘭」「ハロー・ドーリー!」「クレイジー・フォー・ユー」「レント」「回転木馬」「シェルブールの雨傘」「ダンス・オブ・ヴァンパイア」等の12作品から代表曲12曲を、美しいヴァイオリンで (「レント」はヴィオラ) 聴かせてくれる。曲によりフルート、サックス、クラリネット、チェロ、オーボエなどの伴奏がムードを盛り上げ、癒しのミュージックとしても快適な、お奨め盤。(川上 博)
*オーダー: http://m-in.jp
http://web.me.com/kaoroon/Kaos_room_2004/Top.html


Popular ALBUM Review



「浪花のモーツアルト キダ・タローのほんまにすべて」(アップフロントワークス/PKCP-2064〜6)
 関西地区では赤ちゃんからお年寄りまで誰もが知っているという作曲家(&パーソナリティー)キダ・タロー氏の‘全仕事’的な作品集が実に18年ぶりに装いも新たに再登場。前回は2枚組で87曲。今回は3枚組で100曲♪「かに道楽」のCM曲や「ABCヤングリクエスト」のテーマ曲(奥村チヨ、岡本リサ)など定番はしっかり収録されているが今回は企業社歌や校歌、市歌ははずしてCM曲やTV、ラジオのテーマ曲を増やし、また‘歌謡曲篇’には敏江・玲児の「147センチのバラード」「しびれ女のブルース」や若山富三郎の「渡世人」等を新たに追加とさらに充実。これはもう後世に語り継ぐべき貴重な≪資料≫として本棚に1セット、飾り置いて欲しい。 (上柴 とおる)


Popular DVD/Blu-ray Review


DVD

フィギュア付き



Blu-ray

フィギュア付き

「エリック・クラプトン クロスロード・ギター・フェスティヴァル2010」(ワーナーミュージック・ジャパン/2枚組DVD=WPBR-90703〜4 2枚組Blu-ray= WPXR-90001〜2 2枚組DVD[フィギュア付きリミテッド・エディション]=WPBR-90709〜10 2枚組Blu-ray[フィギュア付きリミテッド・エディション]=WPXR-90003〜4
 今年の6月26日にシカゴ/トヨタパークで開催されたドラッグ/アルコール依存症更生施設チャリティー・イベント、クロスロード・ギター・フェスの記録だ。エリック&サニー・ランドレスをはじめ ロバート・クレイ・ウィズ・ジミー・ヴォーン&ヒューバート・サムリン、ZZトップ、シェリル・クロウ・ウィズ・デレク・トラックス/スーザン・テデスキ/ドイル・ブラムホールU&ゲイリー・クラークJr、ヴィンス・ギル・ウィズ・ケブ・モ/ジェイムス・バートン/アール・クルー&アルバート・リー、ジョン・メイヤー・トリオ、バディ・ガイ・ウィズ・ジョニー・ラング&ロ二ー・ウッド(ミス・ユー!)、そしてジェフ・ベック。錚々たるミュージシャンが素晴らしいブルース、ロックを堪能させる。「アイ・ショット・ザ・シェリフ 」のエリック、「シェイク・ユア・マネー・メイカー」 のエリック&ジェフ。「ヴードゥー・チャイル」の エリック&スティーヴ・ウィンウッド。そして御大B.B.キングの「スリル・イズ・ゴーン」! ギター小僧の諸君、これはマスト映像なのだ。(Mike. M. Koshitani)


Popular DVD Review












「ブリテッシュ・ロック・ヴュージアム 1/VA」(WHDエンタテインメント/IEBP-10053)
「ブリテッシュ・ロック・ヴュージアム 2/VA」(WHDエンタテインメント/IEBP-10054)
「ブリテッシュ・ロック・ヴュージアム 3/VA」(WHDエンタテインメント/IEBP-10055)
「ブリテッシュ・ロック・ヴュージアム 4/VA」(WHDエンタテインメント/IEBP-10056)
「ブリテッシュ・ロック・ヴュージアム 5/VA」(WHDエンタテインメント/IEBP-10057)
「ブリテッシュ・ロック・ヴュージアム 6/VA」(WHDエンタテインメント/IEBP-10058)

 1960年代ブリテッシュ・ロックをリアル・タイム過ごした僕らオールド・ファンにとってはもうたまらないDVD6巻シリーズ。正月休みはストーンズの“レディジェン”とともに、もう観続けるのだ。
≪1≫はジミー・ペイジ時代のヤードバーズから始まる。そして、デラム時代のスモール・フェイセス、好きだった。朋友マック(イアン・マクレガン)の姿も、「All Or Nothing」はよくRSFCレコード・コンサートで紹介した。そしてストーンズ・ファン必見なのがクリス・ファーロウ(当時シングル・レコードが日本でもリリースされていた)、「Out Of Time」「Ride On Baby」(もちろん両曲ともストーンズ楽曲)。エリック・バードンのブルースも素晴らしいし(来日公演を思い出す)、キャット・スティーヴンスの60年代映像も久しぶりだ。トロッグスの「I Can’t Control Myself」もゴキゲンだ。そしてジュディ・ドリスコールをフィーチャーしたブライアン・オーガー・アンド・ザ・トリニティにもう夢中なのだ。
≪2≫はザ・キンクスからスタート、ザ・スペンサー・デイヴィス・グループも登場する。そしてザ・ホリ―ズ、グラハム・ナッシュが在籍、その時代の来日公演はもちろん行った。ストーンズの在籍していたデッカの配下のデラムからデビューしたザ・ムーヴもRSFCレココンでよく紹介した。ザ・サーチャーズやザ・トレメローズのヒット・チューンズはもう完全にオールディーズ・バッド・グッディーズ、涙ものだ。そしてザ・マインドベンダ―ズの「Groovy Kind Of Love」は「Game Of Love」とともに忘れられない大ヒット!そして。ストーンズ・ファンとしてまず気になるのがザ・クリエーション。映像には登場してこないけど、ロニー・ウッドが一時在籍したことのあるグループ。そして、P.P.アーノルド、アイク&ティナ・ターナーのコーラス、アイケッツの一員で英国公演中にストーンズのマネージャーだったアンドリュー・ルーグ・オールダムにスカウトされてイギリスでソロ活動(本当のところはミックに・・・)。ミックやロッド・スチュワートともレコーディングしている。
≪3≫は今年になって新作リリースしているあのピーター・フランプトンが在籍していた時代のハンブル・パイからスタート(メンバーは違ったけれど73年の来日公演は衝撃的だった)。そして、ロリー・ギャラガー率いるテイスト。そのロリー・ギャラガーの72年のマーキー・ライヴも堪えられない。そして、このブルージー・ヴァージョンはジョン・メイオールがジョン・マークとジョニー・アーモンドを率いての70年ライヴで幕を閉じるのだ。
≪4≫はまずディープ・パープルから、第2期の69年8月の「Hard Lord 〜Drum Solo 〜 Mandrake Root」。リッチー・ブラックモアのギターをたっぷりと堪能、ジョン・ロードのキーボードもダイナミック。イアン・ペイスとイアン・ギランの熱演も見どころ(関係ないけど、ライヴ・イン・ジャパン・アルバムのいちばん目で腕を組んで観ているのは私、その隣の隣が湯川れい子さん)。そして、スレイドとアトミック・ルースターのこれまた熱演もたっぷり味わえるのだ。ここでのアトミック・ルースター末期の映像ではヴォーカリストとしてクリス・ファーロウを観れる。60年代中期もそうだったけど、ミック以上にソウルフルなヴォーカルを披露。「Black Snake」ではサンドウィッチをパクつきながらのクリス・・・。
≪5≫はムーディー・ブルースから始まる。「Go Now!」をヒットさせR&Bグループとして人気を得たが、67年からプログレッシヴ・ロックな方向性へとそのギアをチェンジした。もちろんここではアルバム『Days Of Future Past』からの作品などを披露しているのだ。そして、プロコル・ハルムも実力者ぞろいのグループだった。ただ、「青い影」の大ヒットでポップなイメージがあるのも確か。わが国では「青い影」ディスコティック(ディスコとはまだ呼ばれていなかった)のチーク・タイム・ナンバーでもあった。そして、このプログレッシヴ&ジャズ・ロック編ではその他ザ・ボンゾ・ドッグ・ドゥー・ダー・バンド、ファミリー、ブロッサム・トーズが登場。そして最後はイースト・オブ・エデンなのだ、ヴァイオリン&フルートなどの管楽器をフィーチャーして独特なサウンドをクリエイト、デラムやハーヴェストでアルバムを発表。ボーナス・フッテージはドラムにジェフ・アレンが参加してからのもの(その時期の71年の3枚目のアルバムのライナーを和田栄司さんとともに担当した)。ヴァイオリンはデイヴ・アーバス。ジェフは現在ミック・テイラーのマネージャー兼ドラマー、昨年ミックの来日公演に同行、朋友のミックに紹介してもらった。
≪6≫はロバート・ワイアットが歌っているソフト・マシーンの「Moon In June」でオープニング。そして、マンのナンバーが6曲。「Let The Good Times Roll」を聴いていて、ライナーに記されている彼らは基本的にR&Rバンド何だということに改めて納得される(ライナーはこのシリーズ担当の深民淳さんだろう、彼は世界でも有数のUKLPコレクターでもある・・・このシリーズのスリーブ掲載のLPはきっと彼のコレクションからだろう)。そして、ブライアン・オーガーのザ・トリニティ、オブリヴィオン・エクスプレスも登場してくる。そして最後は70年にUSチャートでもナンバー・ワンになったショッキング・ブルー(オランダ出身)の「Venus」。もちろんわが国でも大ヒットした。フジTV(関東ローカル)の「リブヤング!」で彼らにインタビューしたことを思い出しす・・・。(Mike M. Koshitani)
http://www.whd.co.jp/specials/detail/3

Popular DVD Review



「LEGEND OF ROCK SUPER BEST/VA」(宝島/C0873)
 ドイツのテレビ番組を元に制作されたロック史に残る33のアーティストのパフォーマンスを収録。ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、キング・クリムゾンといった超大物もレアな映像が網羅されている。チャック・ベリーからポスト・パンク期までのアーティストが中心なので、40歳〜50歳代のファンにとっては特に嬉しい。個人的にはナックやスコーピオンズのパフォーマンスに感激。Jポップしか聴かないという若者はこのDVDを観れば、それこそ温故知新の発見があるはず。(今 拓海)


Popular BOOK Review



「ニッポン・スウィング・タイム/毛利眞人・著」(講談社)
 戦前の日本におけるジャズの発展史を、大正末から昭和20年終戦時までのバンド、歌手、アレンジ、レコードなど各方面に亘って極めて詳細且つ面白く記述した初の出版である。著者は1972年生まれの少壮気鋭の研究家で、クラシックとポップス双方に造詣深く、戦前のSPレコードをマイナー・レーベルまで収集してきき込んだ上で、稀少な資料を駆使した評論は、非常な説得力があり、従来の“日本ジャズは戦後進駐軍がもたらした”という俗説を完全に覆す好書である。(瀬川 昌彦)


Popular BOOK Review



「THE DIG Special Edition ジョン・レノン」(シンコーミュージック・エンタテイメント)
 生々しいヴォーカル、ヴィヴィッドなリズムセクションが明らかにされた『ダブル・ファンタジー』のストリップト・ダウン・ヴァージョンは本当に衝撃的だった。没後30周年にして、ロック・ファンをノックアウトさせるジョンという存在の凄さは、筆舌に尽くしがたいものがある。そんなジョンの姿は、剥いても剥いても奥がある果実のような存在で、このようなムックが刊行され続ける意味が出てくる。今回の白眉は、「発掘 ジョン・レノン 1969年インタビュー “青の時代”の終焉 ジョンが隠した事実」で、解散を決めた会合の数日後に行われているインタビューながら、それを隠してビートルズの構造を語るその語り口が発見に富む。シンプルに見えるその曲が奥の深い構造を持つように、ジョンの様々な発言は、千路に彼の関係性の妙を伝えてくれる。この時期のインタビューにはまだまだ読んでないものがありそうで、興味しんしんだ。今年、ビートルズとの日々を綴った決定本を上梓した星加ルミ子をはじめ「いぶし銀」の日本の10人の関係者へのインタビューも面白い。晩年の夏を過ごした万平ホテルの佐藤泰春の追憶が味わい深い。(さえき ケンゾウ)


Popular CONCERT Review


「おかえりなさい サー・チャールズ・トンプソン」 10月1日 新浦安HUB
 レスター・ヤングやチャーリー・パーカーとの共演歴もあるピアニスト、サー・チャールズ・トンプソン(1918年生まれ)が日本に戻ってきた。骨を埋めるつもりなのだという。共演者は、トンプソンの盟友であるトランペット奏者、外山喜雄率いるデキシーセインツ。しかしこの日の彼らは“中間派セインツ”と化し、「ロビンズ・ネスト」はもちろん、「ダイナフロウ」「レディ・フォー・フレディ」といった、トンプソンのファンなら誰でも知ってるけれど、そのへんのジャズ・ファンにはまず知られていないナンバーも含めて2時間以上の熱演を御大と共に披露した。笑顔を絶やさずノリノリでプレイするトンプソン、一丸となってそれをバックアップするセインツの面々。スウィングすることの喜びに満ち溢れたライヴだった。(原田 和典)


Popular CONCERT Review



「カヘキリ」 10月23日 JCBホール
 カメハメハ王朝による全島統一への道を切り開いたマウイ島のカヘキリ王(ハワイ最高の首長といわれる。名前は“雷”という意味だそう)を題材にしたパフォーマンスが、秋の東京で開催された。基本的には18世紀のハワイに題材を求めた演劇といっていいと思うが(セリフの日本語訳は電光掲示板に表示)、ダンスや歌の場面も多々あり、“いわゆるハワイアンとは異なるハワイ音楽”にもたっぷり触れることができた。きけば、今ではほとんど見られなくなったハワイの儀式や文化的慣習もフィーチャーされていたとのこと。しかし“フォークロア保存会”的な堅苦しさ、学究くささを感じることなく、極上のエンタテインメントとして楽しむことができた。床を突いて音を出すパーカッションの丸みのある響きが特に印象に残った。(原田 和典)

Popular CONCERT Review




「外道vs頭脳警察」 11月17日 初台The DOORS
 初台The DOORSの11月第3週、≪JAPAN ROCK LEGEND WEEK≫はひたすら熱かった。15日はアーリータイムス・ストリングス・バンドvsラストショウ、16日はめんたんぴんB・B vs上田正樹、17日は外道vs頭脳警察、18日は遠藤賢司vsセンチメンタル・シティ・ロマンス、19日はCOOLS Hidemitsu and James with The HUNGRY VSシーナ&ロケッツというプログラム。MCは全日、Mike Koshitaniが担当した。ここでは5日中、最もラウドだったであろう17日について触れる。
 しょっぱなは頭脳警察。「ふざけるんじゃねえよ」「ブラッド・ブラッド・ブラッド」等、新旧のレパートリーを矢継ぎ早に聴かせた。PANTAの図太いシャウト、予想のつかないフレーズで迫るTOSHIのボンゴ。サポート・メンバーのプレーもふたりを鼓舞してやまない。後半は活動を再開した外道のステージ。鳥居はなかったが、ブルース&ブギ・フィーリング満点で突っ走る。加納秀人のブルース・プレーは味が濃く、とんでもないエッジの立ちようだ。あらためて彼の名手ぶりに圧倒された。ドラムスには、そうる透が参加。「悪魔のベイビー」ではリード・ヴォーカルもとった。第3部は、このステージならではの合同セッション。スペンサー・デイヴィス・グループの「ギミ・サム・ラヴィン」、内田裕也のカヴァーでも有名な頭脳警察の曲「コミック雑誌なんか要らない」などが飛び出した。なんてデカイ音、なんてワイルドなオヤジたちなのだろう。彼らが暴れてくれている限り、日本のロックは大丈夫だ。 (原田 和典) 
写真:牛澤茂幸

Popular CONCERT Review



「チャットモンチー PremiumアコースティックLIVE〜五年目の浮気〜」 11月23日 Billboard Live TOKYO
 ミニ・アルバム『Awa Come』も大好評のチャットモンチーが、アコースティック楽器中心のライヴを開催した。ギター&リード・ヴォーカルの橋本絵莉子は殆どガット・ギターで通し、ベースの福岡晃子は生ピアノやエレクトリック・アップライト・ベースも演奏。ドラムスの高橋久美子はカホン、クラリネットまでプレーした。演目もバラエティに富み、あっと驚くアレンジが施された「東京ハチミツオーケストラ」「バスロマンス」はもちろんのこと、連作DVD『チャットモンチーレストラン』のメニュー画面で流れる曲のメドレー(「BETSUBARA」が特に素晴らしかった)などを連発しては聴く者を満腹状態にした。年末の中野サンプラザ公演は通常のセッティングで演奏されるようだが、これからも定期的にアコースティック・パンクの世界を届けてほしいものだ。(原田 和典)

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「オリビア・ニュートン・ジョン」  11月26日  Bunkamuraオーチャードホール
 ヒット曲をバックに、子供の頃から現在に至るまでの思い出をちりばめたスライド・ショーで、オリビアのライヴは幕を開けた。そして、若かりし頃と全く変わらないスタイルのオリビアが登場し、大ヒット曲「そよ風の誘惑」を歌い始める、その歌声も全く変わらずとてもチャーミングだ。今度は、自分の青春時代の思い出が正に走馬灯のように甦る、同様にここにいる多くのファンが、タイムスリップしたことだろう。バラードの「リトル・モア・ラヴ」でヴォーカリストとしての実力を聴かせ、アメリカが楽しかった時代の象徴の様な「ザナドウ」「マジック」では、会場全体が楽しくて仕方がないという雰囲気に包まれた。オーストラリア出身のオリビアは、カントリーも良く似合う。カントリー・メドレーでは、ボブ・ディランの「イフ・ノット・フォー・ユー」を始め、5曲をバックのメンバーと共に実に楽しそうに熱唱し、アコーステック・セットのままで「ジョリーン」「カントリー・ロード」を歌い観客を沸かせ、そしてがらりと雰囲気を変え「フィジカル」で会場はヒートアップする。革ジャンに着替え、ロックンロール・メドレーを聴かせ、映画『グリース』をバックに、「愛のデュエット」「愛すれど悲し」「思い出のサマー・ナイツ」「愛は魔術師」とオリビア自身楽しかった思い出に浸りながら歌いあげて行く。この日のラストを飾ったのは、ピンクのライトを全身に浴び歌った「オーバー・ザ・レインボウ」、妖精が女神へと進化を遂げた様を見届けることが出来た。(上田 和秀)
写真:ほりた よしか

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「バンガード・ジャズ・オーケストラ」 11月27日 Billboard Live TOKYO
 1965年に結成され、78年までの活動を通じてポスト・エリントン&ベイシーと言うべき現代ビッグ・バンドの筆頭格を担ったサド・ジョーンズ=メル・ルイス楽団。そのポリシーを継承し、NYの名門クラブで毎週の定期出演を続けるバンガードJOは、2009年度のグラミー賞に輝き、米国屈指のオーケストラとして評価を高めている。当夜はVJOの最新作ではなく、サド=メルのレパートリーを中心にして、その偉業をトリビュートする内容となった。同楽団らしいサックス・ソリは健在。ソロイストでは長時間スポットを浴びたウォルト・ワイスコフ(ts)が、実力を存分にアピールする見せ場を作ったのが特筆される。『ニュー・ライフ』収録曲「サンキュー」は個人的収穫。リピーター多数の観客に「グルーブ・マーチャント」は福音となった。(杉田 宏樹) 
写真:Masanori Naruse

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「ボン・ジョヴィ」  11月30日  東京ドーム
 軽快なロックンロール「ブラッド・オン・ブラッド」から、ボン・ジョヴィの2日間だけの東京ドーム・ツアーが始まった。何も言う事はないだろう、これ以上ないと言いきれる程のベスト選曲だ。ジョン・ボン・ジョヴィは、見るからに余裕でステージに上がり、観客の反応を楽しんでいるかのようだ。ノリの良い「ロスト・ハイウエィ」「イッツ・マイ・ライフ」「バッド・メデシン 〜 プリティ・ウーマン」で場内のボルテージは最高潮となる。ギターのリッチー・サンボラは、自慢のオリジナル・サンボラ・ギターを弾きまくる。ティコ・トーレスのドラムは、いつものパワー・プレイであり、デヴィッド・ブライアンも楽しそうにキーボードをプレーしている。また、お決まりのごとくリッチー・サンボラは、「レイ・ユア・ハンズ・オン・ミー」でブルース・スプリングティーンばりのヴォーカルを聴かせてく、ファンを喜ばせてくれた。その上、アリーナに伸びた特設ステージでの演奏では、目の前に現れたメンバーに多くのファンが興奮し群がった。後半は、出世作「夜明けのランナウェイ」「ウォンテッド・デッド・オア・アライブ」から名曲「リヴィン・オン・ア・プレーヤー」のエンディングまでノンストップで全24曲を駆け抜けた。最高のエンタテイメントとは、こういうライヴのことを言うのだろう。(上田 和秀)

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「ヴィンセント・ギャロ」 12月1日   Blue Note TOKYO 
 1998年に監督・主演映画『バッファロー’66』で脚光を浴びたヴィンセント・ギャロは、ミュージシャン、画家などの顔を持つカルトスター。日本では初めてのクラブ・ライヴ、世界的トラブル・メーカー・ギャロはどんなステージを観せてくれるのか期待は高まった。客席は、オシャレなアート系のオーディエンスですべて埋まった。意外にも・・・時間通りに登場したが、いきなり後ろを向き、アンプをいじりながらギターを弾き始める、その後、ドラムスを演奏したとき以外顔を正面に向けることはなかった。シャイなのか、演出なのか・・・ギター、ベース、ドラムス、メロトロン、ウーリッツアーなどを操りミュージシャンとしても多才なところを見せてくれる。歌声はささやくようで優しく繊細だが、自らの世界観を存分に主張している。黒の衣装に、ギターとシールドの赤が印象的。気がつくと彼が作り出す、ヴィジュアルと音楽の世界に引き込まれていた。オリジナル曲以外に「ムーン・リヴァー」、キング・クリムゾンの「ムーン・チャイルド」を聴かせてくれたが、これがたまらなく良かった。このステージでは、メンバー紹介でメンバーに感謝の言葉をかけたり、ジョークも飛ばしご機嫌の様子だったが、最後は「Thank you Good night」の一言でアンコールもなく、あっさり去っていった。ヴィンセント・ギャロの美意識に酔わされた夜だった。(鈴木 修一)


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「デビッド・サンボーン」 12月2日 Billboard Live TOKYO
 サンボーン(as)が東京ミッドタウンに初登場。2010年作『オンリー・エブリシング』参加メンバーのジョーイ・デフランセスコ(org,vo)+スティーブ・ガッド(ds)とのトリオで、前作『ヒア・アンド・ゴーン』を含むレパートリーが中心のプログラムを構成した。元々ソウルフルな演奏スタイルとキャリアの持ち主が、2枚の近作ではレイ・チャールズへの追悼曲、R&Bやブルースの名曲で、そちら方面へのシンパシーを改めて強調。当夜のサンボーンは個人的な近年の生体験の中でも稀に見る絶好調ぶりで、高音もパワフルにヒット。呼応するようにガッドも得意技である伝家の宝刀を抜いて燃え上がった。マイルス・デイビスも吹き込んだ「ベイズン・ストリート・ブルース」は、古い曲を現代的に響かせる好例を示し、選曲に関するこだわりが共感を呼んだ。(杉田 宏樹)
写真:Masanori Naruse


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「DBIII ディーン・ブラウン スーパー・トリオ フューチャリング ウィル・リー&ビリー・コブラハム」 12月2日 コットンクラブ
 先ず、ビリー・コブラハムがスティックを4本持ち登場し、いきなり見せ場となるドラム・ソロを始める。一瞬にして会場の空気が張り詰める。「凄い!!!」と思わず叫んでしまった。当たり前だが、この人のスピードとテクニックは本当に凄い、そして驚異的に手首が柔らかい。程なくして、ディーン・ブラウンとウィル・リーが加わり、「ストラタス」が始まる。この日のポイントは、ディーン・ブラウンとビリー・コブラハムの師弟競演に、どうウィル・リーが絡んでくるかと言うことだが、程良くオーバー・ドライブしたディーン・ブラウンのギターに、シンセ・ベースかと思わせるほどにエフェクトしたウィル・リーのベースがセンス良く重なる。どの曲もフュージョン/クロスオーバーと言いたいところだが、ジェフ・ベックがロックならば、センスの良いロックと言う所だろう。「ブレイクソング」では、ウィル・リーが上手いヴォーカルを披露してくれたが、リード・ヴォーカルを加えて本格的なロック・バンドというのも面白い。アンコールに、会場全体の合唱によるファンキーなビートルズの「愛こそはすべて」で幕を閉じたが、新たな可能性を秘めたセッションであった。(上田 和秀) 写真提供:COTTON CLUB
写真:米田泰久


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「SOIL &”PIMP”SESSIONS」  12月5日  Bay Hall 
 横浜Bay Hallの15周年記念のライヴ・イベントに、SOIL &”PIMP”SESSIONSが登場した。既に、国内のみならず世界的に高く評価されている彼ら。疾走するスピード感とパワフルかつ正確なリズム、そして驚異的なテクニックに迫力ある演奏、加えて素晴らしい楽曲と、超一流のプレーヤー集団であることを証明してくるライヴだった。とにかくその存在感とエネルギーが凄まじい、アジテイターの社長が叫び、サックスの元晴とトランペットのダブゾンビが、酸欠になりながらも吹きまくり、丈吉のピアノが華麗に響き、秋田ゴールドマンのウッド・ベースが唸り、みどりんのドラムが炸裂する。ラストの「SATSURIKUニューウェイブ」の頃には、会場は熱気の渦に巻き込まれていた。SOIL &”PIMP”SESSIONSが、今最も期待されるバンドのひとつであることを記憶に留めて欲しい。(上田 和秀)


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「クリス・ボッティ・ライヴ・イン・ジャパン」 12月9日 東京国際フォーラム/ホールA
 スムース・ジャズの貴公子として日本でも人気上昇中のトランペッター、クリス・ボッティの2度目の来日公演が実現した。スムース・ジャズの先入観から、もっと大衆的な演奏になると思ったが、ライヴの醍醐味を実感させるエネルギッシュな演奏は、ジャズ/フュージョンのファンだけでなく様々な音楽ファンを満足させる内容だった。バカラックからクラシカル・クロスオーバーまで選曲のセンスも収穫。本人だけでなく、ヴォーカルのリサ・フィッシャーやドラムのビリー・キルソン、ギターのマーク・ホイットフィールドら、参加メンバーの才能を満喫出来た。個人的には、現在自分が大きなテーマにしている「君を想いて」(レイ・ノーブル作のスタンダード)を軽快に演奏してくれたのが嬉しかった。(村岡 裕司) 
写真:村田寛之


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「デヴィッドT.ウォーカー」  12月11日   Billboard Live TOKYO
 ディスコでダンス、モータウン・サウンドに洗脳された10代を過ごした私にとって、デヴィッド・T.ウォーカーは忘れられないギタリスト。2008年からはソロ・アルバムを精力的に制作しはじめ、今回も『For ALL Time』を完成させてやってきた。ステージ下手のいすに座り、カラザースのギターが音を出し始めると、あっという間にデヴィッドTの世界に包み込まれる。ビートルズの「エリナー・リグビー」で“オ〜ッツ”となり、オリジナルでも彼が演奏しているジャクソン5の「帰ってほしいの 〜さよならは言わないで 〜 アイル・ビー・ゼア」、バリー・ホワイトの「愛のテーマ」で、往年のディスコ小僧は完全にノックアウトされた。そして、ヴォーカルが聴けたのもサプライズ。インタビューで1973年以来のヴォーカルと語っていたが、しゃべるように歌う声は魅力的。さらにはワウワウペダルや、ディストーション・サウンドを使うなど、新たなチャレンジが興味深かった。多くのギタリストが手本とする、デヴィッド・Tはさらに進化していた。(鈴木 修一)
写真:Masanori Naruse


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「チャカ・カーン」
 ブラック・ミュージック・ファンお待ちかねのチャカ・カーンがやってくる。1973年にルーファスのリード・シンガーとしてデビュー、その歌唱力とパワフルなステージで注目を浴び、R&Bを代表するヴォーカリストと称されるようになる。その後はソロ活動も始めるが、R&Bの分野にとどまらず、デヴィッド・フォスター、プリンス、マイルス・デイヴィスらと交わり活動の幅を広げていき、多くのアーティストにも影響を与えた。驚愕の歌唱力とファンキーでパワフルなステージに期待がふくらむ。(SS)
*2月1日  Billboard Live OSAKA  2回公演
お問い合わせ:(06)6342-7722
http://www.billboard-live.com/
*2月3日 4日 5日  Billboard Live TOKYO  2回公演
お問い合わせ:(03)3405-1133
http://www.billboard-live.com/


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リー・リトナー&マイク・スターン・ウィズ・ザ・フリーウェイ・バンド・フィーチャリング・サイモン・フィリップス・ジョン・ビーズリー&メルヴィン・デイヴィス
 フュージョン・ギター・ファンにとって、リー・リトナーとマイク・スターンは夢の組み合わせだ。70年代から活躍を続ける二人は昨年リー・リトナーの新作『シックス・ストリング・セオリー』で布袋寅泰を交え競演し話題を呼んだ。その二人が、クラブのステージに登場するとなればギターフリークは見逃せないはずだ。さらに今回はドラムスにサイモン・フィリップスが参加する豪華なメンバーでの来日。どんなフレーズがどんな音が飛び出すのかワクワクしてしまう。(SS)
*2月2日  NAGOYA Blue Note  2回公演
お問い合わせ:(052)961-6311  
http://www.nagoya-bluenote.com/
*2月4日  Motion Blue YOKOHAMA  2回公演
お問い合わせ:(045)226-1919  
http://www.motionblue.co.jp/
*2月5日  COTTON CLUB  2回公演
お問い合わせ:(03)3215-1555  
http://www.cottonclubjapan.co.jp/
*2月7日 8日 9日 10日  Blue Note TOKYO 2回公演
お問い合わせ:(03)5485-0088  
http://www.bluenote.co.jp/


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「Orquesta de La Luz/日本ラテン化計画2011」
 結成から27年目を迎える人気サルサ・バンド、オルケスタ・デ・ラ・ルスがCOTTON CLUBに登場する。活動中止という一時期を経て、現在は活発な演奏活動を行っている息の長いグループだ。国内・海外での活動経験や高い作品評価に裏打ちされた情熱的なラテンビートとパワフルなヴォーカルがずしりと重みを増して楽しめそうだ。(HM)
*2月6日 COTTON CLUB 17:00開場 18:30開演 二部構成 入替無し
お問い合わせ:(03)3215-1555
http://www.cottonclubjapan.co.jp/


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「アル・ジャーディンandヒズ・エンドレス・サマー・バンド」
 ビーチ・ボーイズのギタリスト”アル・ジャーディン”が自らのバンドを率いて来日する。2010年には初のオリジナル・ソロ・アルバム『ア・ポストカード・フロム・カリフォルニア』をリリースし健在ぶりを示している。2011年はビーチ・ボーイズ結成50周年、再結成も噂されているが、そのキーマンになるのがアル・ジャーディン。彼が従兄であるブライアン・ウイルソンを説得できれば可能性はあるようだ。彼がどのような発言をするのかも気になるが、ビーチ・ボーイズ時代から40年使い続けている白いストラトキャスターから、懐かしのサウンドが聴けることが何より楽しみだ。(SS)
*2月16日  Billboard Live OSAKA  2回公演
お問い合わせ:(06)6342-7722
http://www.billboard-live.com/
*2月18日 19日  Billboard Live TOKYO  2回公演
お問い合わせ:(03)3405-1133
http://www.billboard-live.com/


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「クール&ザ・ギャング」
 2010年に13年ぶりの来日を果たした、”クール&ザ・ギャング”がリクエストに応え再び来日する。説明不要なR&Bのレジェンド。彼らのヒット曲はどれもがディスコ・クラシックとして知られている。オリジナル・メンバーのデニス・トーマス、ジョージ・ブラウン、ロバート“クール”ベルを含むメンバーが集まると聞いただけで心が躍る。「ジャングル・ブギー」「セレブレーション」が演奏されたらフロアーはディスコに変わるはずだ。(SS)
*2月22日 23日 Billboard Live OSAKA  2回公演
お問い合わせ:(06)6342-7722
http://www.billboard-live.com/
*2月24日 25日 26日 Billboard Live TOKYO 2回公演
お問い合わせ:(03)3405-1133
http://www.billboard-live.com/


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「マンハッタンズ」
 1960年代初めにニュージャージーで結成されたマンハッタンズ。「涙のくちづけ」「夢のシャイニングスター」など、バラードを得意とし1970年代ディスコを愛で満たしてくれた上質のR&Bヴォーカル・グループがBillboard Liveに登場する。彼らのメロウで洗練された大人のラヴ・ソングは、その後のAORにも大きな影響を与えた。オリジナル・メンバーのブルー・ ラベット、72年に加入し多くのヒット曲を歌ったヴォーカリスト、ジェラルド・アルストンがそろってやってくる事がファンにはうれしい。お気に入りのあの人を誘ってロマンティックな夜を過ごしてはいかがだろうか。(SS)
*2月28日 3月1日   Billboard Live TOKYO 2回公演
お問い合わせ:(03)3405-1133
http://www.billboard-live.com/
*3月2日   Billboard Live OSAKA  2回公演
お問い合わせ:(06)6342-7722
http://www.billboard-live.com/


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「マルーン5」
 2002年のデビュー・アルバム『ソングス・アバウト・ジェーン』で、単なるロックに留まらず、ファンク・ソウル・R&B等ブラック・ミュージックを融合された独特のサウンドを披露し、グラミー賞最優秀新人賞に輝いたマルーン5の3年振りの来日公演が決定した。今回は、9月にリリースされた3作目となる『ハンズ・オール・オーヴァー』を携えてのライヴとなる。≪最もセクシーな男 アダム・レヴィーン≫は、どんなパフォーマンスを披露してくれるのか本当に楽しみだ。(UK)
*5月 12日 大阪城ホール 
*5月13日 名古屋国際会議場センチュリーホール 
*5月15日 パシフィコ横浜
*5月16日 日本武道館  
お問い合せ:ウドー音楽事務所 (03)3402-5999
http://udo.jp/




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