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「カルテット! 人生のオペラハウス」(ポニーPCXE−50298)
ダスティン・ホフマンの監督第一作。引退した音楽家たちが余生を送るビーチャム・ハウス。資金集めのコンサートのトリに予定の四重唱を歌うはずの歌手が病に倒れてしまう。新たに入居してきた往年の大ソプラノ歌手に期待がかかるが、四重唱のテノールとかつて愛し合い今は憎みあう元夫婦だった…。
同種の素材をもしオペラ発祥の地で自国文化のイタリアが扱えば『トスカの接吻』(1984)に近いドキュメンタリーになったろう。仏独だったら『愛 アムール』のようなシリアスドラマになる。アメリカ人が演出したイギリス映画だから、心温まるほのぼのしたファンタジーになった。筆者もオペラファンだが、筆者の年代の最も代表的なワグナー・ソプラノのギネス・ジョーンズの特別出演が嬉しい。
音声はドルビートゥルーHD5.1chアドバンスド96kアップサンプリングとドルビートゥルーHD2.0chの2種。劇中に散りばめられたオペラの一節は丁寧に歪みなく収録されている。撮影が非常に美しくダスティン・ホフマンの美意識が伝わる。撮影の質感や発色が再現出来るディスプレイで見てほしい。(大橋伸太郎)
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